« 2015年11月 | トップページ | 2016年1月 »

2015年12月

2015年12月27日 (日)

科技基本計画、産業界に重点を置いて書く

年末、残り日数をにらんでデスクと相談しながら、来年度からの第5期科学技術基本計画の読み物記事を2本、掲載しました。2015.12.22付は科学技術面で、2015.12.25日付は社説です。内容は「産業界とのかかわり」に絞り、合わせてこんな感じで書きました。記事を二つ、続けて見ますと全体像がよく分かります。

第5期の科技基本計画の策定には、4期までと違って産業界が深くかかわり、政府と議論した結果が盛り込まれた。総額26兆円という数値目標は、財務省側は記載を避けたがっていたが、民間の研究開発投資も引き出すという前提で、明記を認めることになった。進捗状況を把握する指標数値の設定も今回、新しいもの。「大学・公的研究機関から企業への人の移動を倍増」「大学や国立研究開発法人に対する企業の共同研究費や、大学などの特許の実施許諾数はそれぞれ5割増」とされた。企業は同計画の主役の一つであることを、強く意識する必要がある。

この中で、私が気に入っている表現は、「雇用や設備投資に続き、研究開発投資でも”官民対話”が大きな原動力となる」というものです。残念ながら、私がひねり出した言葉ではありません。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の少し前の議論でを官僚がレクする中で、麻生大臣の発言として聞いたのです。「そうなんだ! 基本計画って民間とは離れた形での政府の計画だと思っていたのに、安倍政権の官民相乗効果をここでも発揮するってことなんだ」と気づいて、「弊紙にぴったりやん」と思ったわけです。

こういった政府の動きの記事は、委員会が何度も開かれて固まっていって、その途中の取材は「技術もののニュース記事などと比べて、労力対効果が薄いなあ」と辛く思うことがけっこうあります。でも、今回はそれが報われた感じ。官民対話なんて、報告書の文面には書かれてはいない。でもこのキーワードに気づいたことで、報告書の読み込みや、論説懇談会での質疑応答に、うちらしさを出すことができたのだと振り返るのです。

年末はあれやこれやと案件がてんこ盛りで、基本計画の解説、社説もあまり多くは各紙で載っていない気がします。それだけに、しっかり書けたことを嬉しく思います。文科省クラブときたら、国立競技場のA案決定だ、法科大学院の交付金増減だ、高大接続のまとめだ、国際宇宙ステーション計画の日米署名だとそれはもう、すごかったですし。それでもついに最終週となりました。さて、お正月原稿の仕上げと、来年の通常紙面用の原稿用意で、気持ちよい終わりに向かうことにいたしましょうか。これを打ち破るような予定外のごたごた案件が生じませんようにと祈りつつ。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年12月20日 (日)

同窓会でリリースを手渡される

先日の高校同窓会の続きです。会場で名札を見ながら回遊する中で、幼なじみといえなくもない松井さん(男性、仮名です)と再会しました。「高校卒業以来かしら」と話しかける私に、即、といえなくもないタイングで、「これを持ってきたんですよ」と文書を手渡されました。なんと、東京大学医学部の研究成果のリリースです。記憶メカニズムの一端を解明という内容で、そこに幼なじみ(ということにしておこう)の松井さんの名が載っているではありませんか。確かに、高校を出たあとに東大医学部(超難関です、すごいです)に進学し、さらに臨床医ではなく研究者になったとうわさを耳にしてはいましたけれど。同窓会のタイミングに、ねえ。ごく最近、別の大学の教授となって移ったばかりとのことで、その成果に対しては「元東大准教授」という立場が記されていました。

「幼なじみのような」といったのは、たしか小中高と一緒で、母親同士や弟同士もわりと行き来があって、その関係で頻繁ではないけれど相手のうちに行ったこともある、という関係だったからです。でも年頃になると異性の間は難しい(前のブログでも同じ事をいいましたネ)。松井さんはさほど外交的ではなかったので(たぶん)、行き来はなくなっていきました。

高校の数学における松井さんのエピソードを紹介しましょう。2クラス再編成で私も松井さんと同じクラスになっていました。それで難しかったテストの結果を、N先生(先日のブログでコメントを書いてくれたN先生です)が「今回の上位は…。原田が77点。加藤が82点。あとは…いないな」とリストをずっと目で追っていって、そのリストが入ったフォルダーをパタッと閉めて(もう対象者はいない、というフリをして)、最後に「松井、100点!」。えええ~っ!! クラス中、驚愕でした。松井さんを除くと最高が82点という難関にあって、満点が取れるって、「どーゆー頭なんだ」って。「松井さんはもはや、別の世界の人だなあ。中学校の時には成績も同程度だったハズなのに」というのが私の感想でした。

そして現代に戻ります。週明けの職場で同僚に、「これ、知っている? ほんの数日前のリリースなんだけど」と聞くと、同僚は「ああ、見ましたよ。書いていませんが」との返事。わりあいとわかりやすいリリースだったので、私が執筆しました。同窓会でもらった名刺をみて、電話で質問などをして。そうしたら、「(記事執筆で連絡もらえて)嬉しいです」って。んま~、男性で「嬉しいです」って素直に口にする人って、それほど多くないのに。同窓会の時にしても、私のことはだれかに聞いて「自分の仕事と重なりそうだ」と思ったはいいとして、30年ぶりにあってすぐ、アピールするという点でも「こんな人だったかしら」と思うことしきり、です。

そんなスバラシイ松井さんですが、リリースについて最後に一言。リリースには研究者の所属や住所は書いているのに、電話番号が載っていなかったんですよ。これでは記者が関心を持っても、記事に採り上げるのを止めちゃいますよ、って伝えました。失礼かなと思いつつ、でもそれも素直に受け止めてくれました。その後に記事掲載のお知らせをメールして、付け加えました。「そのうち松井さんの大学行きの取材チャンスを作りますから、お部屋にぜひ、寄らせてくださいね」って。今から楽しみです~!

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年12月13日 (日)

創造的な仕事は、予算など足かせがあったとしても

予算はどんな活動にもある程度は必要ですが、「予算が十分にないから、いい仕事ができない」という言い分はどうかなあ、と以前から思っていました。今週末、知人がかかわっていた映画コンペティションの「The Tokyo 48 Hour Film Project 2015」上映会に行って、その意を強くしました。http://48hfp.fffproduction.com/index_tokyo.html

東京を中心に活躍する映像クリエイターらが参加して、共通のキャラクターや小道具、せりふ(一つだけ)が提示されてから48時間以内でショートフィルムを作成し、出来を競うというイベントでした。それが作品それぞれ、けっこうおもしろかったのです。寝る間も食べる間も惜しんでの48時間で、15分ほどの一作品。クリエイターは著名な監督・俳優陣ではありません。それでも、これだけのものが作れるのか、と驚きました。もちろん、より高い質を求めるならいろいろあるでしょう。でも、「観客は楽しみながら、作り手のメッセージを感じ取るもの」という映画本来の目的(たぶん)は、制約が多くても達成できるのだと実感しました。

翻って…、そう、科学技術に思いを馳せます。2015.12.11付で、第5期科学技術基本計画の答申案、決まる、って掲載したところですから。「総額26兆円」って数字が明記されて、「よかった」と関係者は胸をなでおろしています。明記されない場合よりも、強い推進力につながるだろう、と。

近年、ビッグサイエンスなどお金のかかる研究が増えていますから、なおさらでしょう。政府の意向にぴったりあった最先端の研究提案に対しては、どどんと大きな予算が付く。でも、それができないところが”しょぼい”のは仕方がない、という時代。昔とは、違う。

でも。でも。「お金のない研究室だったから、装置も手作りだし、ほかにないことをしないといけない、と必死だった。その結果、他の人はまったく注目していなかったこんな切り口で、意外な成果が出せた」という研究開発。それが本来の姿ではないか。それは昔も今も変わらないところではないか。そんな気持ちが、私ははやり抑え切れません。

そう。新聞記者のくせに体力がない私。一般紙とはいろいろな意味で制約の多い、私の日刊工業新聞。時間がいくらでもある新卒大学院生とは違う、社会人大学院生で取り組んだ私の博士研究。自身を振り返ってもある意味、すべてそうだったからです。

「時間がないから」「人がいないから」「予算がないから」「環境がよくないから」って、ほかと同じことをする競争なら、わかります。でも、クリエイティブな仕事は、それだけではないと思う。足かせがあっても、いや足かせがあるからこそ、イノベーティブな、熱くて新しいものが生み出せる。創造的な仕事に取り組む人は、そんな強さを持っているはず。制約の多い中でがんばっている全ての人に、最大級のエールを送りたいと思います。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年12月 5日 (土)

メアド探しを公私両方で

名刺が紛れてメールで連絡とれなくて困った、ということは、会社の名刺管理システムが入ってから激減し、たいへん心やすくなっています。が、プライベートで知り合った相手の名刺は、そちらに投入していないため、「困った…、どこへしまったのだろう」ということが起こります。最悪、所属機関のHPから電話でたどることができる。それからその相手と親しい別の人に教えてもらうというのがある。でもなるべくそれらも避けたいですよね。

今回、うまくいったのが、メールソフト内でのメアド検索を、会社PCだけでなく、自宅PCでやったことです。出てきましたよ~。嬉しい。会社PCは夏にリニューアルして、ある程度はファイルなど保存の手配をとったけど、スッキリさせたタイプの私は「えーい、いいや、あとはまとめて捨ててしまおう」と走った面もありまして。でも、自宅PCは長く丁寧に使っていて、メールも添付ファイルだけは大きいの削除ですが、あとはそっくり置いてある。博士研究や本の執筆で多用から、愛着あってかわいいPC(普段は会社PCが大半で、今は大して開かないんだけど)。そのうえ、こんなところで役だってくれて、ますますいとおしくなっちゃいます。いつまで使い続けられるかなあ~。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年11月 | トップページ | 2016年1月 »