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2016年6月

2016年6月26日 (日)

数理科学とiPS・再生網膜

2016.6.16付一面に「iPS細胞での再生網膜 数理科学で機能評価 立命館大」を掲載しました。これ、「なになに?」って引きつけられる案件でしょう? 私もそうでした。、主語が京大とか阪大とか慶大でなくって「立命館大」。理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーのが、同大の客員教授をしていて連携です。気になりますよねえ。

iPS細胞で再生させた網膜は、完全なものだと将来の普及を考えると高コストすぎるので、「必要な機能の再生」に絞った人工網膜が必要になってきます。でも、それって「機能が十分なのかな」って心配です。ので、大丈夫かどうかを評価するのに、数理科学を使うというものです。再生網膜と本来の網膜のデータを使ったシミュレーションによって、機能が十分か、実用的な再生網膜となっているかを調べます。私は政府・文科省が「数理科学と、応用の異分野の融合を進める」という記事を少し前に書いていたので、「おおお~、こういう融合事例を実際に推進したいというわけね」と記事化の食指が動きました。

食指が動いた、って表現にしたのはですね、「難しいな。書けるかな」と逡巡しつつだったからです。簡単な案件なら何も悩まないけれど、という意味が入っているわけです。このネタをゲットしたのはちょっとイレギュラーな場で、瞬間的に言葉を交わしただけで、メーンのやりとりは電話取材となりました。先にメールで資料をもらうものの、「うーん、やっぱり難しい」と不安でした。けれども先方の先生の説明が上手で! 「なるほど、そうなのか。これなら書けるぞ」と感激でした。紙面の構成上、ご紹介できませんでしたが、立命館大学情報理工学部の北野勝則教授です。ちなみに計算神経科学研究室ですからね、「どうです、この研究室の名称」って感じでしょ。

もしも先生の説明が上手でなかったら私、記事化を断念していたかもしれません。やっぱり研究は、中身が魅力的でかつ、上手に伝えられるコミュニケーション力が重要ですね。このことを改めて実感いたしました。北野先生、そのうちぜひ、お目にかかれますように!

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2016年6月12日 (日)

新規開拓の大手私大で芋づる式取材

「これ、だれが書いたのかな」と聞かれ、「私よ」。「へえ、どういういきさつで」と意外な顔をされ、「新規開拓。実はこれねえ…」と打ち明ける。--最近書いたとある私立大学の技術成果で、記事を見た同僚との間でこんなやりとりがありました。

研究成果の記事はどうしても、国立大が多くなってしまいます。私立大学は学生が多く、教員は授業負担がかなりになるし、学生の納付金で運営されているという面が大きい。だから「研究より教育」となるのは、仕方がないというか、当然です。でも大規模著名私立大学の場合は、弊紙読者にも卒業生が多い。だから読者が喜ぶ記事という意味でも、もっと取り上げる努力をしたいなと思っていました。メディアは「取材させてください」というとたいていのところに取材に出向けるけれど、接点の薄いところだと【それっきり】となりがち。よって、【その後にも続く関係づくり】を思案しました。

1.大学主催のメディア向け懇談会では、私大の場合はトピックス紹介も、懇親会で登場する教員も文系が中心です。ですのでこちらからアタックする意識が重要です。「理工系の先生はどちらでしょうか」と尋ねて探します。名刺交換とおしゃべりで、相手が感心ありそうなテーマを振って、こちらのことを覚えておいてもらうよう意識的に努めました。

 2.今回は学部長がターゲット。メールをして「貴学の最近の動きをうかがわせてください」と訪問しました。幹部に時間をとってもらった以上、なんとか記事にしないと申し訳ありません。ここでぴりっとした話(ニュース)が出ればラッキーですが、そうでなくとも、弊紙定番の顔写真入りコラムの活用を考えるのは、そのためです。今回は、国立研究開発法人との連携大学院の拡大というちょっとニュース色も持つコラムとなりました。合わせて取材時に「△という連載企画を貴学でも採り上げたいのですが、候補をお教え頂けませんか」とお願いしておきました。

 3.メールでいただいた候補の中から、なんとか内容がわかりそうな&おもしろそうな技術案件をセレクトです。取材に行ってみると、予想以上におもしろく広範な産学連携をしている研究室で、先生の意識も個性的で「ラッキー!」。予定通り、企画記事を書くのと合わせて「後日、研究成果の取材に改めて来させてください」と頼みました。

4.今度は教授と助教とそろっての設定をお願いして出向きました。教授については再び、コラムを掲載です。

5.同日の助教メーンの研究成果は、「何だろうこれ。書けるるかなあ?」と心の中で思った(すみません)変わった中堅企業との取り組みでした。「役に立つ」というより「おもしろい」記事だったので、「ボツといわれやしないか」と実はやや不安でしたが、出稿したらあっという間に記事になりました。ちょうど文部科学省記者クラブの幹事の時期で、記事が不足していたのも後押しになったのでしょう。スゴイ最先端の研究成果ではありません。でも前述で「これ、だれが書いたの」といわれたように、通常の各技術担当別の記者の日常からは出てこない、ユニークな記事を書くことができました。

6.そして最後の記事が掲載待ち。小さなイベントのお知らせです。まったくツテの無いところから初めて、【芋づる式】でいくつもの記事にもっていけました。

これでこの新規開拓大学の理工学部には、そこそこ顔が浸透したといえるでしょう。学部長にも後半の展開をお知らせしていますし。折りをみて次の研究室取材も相談することとしますか。

それから、今のブログでちらりと触れた文科省クラブの幹事について、お話しします。先日、ようやく幹事期間が終了しました。去年まではブログでも、幹事が始まる前から怯えた文面を載せていたのを、ご存じでしょうか。今年は今になってようやく触れたという状態ですから、様子がだいぶ違います。今年から、キャップも文科省メーン担当も、若くてパワーのある仲間に任せることができたせいです。大変な仕事の委譲を受けてくれたことに感謝です。ありがとう、今度おごるからネ。では私は、次の新規開拓先を思案するとしましょう。

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