« 2017年3月 | トップページ | 2017年5月 »

2017年4月

2017年4月23日 (日)

幹事期間中も、記事はアグレッシブな3週間

記者クラブ幹事の3週間、新年度の人事異動とも重なった今年は、想像以上の山あり谷ありでした。とはいえ、幹事の仕事での大変さも、当社当部の状況も、いずれもあまり詳細をブログには書けないこと、ご容赦ください。
ということで、私の記事について振り返ります。失敗で悔やむものがあるものの、けっこうアグレッシブな期間でした。一面トップが、早稲田大学の新研究拠点(2017.4.5)と、東京大学‐経団連の休眠特許を活用したベンチャー創出(4.18)で2本。新連載で、私立大学のトップインタビューもスタートさせました(4.6)。

社説は「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」を運営するTESグローバルとベネッセグループが3月末に発表した「THE世界大学ランキング日本版2017」です(4.19)。「これは日本の大学の教育力ランキングで、留学希望の学生に活用されるといったことが想定されている。そのため、優れた教育手法を導入していても、日本人学生向け限定なら評価は高くない。その結果がネットを通じて世界に発信されてしまう。グローバル時代の厳しさを感じる大学関係者が多いに違いない」と書きました。文部科学省広報室の記事スクラップコピーの1ページ目に載せてもらったのが意外、でも嬉しかった。各紙はランキング結果のストレートニュース(ニュースそのもの、というニュアンスの言葉です)は載せるも、意外に社説や解説での取り上げが少なかったから、というのもありそうです。

意外に他が書かなかった記事としてはもう一つ、指定国立大学の件があります(4.17)。世界トップレベルの要件に合致した7大学すべてが申請した、という内容です。旧7帝大ではなく、北海道大学と九州大学の代わりに、東京工業大学と一橋大学が加わった7校です。なぜだと思います? 以前から注目していた案件で、発表に合わせてその背景を解説しました~。

「なんだ、結局また、記事の自慢?」って言わないでくださいな~。記事掲載に気づかなかった方への情報提供として、有用だと思ってのことなのです。それとまあ、自慢も、あるかな(笑)。仕事で落ち込むことってたくさん、ありますよね。「自分はこの仕事、向いていないかも」って、記者を30年弱やっていてなお、思う情けなさ(本当に恥ずかしい)。それに打ち克つには、いい仕事をして自信を取り戻すのが一番だと思うのです。これはだれでも同じもの。だから私、ほかの人の仕事自慢も、話の腰を折らずに聞くようにしているのです。皆さまの自慢話の聞き手として、私を呼びつけていただいて、いいんですよ。できれば魅力的な、一面トップになるようなネタをご用意のうえ、ぜひどうぞ(笑)。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年4月16日 (日)

理事長と学長、総長の違い

2017.4.13付の日刊工業新聞「大学・産学連携」面に、清家篤慶応義塾長のインタビューを掲載しました。「600校の生き残り戦略 私大トップに聞く」の連載2回目です。前回のブログで触れたテーマ、私学の自立と自己財源増に向けた資金運用について書きました。

慶応は寄付金収入が、大学の中でもダントツに多くて、それを資産運用するのに長けていることで知られています。同時に、リーマンショックでの資産運用のマイナスについても、雑誌などではだいぶ騒がれました。今回の取材でも、リーマンショック直後の塾長就任時には、「金融資産の時価は簿価を530億円、下回っていた」と出ました。530億円?! なんという規模でしょう。それだけマイナスだった、って…。で、「一部を減損処理してその後、債券など安全なものに買い替えた」けれども、「私学は建学の理念を貫くためにも、自己財源を増やすことが欠かせない」と力説です。研究費や奨学金などに運用益を使える「第3号基本金」は「塾長就任時より約200億円多い、約600億円に増やすことができた」。これは日本の私学で最大だそうです。すごいですねえ。私学の財務は、会社のスタイルともだいぶ違っていて、企業経営者でもなかなかわかりにくいと聞いています。ので私の能力ではもちろん、突っ込んだ分析ができないのですが(笑)、それでも「すごいんじゃない?」と思う私大、おっと違った、次第です。

では、ここで私学のトップの立場を復習してみましょう! 理事長、総長、学長がそれぞれいる大学を取り上げます。 1)私学は「学校法人」が運営組織で、大学や高校etcを含めて法人全体を【経営】面でみているトップが「理事長」で一番上です。 2)そして法人全体の【教学】つまり教育と学術(研究ですね)をみている人が「総長」です。 3)その下に大学なら「学長」、高校なら「校長」が、それぞれの教育組織を見ている責任者になります。

大手私学の「総長」はこの三つを兼ねているケースが多いようです。

国立大学はどうでしょうか。こちらは「国立大学法人」という組織形態で、「学長」が理事長に相当する運営責任を担っており、私学でいうところの理事長兼学長になります。旧帝大などは「総長」を使いますが、これは自称です。国立大学法人法上は規定がなくて、「学長」で統一されています。複雑ですね。

それでようやく慶応に戻ります。ここは、学校法人慶応義塾のトップとして「慶応義塾長」を置いており、これは「慶応義塾理事長 兼 慶応義塾大学長」となります。私学のほかの総長と同じ、だけど慶応はこだわりがあって「塾長」なんですね。おまけに新聞では新字の「慶応」を使いますが、関係者は旧字の「慶應」の表記を使います。いや~、わかりにくいです。一般に「わかりにくい」は無視されがちで、よいことではありません。けど慶応だと、わかりにくくても、そのこだわりが通せちゃう(笑)。多くの大学に、そんな存在感の強さを目指してほしいと思います。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年4月 9日 (日)

私大トップに聞く 600校の生き残り戦略

新連載を2017.4.6から始めました。日刊工業新聞の木曜付、大学・産学連携面での「私大トップに聞く 600校の生き残り戦略」です。初回は「私大経営 少子化が圧迫 国立大と異なる改革必要 授業料上げでカバーも限界に」で、全体像の解説を掲載しました。この少子化による私立大学の経営難は、一般紙も雑誌も好むテーマで、さんざん取り上げられてきています。ので、実はこれまであまり手を付けていませんでした。でも連載に合わせて【総復習】。加えて読者にとっても「へえっ」という部分を組み込んで掲載しました。

具体的には、私立大学への国の支援が少ないことを書きました。他メディアでも取り上げられているのですが、学生一人の教育に対する国の資金は、国立大が私立大の13倍にもなります。学生の8割は私立大学だというのに、です。早稲田大学の鎌田薫総長は、日本私立大学団体連合会の会長という立場もあり、「社会へ貢献する度合いに10倍以上の開きがあるとは思えない」と強調し、私大への補助の拡充を強く訴えています。「国立大と私立大で支援度合いに違いがあるのは仕方がない」けれども、「確かにここまで差をつけなくても」と、多くの人は感じるのではないでしょうか。

注目いただきたいのは、慶應義塾の清家篤塾長が、これと違う意見を述べていることです! 「独自理念を貫くために、私立大は公費助成に頼りすぎてはいけない」と別の意見なんですね。国立大が授業料の引き上げをし、「国の支援は法人(国立大学法人とか、私立大学の場合の学校法人とかですね)ではなく、学生の奨学金を手厚くするのに回すのがいい」といっているんですね。「なるほど、そういう対応もあるのか」と思いました。さすが、慶応です。今回は、インタビュー初回として鎌田早大総長を取り上げていますが、清家慶應義塾長のインタビューで、この背景を語っていただく予定です。お楽しみに。

インタビュー記事は一般に、それ自体の取材と合わせて、ニュース記事のネタを獲ってくることも狙っています。今回は2017.4.5付の一面トップ、「早大、大型産学連携の拠点 早実跡地に20年開設 研究費収入2倍200億円」がそれです。早稲田の産学連携で一面トップ、これはなかなかでしょ? このような魅力的なニュースを次々を、読者に提供していけるよう、がんばっていきたいと思います。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年4月 2日 (日)

人事異動とクラブ幹事

新年度の人事異動で、弊社の文科省メーン担当だった同僚が部を出ることなりました。超頼りがいがある人で、迎えてから1年強しかたっていなかったので意外で、判明した時はショックでした。どんな案件でも厭わずに、深夜に及ぶもの(先日の文科省再就職問題がらみでもその形)でも快く引き受けてくれるし、仕事ぶりもきっちり。性格もいうことありません。「さすが、自動車業界などウチの花形(ほぼイコール、多忙)の担当を経験してきただけあるなあ」と思ったものでした。

迎えた当時は、文科省クラブが欠員のままで、あまりに負担が大きくあえいでいた時でした。そのため「こんなすごい人をよこしてくれるなんて」と会社の幹部に感謝したものです。それだけに今回も、ショックではあったけれど、「やっぱり優秀な人は、より取材競争の激しい、日刊工業では業界の担当にひっぱっていかれるのね」と納得もしまして。来るのも去るのも感慨深いです。文科省メーン担当は、これまでもクラブ在籍だった別のものに引き継がれることになりました。

けれども大きな不安が残っています。弊社が4月の前半3週間、文科省記者クラブの幹事となっているからです。広報さんも少し前の異動を勘案すると、全面的といっていいほどの大幅異動です。心配だなあ。科技系の弊社には内容がよくわからず、さばくのが難しい案件で一般紙さんに迷惑をかけて、「こんなんじゃ困るよ、しっかりしてくれよ!」と怒鳴られたなどの過去を思い出します…。涙。

やっぱり、準備しておこうかしら。以前、私が文科省メーン担当だった時の幹事だった時のおまじない。ちゃっかりしている? いえ必死なんです。最近、ちょっと気弱な傾向もありますて。無事、3週間を終えられるよう、祈りたいと思います…。

| | | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2017年3月 | トップページ | 2017年5月 »