日本におけるURAの記事の大半は私の執筆
研究支援人材であるリサーチ・アドミニストレーター(RA)、大学のUを入れた「URA」が集まる協議会に先週、参加しました。URAは研究費獲得、研究成果の発信や産学連携、大学データ分析による研究改革などに携わる専門職です。この言葉や存在は、社会にどれだけ浸透しているか? セッション「マスコミから見た大学、そしてURA」においてこれを議論をしました。
この場で他の参加者が、「大手メディア記事の検索で、RA(URAも含まれますね)のヒットはどのくらいか」を紹介してくれました。即、思ったのが「まあ、なんて親切な」。というのは、「私の手による日刊工業新聞の記事が多くを占めているだろう」と思ったからです。
それによると、大手一般紙の朝夕刊、NHKも同じ頻度として、1年間に600回分にあたる新聞発行がある。この一年間でどのくらい、このキーワードでヒットする記事があるでしょうか? 答え。「1本」。それも地域版で、科技人材の記事の中にURAの肩書きを持った人が出てきた…くらいの内容です。ちなみに「アウトリーチ」では35本。「サイエンスコミュニケーター」が「1本」だったそうです。それで専門紙に対象を広げたところ、日経産業新聞で「2本」。日刊工業新聞は「13本」。その紹介者は「大半が山本さんの執筆だと思いますが」と言及してくれました。他メディアの方にそんなことをいっていただくなんて恐縮です。
URAって縁の下の力持ちの研究支援人材だから難しいのでしょうね。今年のRA協議会は参加者が600人レベルと大盛況だったのに。でも私はURAの活躍の場はこれから、ずんずん広がると思っています。このセッションでの私の発表からポイントを紹介しますね。
まず、大学関係者の「どうしてメディアを通じてこんなにたたかれるのか」という思いに対して答えることを。これは…
★大学に対する一般社会の見方の根本は「憧れ」。だからトピックがあると賞賛も批判も過度に出る。これはスターに対する反応と同じ。とくに自分の労働環境と比べてとなると、「税金を使っている」「本当のリストラがない」という点で、嫉みが出やすい。「交付金削減で退職教員の補充ができない」って大学関係者は訴えるけれど、企業は「希望退職募集が3回目」「人員は3割減」などのリストラをしてるわけですから。ということで私は「大学関係者以外の複雑な思いを理解してコミュニケーションしましょう」と提案しました。
それからURAの活動が大学改革で期待がさらに高まる点を、19年度の文科省を中心とする概算要求という最近のネタを使って話しました。
★国立大学の運営費交付金に連動する評価で、外部資金獲得と人事給与改革の観点が入る。これに加えて内閣府では(3類型で世界を選んだ国立大と、国立研究開発法人を中心に)外部資金獲得に連動して付ける支援予算を、23億円も新規要求している。外部資金は寄付などもあるが、研究費となるとURAの活躍が期待される。人事給与では教員の業績給大幅アップを国は求めており、教員評価の仕方は各大学で考えることになるため、研究業績の扱いなどURAがその設計に加わることになるだろう。
★ほかに若手向け研究マネジメント研修の新事業は、研究費申請書類や英語投稿論文のブラシュアップの力を、URAだけでなく若手研究者にもつけてもらうおうというもの。また気象庁のビッグデータ提供で、企業のビジネス情報と融合する案件なら、観光や運輸や商業など文系の先生も関わることができて、URAのリードが有効ではないか。
というわけでURAの皆様を大いに! 励ましました。そしてこれから、現地で取材したいくつかのネタを記事にする計画です。ということでセッションも今後は、「大手メディアからみた大学、そしてURA…日刊工業新聞の山本佳世子を除いて」となるかもしれません(笑)。
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