科技基本計画、産業界に重点を置いて書く
年末、残り日数をにらんでデスクと相談しながら、来年度からの第5期科学技術基本計画の読み物記事を2本、掲載しました。2015.12.22付は科学技術面で、2015.12.25日付は社説です。内容は「産業界とのかかわり」に絞り、合わせてこんな感じで書きました。記事を二つ、続けて見ますと全体像がよく分かります。
第5期の科技基本計画の策定には、4期までと違って産業界が深くかかわり、政府と議論した結果が盛り込まれた。総額26兆円という数値目標は、財務省側は記載を避けたがっていたが、民間の研究開発投資も引き出すという前提で、明記を認めることになった。進捗状況を把握する指標数値の設定も今回、新しいもの。「大学・公的研究機関から企業への人の移動を倍増」「大学や国立研究開発法人に対する企業の共同研究費や、大学などの特許の実施許諾数はそれぞれ5割増」とされた。企業は同計画の主役の一つであることを、強く意識する必要がある。
この中で、私が気に入っている表現は、「雇用や設備投資に続き、研究開発投資でも”官民対話”が大きな原動力となる」というものです。残念ながら、私がひねり出した言葉ではありません。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の少し前の議論でを官僚がレクする中で、麻生大臣の発言として聞いたのです。「そうなんだ! 基本計画って民間とは離れた形での政府の計画だと思っていたのに、安倍政権の官民相乗効果をここでも発揮するってことなんだ」と気づいて、「弊紙にぴったりやん」と思ったわけです。
こういった政府の動きの記事は、委員会が何度も開かれて固まっていって、その途中の取材は「技術もののニュース記事などと比べて、労力対効果が薄いなあ」と辛く思うことがけっこうあります。でも、今回はそれが報われた感じ。官民対話なんて、報告書の文面には書かれてはいない。でもこのキーワードに気づいたことで、報告書の読み込みや、論説懇談会での質疑応答に、うちらしさを出すことができたのだと振り返るのです。
年末はあれやこれやと案件がてんこ盛りで、基本計画の解説、社説もあまり多くは各紙で載っていない気がします。それだけに、しっかり書けたことを嬉しく思います。文科省クラブときたら、国立競技場のA案決定だ、法科大学院の交付金増減だ、高大接続のまとめだ、国際宇宙ステーション計画の日米署名だとそれはもう、すごかったですし。それでもついに最終週となりました。さて、お正月原稿の仕上げと、来年の通常紙面用の原稿用意で、気持ちよい終わりに向かうことにいたしましょうか。これを打ち破るような予定外のごたごた案件が生じませんようにと祈りつつ。
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