IBMフェローの浅川智恵子さんが素敵!
「ジェンダーサミット 日本で初開催 研究者の男女差に注目 日本社会変わる意識必要」を17.6.5付で掲載しました。丸2日間の開催でしたが、人手に余裕がない弊紙では、全部が全部は参加できません。こういう案件では、「一部しか出席しないながら、魅力ある中身を紹介できるか」に頭をひねり、プログラムとにらめっこして参加の時間帯を決めるのです。その結果、今回は3件の切り口を取り上げて、いい記事にまとめることができました。
ウエブでのご案内は「ニュースイッチ」からです。http://newswitch.jp/p/9265
一つは英科学誌ネイチャーの編集長の講演です。編集者と異なり、論文の査読者はどうしても男性に偏りますが、「この論文を査読できる女性はいないのか」と常に検討するようになったとのこと。その結果、査読者における女性比率は現在、20%半ばで「2012年と比べ倍増した」のだとか。おお~、いいですね~。さらに恣意(しい)的な判断を防ぐため、著者の性別と名前を伏せた査読を、総説論文で導入しているのだとか。これだと女性研究者の論文を軽く見る、ということはなくなるし、「あの大先生が書いた論文なら、中身はイマイチだが通すしかない」といった判断はなくなりますよねえ。
もう一つはフィリピン科学技術省の女性次官の報告です。80年代のアキノ、09年に各省ジェンダー予算を法制化したアロヨの両女性大統領の活躍が大きかったそうです。工学や農業は今も男性が多いものの、医療やビジネスで女性が多い状況に。そのため同国の平均年収は、「女性が男性を上回る」。す、すごいですね。日本も医師のかなりの割合が女性となってもいますし、そう考えるとあながちありえない話でもないかもしれません。
そして私が感激したのは、世界初のウェブサイト読み上げソフトを開発した浅川智恵子IBMフェローでした。視覚障がいを生かしたイノベーションを起こした、ということで、「弱者は弱者なりに、人の上に行けるんだ」って以前から気になっていました。が、話を直接、聞くのは初めてでした。結果、あまりのすごさに、「私を含む多くの健常者が、”焦りまくり”だろうなあ」と思いました(笑)。
経歴は、10代でプールの事故で失明、学部は文系、その後に点字で学ぶ専門学校からコンピューターの可能性に触れ、訪問学生研究員のような形で日本IBMに入って。後に博士号も取り、今や、世界のIBM全体の技術系最高峰、「IBMフェロー」の肩書です。お子さんもお二人、育ててきて。道は一直線ではなかった、それだけになおさら、「これ以上、私たちを引き付けるキャリアはないのではないか?」と思うほどです。
人柄もまたすごく素敵なのですよ。だってご本人が、「いきなり障がい者が来たら、びっくりするのは当然だと思いますよ」って一般の人の気持ちに立った発言をして、だからこそ「マイノリティーの方から声をかけなくては」っていうのです。つまり、「コミュニティーにおいて自分が、たった一人のマイノリティーだったとして、寂しいとか差別されているとか考えるより、とにかくこちらから話しかけ、能動的にやっていかなくっちゃネ」ということです。私は以前から、辛い経験やコンプレックスについて人は、「他の人にこの辛さはわからない」って閉じてしまいがち、それは注意しなくてはいけないことだ、って思っていたんですよ。実は大昔のことですが(笑)、不妊症の治療をしていた時に、そのことを悟りました。で、そういう特殊と思われる経験がある人こそ、「自ら」オープンマインドでいきましょう、と浅川さんは呼びかけているんだな、と。仕事をしながら、感激しきり、でありました。
そのためにこの記事は、書いている段階から「きっとウエブのニュースイッチで、おもしろいって取り上げてくれるな」って期待しちゃいました。どの記事を選ぶかは、ニュースイッチのファシリテーター次第。ウケ狙いに走ってはいけませんが、読み手に響く記事を、という意識を持つことは、悪くない。そんなふうに思っています。
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