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2016年7月

2016年7月31日 (日)

”反ダイバーシティ”の重要性

「ダイバーシティ(多様性)の重要性」といえば今や、性別にしろ、国籍にしろ、障害の有無にしろ、いずれの多数派も少数派も口にする事柄です。けれど、多数派が感じている重要性と、少数派が思っている重要性は、相当違うものだなあ、と最近、実感しました。

それを思ったのは出身のお茶の水女子大の同窓会一泊旅行でした。もう数年前だと、まだ子どもが小さくて出られない仲間が多かっただろうし、もう少し先だと親の介護の問題も重くなるのだろうけれど、50代前半の今はちょうどよい時期のようです。19人中、なんと13人も集まれて、想像以上に盛り上がったイベントでした。「○ちゃんってば、変わっていない!」「△さんらしいよね」と当時と今とが錯綜するのが楽しい。そして、「ああ、同じ性で同じ年齢で、仕事をしている場合は専門が同じとはいえないけれどほぼリケジョ(私もそんなところ)で。それゆえ関心事や悩み(仕事上のことも、健康や美容のことも)が同様で、こんなにも共感し合えるのか」と驚きました。

男女雇用機会均等法施行が86年、その2年後に学部卒業という世代です。それでリケジョゆえ、企業の研究所勤務などが多く、そうなると皆それぞれ、職場では少数派です。それが同窓会に来たら、多数派どころか「皆、同じじゃん!!」状態です。私も普段は「自分は少数派」と意識して気張っているわけではありません。でも同世代の同性は、職場で”点在”状態なので、頻繁に行き来をする感じではないんですね。取材をきっかけに親しくなった同世代同性も同様です。「相手は世代か性は違う」ということが、生活の中で99%を占めています。それが普通。少数派の普通の環境。それだけに、「ああ、多数派になるとこんなにも自分は自由になれるのか」と実感したわけです。同類で集まる機会をつくることはとっても重要、「反ダイバーシティが重要だ!!」という具合でしょうか。

と思い出したことが一つ。学部を卒業するころ、「お嬢様ブーム」というのがありまして。大学院の研究室の同世代男性らに「お嬢」と呼ばれて、「ウフフ」と思っていた私。大学の同窓会でそんな話になったら、就職した同級生のだれもが、職場で「お嬢と呼ばれていた」ことが発覚。少数派ゆえいい思いをしていいたけど、別に自分が特別だったわけではなかったのね、という現実でありました。

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2016年7月24日 (日)

読みにくい名前はルビをぜひ

とある大学の冊子で、卒業生としてアジア某国の大企業トップが出ていました。留学生、特に上の世代はエリート中のエリートで、社会的地位の高い仕事をしている人が少なくありませんよね。話も面白く、「大学PRにもってこいの卒業生だな」と思いました。「で、なんという会社のなんという社長なのだったかな」と見出しに目を通すと、社名はともかく氏名が英語表記です。「なんて読むのかあ」。さらに調べるほどは興味もなく、冊子を閉じて終わってしまいました。

国際シンポジウムの告知記事(イベント案内)を執筆する時も、英語表記の名前が出てくると、事務局に電話して読みを確認したうえで記事化します。事務局担当者が不在だと…「ボツ」のことも出てきます。最初から事務局が用意した案内で、日本語読みを出しておけばいいのに。どちらのケースも「もったいない」ですよねえ。

日本人の時も同様です。古澤さんなら「フルサワというケースが多いけれど、コサワという人もいるし…」と悩みます。取材で名刺交換した相手であれば、読みが添えられている(ルビが振られている)と、それだけで「相手に配慮ができる人だな」と嬉しくなります。そうでなければ裏を返して、ローマ字表記を見て正しい読みを知るわけです。が、経費削減などで裏は印刷していないケースもありますし、ね。悩ましいです。

素敵な人であればあるほど、「名前をちゃんと覚えてもらえない」なんてもったいないです! ですから、やや読みづらいかなと思うケースは日本人にしろ外国人にしろ、ルビは必須です。ご本人にしろ、関わって紹介する人にしろ、ね。皆様、よろしくお願いいたします~。

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2016年7月17日 (日)

経歴に出身県が入る意味

日刊工業新聞は産業、科学技術関連の人の記事(写真も)が多いのが自慢の一つです。インタビューやトップ人事では略歴が付きますが、ここで弊紙では「出身都道府県」というのを入れています。これ、けっこう面倒な決まり事です。通常の学長交替のリリースなどでは載っていない情報であり、いちいち「出身都道府県をお願いします」と問い合わせしなくてはいけないからです。手間がかかりますが、これが重要な情報だと実感するケースに先日、遭遇しました。

A大学で講師役をしている元官僚&元企業役員&財団理事長のB氏の記事がそれです。きっかけはA大学でB理事長の講演を聞き、話がおもしろかったので、その続きをテーマに取材へでかけ、記事にしたという流れです。掲載後、再びA大学にて、B理事長とC副学長と私の3人が顔を合わせた席のことです。

C副学長「B理事長、記事見ましたよ。もしかしてD県ご出身ということなら、E高校ご出身ではありませんか?」 B理事長「そうです、E高校です」C副学長「やっぱりそうですか! 私もE高校ですよ」。B理事長は私の方を振り向いて、「田舎なので、進学校がそうたくさんないため集中してしまうんですよ」と笑います。なるほど。互いに何年卒業かの確認があって、数年違いとわかります。「ごきょうだいは?}となって、さらにC先生の名字が珍しいものだったことから、話がどんどん展開しました。なんとB理事長の下二人のきょうだいと、C副学長の上二人のきょうだいが2,3歳違いで、双方のきょうだい3人のど学年がほとんど重なっていたのです。B理事長「Cくんですか、覚えていますよ。△していたでしょう!」という感じで、盛り上がることこのうえなしでした。

そうか~、出身県の情報はこんな風に役に立つのですね。両者のつながりをがっちり強化してあげられた私としては嬉しいところです。あ、御両者さま、お二人を堅く結び付けてあげられたのは、弊紙の山本の記事にあったことをお忘れにならないでくださいね。

ちなみに私は出身の話題となるとちょっと悩ましいものがあります。本当は、「出身ですか、横浜です」とかなんとか、カッコよくいいたいところです。が、実際は「出身ですか、神奈川県です」と答えます。分かります? つまり神奈川県の中の地味~な市の出身なのです。市の名前でいっても通じないことが多く、説明するのもまた恥ずかしい。だから同じ神奈川でも、横浜とか鎌倉とか、ちょっと田舎でも小田原とかせいぜい藤沢とかの出身者を「いいなあ」とうらやましく思う…という事情があるのです。きゃああ、コンプレックスを打ち明けてしまいました、恥ずかしい、これでおしまい。

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2016年7月10日 (日)

興味津々、専門職業大学

16.6.22付一面トップに「『専門職業大学』第1号 片柳学園、建築・IT 年度開設」を、7.4付最終面に「専門職業大学登場 高度な現場リーダー育成 学び直し社会人に門戸 企業・地域と連携不可欠 etc」をそれぞれ掲載しました。これは文部科学省が、職業教育を中心に据えた新型大学の制度を始めるというもの。東京工科大学や、日本工学院専門学校、日本工学院八王子専門学校(ともに日本で規模1、2位の専門学校)を経営する片柳学園が参入、というニュースと、最終面での解説型の読み物とでまとめました。

職業教育とは、わかりやすくいうとインターンシップや、企業の課題解決のプロジェクト・ベースト・ラーニング(PBL)などの実習をイメージしてもらうとよいと思います。「既存の大学でもやってるじゃん」って思いますよね。でも、大学は制度上、「教養教育と、学術に基づく専門教育を行う」場なのだそうです。そうなんだ~、じゃあ、企業で役立つ人を育てることなんてまったくしなくてもいいんだ! とびっくりです。それに対して、新型大学は高度職業人育成の教育を行う、とハッキリ位置付けるというわけです。そのため「卒業単位の3,4割以上が実習など」という基準が示されました。「なるほど、これは通常の大学とだいぶ違う」って興味津々になりました。

実はこの話、私は出遅れていたのです。一般紙が続々と、新制度開始を記事にして「やばい、うち落ちているワ」と気にしていたところで、社内コメントも受けまして。「遅れたけれど、しっかりした読み物記事を最終面で書こう」と思い、企業側として日本商工会議所に取材(初めての訪問です)。通常の大学は「学問をするところですよ、大学は」と大半が興味なさそう。困っていたのですが、高専-技科大の教育機関は関心ありと知って、長岡技術科学大学(科学技術大学ではなく、技術科学大学です)の学長に電話取材。と、ベクトルの違う機関をピックアップすることができました。

そして驚いたことに、「参入の希望があるかもしれないな」と思って出向いた片柳学園で、ばばーんと一面トップネタが取れた、のです。後輩に「これ、抜き返し、ってやつですよね?」といわれました。抜き返し、というのはですね。大きなニュースを他メディアに「抜かれた」記者が、必死に動いてるうちに、今度は他メディアを「抜く」ネタをゲット、ニュースにするという形です。今回の場合は他メディアも、スクープではなく、文科省の中央教育審議会側の動き(公開)で書いているので、ちょっと違うけど、似ています。もちろん、抜き返しはほめ言葉です。

正直言って「よく抜き返せたなあ」と振り返ります。『犬も歩けば棒に当たる』というところでしょうか。これって、あまり賢くない人(ワタシのこと)を犬に例えているようで「何だかなあ」と思っていましたが、成果が出る以上、これはこれで意味があります。そうだ、『記事は足で書く』、こっちがありました。やっぱり犬のことわざより、こっちを前面に出すことにいたしますかネ?

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