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2018年8月

2018年8月14日 (火)

ウエブで読まれた記事、「国立大教員、業績給拡大」と「指定国立大」

  • 「自分の記事に対する反響はどうか」という事柄は、ある意味で「記者になってずうっと気になってきたもの」です。が、広く読まれたかどうかが具体的に見えてきたのは、ウエブ記事が一般的になってきてからのことです。弊紙のニュースサイト「ニュースイッチ」でも、ページビュー(PV)がカウントされています。知っていたけれど、年長記者としては「本当に重要な記事とは何か? PVに振り回されてはいけない」との意識がありまして。しばらく距離を置いていて、最近ようやく、確認の仕方を社内で教わったのです。調べてみたのは自分が書いた記事で、最近「読まれていますよ」といわれたものです。

    まずは「国立大学教員の業績給を拡大 交付金で連動」の記事です。https://newswitch.jp/p/13889
    大学改革はどちらかというと、学長や理事など幹部の問題という面がありますが、これは各教員の給与の問題ですからね。「国立大の教員、6万5000人全員が読んでもおかしくない! 私史上、最も読まれる記事ではないか!」と思っていた(笑)ものです。新聞紙面の一面掲載になったものです。ここから「ニューズピックス」や「ヤフー」など社で契約している一般ニュースサイトに流れて、これを見て反応した人の「フェイスブック」などSNSで広がるのだと聞きました。PVをみると、うーん、「教員6万5000人×家族4人」にはちょっと届かないかな(笑)。でもかなりの数値です。

    次に見たのは「専門職大学」の新制度に対する台風の目、「HAL」や「モード学園」を展開する日本教育財団(という名の学校法人)の記事です。
    https://newswitch.jp/p/13834
    そうかあ、人気と聞いたけれど、PVはこれくらいなのね。たぶん、一般的に自分が目指すべき「ヒット」は、これくらい。目安の数字になるでしょう。

    そして「指定国立大」。これは昨年度(2017年度)スタートの新制度で、いろいろな形で何度も書いています。ので、これで検索したらずらっと記事が出まして。これはすごい、どの記事も高いPVとなっています。指定国立大に一般紙メディアはなぜか反応が低くて、最初の採択時に記事になった程度。「どうやら他にない情報ということで読まれているらしい」と思ってはいましたが、こんなだとはね…。ええっ、このPVは何? ケタが違う記事が2本ありました。

    最もPVが多いのがこれです。https://newswitch.jp/p/8912
    まだ採択される前の2017年のゴールデンウイークの大作り(いつもと違う大きな作りの記事)で、指定国立大とは何かという解説です。これは自信作でしたので、これがトップだなんて超嬉しいです~。

    次に多いのがこれ。https://newswitch.jp/p/9572
    2017年の6月、最初の3大学が選ばれた時の記事です。このPVは最も多かったPVの半分くらい。きょえー、GW記事はそんなに人気だったんだ…。そういえば、GWというお休み中だったのも効いていると言っていたっけ。実は、この採択時の記事が2位の人気というのはちょっと悩ましいのです。というのは、文科省の発表だったから。発表って、公開情報ですからね。私でなくても例えば、仲間に「この案件、発表リリースが出たら即、記事にしてね」といっておけば、まったくこの案件をしらず、資料通りに書いただけの新人であっても、これに近いPVになったというわけですから…。

    以上、四つの記事のうち伝統的に新聞メディアがもっとも重視する、「スクープ」の形だったのが、「国立大教員の業績給与、拡大」です。でも、それよりずっと反応の高い解説記事や発表記事がある…。これは記者の働き方(どんな記事を書くことにエネルギーをかけるか)を変える重要な話です。ショック、でもあります。でも、他メディア記者が反応しない重要案件は、アンテナを張ってさえいれば「発表でも、こんなに読まれる」ことになる。それは「労力対効果」がかなり高いもので、こういうものは落とさずに行きたいところです。

    だいぶたくさん、書きました。いきなり飛びつかないでいた「PVトップクラスの記事調べ」は、ワクワクどきどき。さてこれを把握した上で、振り回されすぎずに、よい記事を書いていく意識で参りましょう!

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2018年8月11日 (土)

英会話、発音レッスンでリスニング向上か

この4カ月ほど自宅や通勤時間に英会話に取り組んでいます。私はヒアリングが苦手なので、本屋でのCD付テキスト選びもその観点で取り組みました。そして「発音ができるようになるとヒアリングの力も高まる」というテキストを見つけて、目からうろこ! でした。

これは「日本語と英語では使う音は、あまりにかけ離れている」ために、「耳にした英語を無理やり、近そうな日本語の音に置き換えて、カタカナにして学ぼうとしてしまう」ので、「本来の音と、日本人のリスニングやスピーキングが大きくずれてしまう」という内容です。「自分の口から発せられる音は、容易に聞き取れる」ので「発音をマスターしよう」という流れです。これが「英語耳 発音ができるとリスニングができる」(松澤喜好著)の主張です。

その後に各発音記号の発音ポイントのレッスンが続きます。が、よくわかるものと、うまく理解できないものがあります。のでじゃじゃ-ん、もう一冊。「超低速メソッド 英語発音トレーニング」(内海克泰著)で、ネイティブがゆっくり発音した時の口の形もわかるDVD付きテキストです。正直言うとこの本でも、発音の説明が分かるのと分からないのとが混在しています。やっぱり日本人が理解できるように伝えるのは難しいのですね。それで両方を見比べて、いったりきたりして、自分が納得できる発音を習得するのに時間をかけました。

そして、これは新聞やウエブのメディアリテラシーと重なることに気づきました。「自分に合ったメディアをまず探す」「でもそれだけでなく他も目にして、それぞれの観点の良いところを吸収する」です。英語テキストがこれだけ大量に出回っていることも、大手書店で改めて驚いて嘆息したのですが、これはつまり「これ一つで完璧」というものはない、ということの裏返しでしょう。これもまたメディアリテラシーの大事な点、「あのメディアでこう書いてあったから」と信じすぎない、というのと重なりそうです。

もう一つ、若い時にベルリッツに通っていて、ネイティブの先生の発音を真似するようにいわれたこともある(頻繁ではなかった)けど、例えば「sink と think」「hurt と heart」の違いって、先生が言うのを何度、聞いてもわからなかった。それが今回のテキストで「こんなふうに違う」ということを理解したうえで、CDの音声を聞くと「おお~、わかるじゃん」(笑)。理屈でなく吸収できるのは幼い子だけで、大人は理屈がいるとは思っていました。が、さらに「ある程度の学びを重ねてきたからこそ、違いがわかる」というのもあるのだな、と。まあっ、これってメディアどころか、人生そのものですね(笑)。

ということで今、次の段階としてリスニングのテキストに取り組んでいます。確かに力が以前より高まった気がします。着々と、夏の概算要求の仕事と並行して、英会話力を高めているわけです。が、ある人に言われました。「イタリア、英語は通じないから。観光関係や高学歴の人は話すけど、街中の人はできないから。日本と同じでしょ」って。がーん。日本と同じ、という当たりが信ぴょう性を持っています…。まあいいや、こういうチャンスでもなければ、発音とリスニングの力量アップに取り組む努力などしないから。さて、実際のイタリア旅行はどうでしょうか。いやいや、先に概算取材ですね。はい、わかっていますよ~。

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2018年8月 5日 (日)

文科省・科技系の幹部不祥事

文科省職員の不祥事は、天下り問題にしても、もっと以前の文教施設の収賄にしろ、規模が大きく全国的な関係機関も多い「文教系」で起こっていました。その意味で今夏の文科省不祥事の渦中の二人、佐野前科学技術・学術政策局長と川端前国際統括官は「科技系」という点で、気になるものとなっています。日刊工業新聞は社会面がないし、社会部もないので、私もあまり「事件もの」に対する野次馬精神が弱いのですが、今回はさすがに気になります。どちらの方もそれなりにおつきあいがありましたから、いきなり「逮捕」という刺激的なニュースはショックで。一般紙を開く際にも、これらの記事をけっこうしっかり読んでしまう状況にあります。
ちなみに文教系と科技系というのは、省庁再編で文部科学省となる前の、「文部省」と「科学技術庁」のそれぞれの系統という意味です。二つがくっつく前のどちらで入省・入庁したかということですが、省内の局組織や担当事業、異動などどれも、大きくは2系統で分かれています。中には、省内交流人事(?笑)に相当する、「科技の△局の○課のみ、文教系の人が課長に就く&その逆」というポストもあります。でも、少し前の天下り問題では、「これだけ大勢が処分されたのに全部、文教系。天下りという(公務員人生の総括的な?)事柄だから余計なのだろうけれど、そんなにも科技系と別なのか…」と驚いた覚えもあります。
文部科学記者会でも、「社会部の教育担当記者」と「科学部の科学技術担当記者」がいます。一般紙メディアは両方が常駐していて、文科省の案件を両方で通常は分け合って仕事をしています。でも科学部記者でも、一般紙メディアは駆け出し時代はほぼ全員が社会部で警察回りなど経験しています。ので、日刊工業新聞の科学技術部の記者とセンスはだいぶ、異なります。周辺記者が総動員となる大物案件や、研究不正など社会ネタになると、それを実感します。

佐野前局長は出身は科技系ですが、事件は官房長という、文教も科技も合わせた要職についていた時の案件です。ので記者にしろ、省内職員にしろ、「あの佐野さんが…。ショック」と思っている人は多いことでしょう。先日、昔から親しい某大学の産学連携の先生と会って、佐野前局長のことが出て、「そんなに親しいわけではないですが、産学連携課(今は産業連携・地域支援課)の課長をされてましたからね」と。そう! そうそうそう。私もいっとう最初に挨拶したときは、産連課長でしたわ。そのあと山梨大取材に行った時に、向こうは副学長でいて、産学連携関連の取材をしたという流れでした。そして! 川端前国際統括官も、東京農工大の産学連携担当の教授で出向していた時に初めて接触して、そのあと人材政策課長で若手研究者支援の概算取材などしていたことを思い出しました。「産学連携を中心に大学でも、今回のことでショックを受けている人は相当だな」と思いました。まだ事件の解明は途上、しばらく気になる日が続きそうです。

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