映画「オケ老人!」に職種の新旧を思う
共感その1。「音楽はテクニック重視で厳しくやるのではなく、上手いも下手も助け合って楽しくやらなくっちゃ」。私は同世代女性に多いパターンとして子供のころピアノを習っていたのですが、練習が嫌いでした。中高大と吹奏楽(曲としてはクラッシックのアレンジが多い)をし、高校はコンクール重視の厳しめの部活動。でも私自身は下手でコンプレックスが強かったので、このメッセージは重要です。映画では対立する2つのオケに絡む著名フランス人指揮者が、この考えを皆に浸透させてくれました。
そして共感その3。電気製品の修理店をやっている老人組オケのリーダーと、振興家電量販店の経営者でもあるバリ組オケのリーダーが対立していたのですが、最後は和解のハッピーエンド。オケはともかくビジネスの対立をどう解決したかというと、量販店の一角に古い家電にも対応する修理専門コーナーが入るという形になったのです。これ、エンドロールの片側のショット画面に出てくるので、気づいていない人も多いかもしれません。私は日刊工業新聞の記者(ぜんぶひっくるめて経済記者、という言い方がされます)ですからね、職種の新旧の上手な融合に「ほほ~」と感心しました。
職種の新旧でいうと、新見南吉の「おじいさんのランプ」です。ランプが家庭に浸透し始める時代に上手に商売を広げた主人公の家庭、しかし電気が通じるようになってランプは時代遅れになりつつある…、というストーリーです。新見南吉は「ごんぎつね」の作者だというと、作風を想像できるのではないでしょうか。物悲しくて切ない。最後のシーン、ありったけのランプを樹に吊るしておじいさんは…。ああ、素敵。物語、読み直さなくちゃ!
私のリアリストの面からの感想としては、「おじいさん、そんな早まらなくてもビジネスの最後の一押し、上手くできたかもしれないのに」っていうのがあるんですけれどね、笑。現代社会もウェブによってあらゆる業種、職種が大変革。さらに「AIが人間の仕事を奪う」といわれる昨今。センチメンタルな思いも大事にしつつ、新時代の波をかき分け泳いでまいりましょう。
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