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2015年7月 5日 (日)

女子の理系進学率が5-7割?!

珍しく中等教育にかかわるチャンスがあり、「都市部の学力の高い中高一貫女子校では、理系選択率が5-7割ということが珍しくない」と聞いて驚きました。「世間一般の女子の理系選択率はもっとずっと低いはず。なぜ?!」という疑問から知ったことを、弊社紙面の2015.6.24付の一面コラム「産業春秋」で書きました。

小学校高学年から中学校にかけては、男女の発達段階に違いがあるとのこと。女子は言語系が、男子は抽象化概念が早く発達します。ので、男女共学で普通の教え方では、「男子は国語や英語が苦手、女子は数学や物理が苦手」になる傾向があるのだそうです。もちろん、男女など関係なく、どの分野も理解力が高く、何の配慮もいらない子もいます。でも一般的には男女の違いが傾向としてはあるのだと。これに対して男子校、女子校であれば、それぞれの苦手な部分も把握し、壁を乗り越える指導をし、個々人の能力を伸ばすことができる、という話です。子供のいない私には初耳でした。

東京都世田谷区の鴎友学園女子中学高等学校の場合、中2の数学クラスは通常の半分、20人で構成。立体図形の断面図を想像するのは苦手という子が多いので、実際に紙を使った模型で示す。思春期の女子は男子より不安感が強いため、わからないところを聞きに来たら、「いい質問だね」「ここまでは分かったんだ」と先生は生徒とコミュニケーションして、自信を持たせる指導が効果的。でも男子とこれをしようとすると、「で、答えは何?」とイライラさせてしまうのだとか。なるほど~。

実は先日、この学校の中3生のキャリア教育のお手伝いで、話をしに行きました。理系に進学するも新聞記者に、という変わったルートを採ったことが、「理系研究者でまっしぐら」の人よりいいかもしれない、と。同校で先生をしている大学時代の同級生が声をかけてくれたのです。彼女(リケジョ先生ですね)は学部時代の教育実習(私もやりました。中高の理科教員免許を持っています)で、リケジョ教育に目覚めたとのこと(今じゃないですよ。20数年前にという先見性)。事前打ち合わせもしっかりしたうえで用意したので、教育的目的のうえでぴったりの内容を提供できました。後日、生徒たちからのお礼を兼ねた「お手紙」を受け取って、感激してしまいました。

この年頃だと「自分は『これだ』というものがなくて心配だ」とか「どうしてもなりたい職業があるけれど、とても難しいといわれていて不安です」とか、思いはさまざま。学びが生活の重要な部分を占めているだけに、得意・不得意科目への気持ちもあふれています。その中で、私の話したことのうち、「これが好き、という気持ちを大事にするのは大切。でも『これしかない』『これだけ学べばいい』と絞ってはいけない。自分の好きなことも、周囲の環境もどう変わるか分からないから。すべての学びが自分の将来につながってくる」という内容が、けっこう響いた様子です。私が、「子供のころは国語が一番、得意だったが、中学生のころ化学反応の仕組みに興味を持った」「化学で修士までいったが進路は、研究者ではなく科学技術記者にした」というのとつながったためでしょう。ほかに、「収入とは、職業を通して社会に役立つことをしたことに対する謝礼」とか、「周囲がいう『いい会社、いい職業』ではなく、『自分に合った』仕事を探す」とか、「困難にあたっても、なんとかして解決しようとする『突破力』が大切」などが印象に残ったようです。

最初、届いた大量の「お手紙」におののいた私でしたが、彼女たちのきちんとした文章や文字(お手紙を書く、という形で国語力やマナーを身に付ける教育手法になっているのですね)や、素直な反応に、いとおしさ爆発(笑)状態です。「今度、日刊工業新聞を買ってみたいと思います」といった表現もいくつか見られて、「んまああ、大人の心をくすぐるコミュニケーション力まで優れているわ」って驚きです。

逆説的に、「自分に子供、とくに女の子がいなくてよかった」と思いました。だってもしいたら、かわいくてかわいくて、教育熱心になりすぎる可能性が大だから(笑)。いつもと違う世界でありながら、本業も「さらにがんばろう」と思わせられる、素敵な体験でした。

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