« 2018年8月 | トップページ | 2018年10月 »

2018年9月

2018年9月28日 (金)

日本におけるURAの記事の大半は私の執筆

研究支援人材であるリサーチ・アドミニストレーター(RA)、大学のUを入れた「URA」が集まる協議会に先週、参加しました。URAは研究費獲得、研究成果の発信や産学連携、大学データ分析による研究改革などに携わる専門職です。この言葉や存在は、社会にどれだけ浸透しているか? セッション「マスコミから見た大学、そしてURA」においてこれを議論をしました。

この場で他の参加者が、「大手メディア記事の検索で、RA(URAも含まれますね)のヒットはどのくらいか」を紹介してくれました。即、思ったのが「まあ、なんて親切な」。というのは、「私の手による日刊工業新聞の記事が多くを占めているだろう」と思ったからです。

それによると、大手一般紙の朝夕刊、NHKも同じ頻度として、1年間に600回分にあたる新聞発行がある。この一年間でどのくらい、このキーワードでヒットする記事があるでしょうか? 答え。「1本」。それも地域版で、科技人材の記事の中にURAの肩書きを持った人が出てきた…くらいの内容です。ちなみに「アウトリーチ」では35本。「サイエンスコミュニケーター」が「1本」だったそうです。それで専門紙に対象を広げたところ、日経産業新聞で「2本」。日刊工業新聞は「13本」。その紹介者は「大半が山本さんの執筆だと思いますが」と言及してくれました。他メディアの方にそんなことをいっていただくなんて恐縮です。

URAって縁の下の力持ちの研究支援人材だから難しいのでしょうね。今年のRA協議会は参加者が600人レベルと大盛況だったのに。でも私はURAの活躍の場はこれから、ずんずん広がると思っています。このセッションでの私の発表からポイントを紹介しますね。

まず、大学関係者の「どうしてメディアを通じてこんなにたたかれるのか」という思いに対して答えることを。これは…
★大学に対する一般社会の見方の根本は「憧れ」。だからトピックがあると賞賛も批判も過度に出る。これはスターに対する反応と同じ。とくに自分の労働環境と比べてとなると、「税金を使っている」「本当のリストラがない」という点で、嫉みが出やすい。「交付金削減で退職教員の補充ができない」って大学関係者は訴えるけれど、企業は「希望退職募集が3回目」「人員は3割減」などのリストラをしてるわけですから。ということで私は「大学関係者以外の複雑な思いを理解してコミュニケーションしましょう」と提案しました。

それからURAの活動が大学改革で期待がさらに高まる点を、19年度の文科省を中心とする概算要求という最近のネタを使って話しました。
★国立大学の運営費交付金に連動する評価で、外部資金獲得と人事給与改革の観点が入る。これに加えて内閣府では(3類型で世界を選んだ国立大と、国立研究開発法人を中心に)外部資金獲得に連動して付ける支援予算を、23億円も新規要求している。外部資金は寄付などもあるが、研究費となるとURAの活躍が期待される。人事給与では教員の業績給大幅アップを国は求めており、教員評価の仕方は各大学で考えることになるため、研究業績の扱いなどURAがその設計に加わることになるだろう。

★ほかに若手向け研究マネジメント研修の新事業は、研究費申請書類や英語投稿論文のブラシュアップの力を、URAだけでなく若手研究者にもつけてもらうおうというもの。また気象庁のビッグデータ提供で、企業のビジネス情報と融合する案件なら、観光や運輸や商業など文系の先生も関わることができて、URAのリードが有効ではないか。

というわけでURAの皆様を大いに! 励ましました。そしてこれから、現地で取材したいくつかのネタを記事にする計画です。ということでセッションも今後は、「大手メディアからみた大学、そしてURA…日刊工業新聞の山本佳世子を除いて」となるかもしれません(笑)。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年9月24日 (月)

イタリアで浴衣姿で取材する

遅い夏休みでイタリア旅行に行ってきました。よかったですよ~。20年来の憧れを実現でき、それも予定がてんこ盛りでちょっと無理をしての9月でしたので感激です。感涙、といってもいいくらいです。

7金、午後シンポジウムで「これは!」というネタをゲットして、「出発直前のシンポは悩ましくて、パスろうかと思ったけれど来てよかった」。帰宅後、シャワーと夕食のちスーツケースを持って出発。この日の深夜便ですぐ機内で寝て、現地は午前中から動けるというスケジュールです。いつも身内と海外に行くと、私がプランを立てて「海外は危ないからコレしちゃだめ、アレしちゃだめ」といって母にキレられる(笑)のがパターンです。が、今回は大学で仕事をしている友人らが中心となって企画してくれたものなので、その点でもいつもと違う海外旅行の雰囲気を楽しめました。


帰国はまた深夜便で16日午後に着。17月祝は休養。睡眠は14時間になりましたわ…。仕事のパソコンメールと記事のゲラは、スマホを現地のホテルでWi-Fiにつなぎ、確認していました。18火に出社。休み中に、産学連携のオープンイノベーション機構とOPERAの採択リリースが出ておりました…。一部は仲間が執筆していてくれたので、確認しつつ追加で出稿。まだエンジンがかかっていない中で混乱しつつの執筆でした。それから翌日の協議会年会で興味を持ったセッションの資料をウェブでチェック。学会も最近は、細かな要旨集の冊子でなくてCDとかウエブとかなんですよね。「どこをどう回るか」を思案しました。


20木は「RA(リサーチ・アドミニストレータ―)協議会」に招かれて、神戸国際会議場における年会に出席。「マスコミから見た大学、そしてURA」というセッションでショートプレゼンをするのが主目的でしたが、別のセッションを取材したり、懇親会でネットワークを広げたり、親しい人からネタをもらったり。うーん、大漁です(笑)。21金は出社。3連休前なので紙面作成が通常の二倍あり、必死に原稿を出稿。22土は午後、電気通信大学で非常勤講師で講義を2コマ。23日と24月祝は休養でした。


今週は平日4日で少し少ないのが幸いですが、ノーベル賞の準備があります。29土は電通大で、今度は演習を3コマ。30日は休養。10月の1月、2火、3水とノーベル賞。日本人が受賞したらまたまた大騒ぎ…。いやはや大変です。


いえ、私の体力では「ぎりぎりだな」ってわかっていたんです。だからかなり慎重に行動していました。それでも軽い風邪を神戸行きの前にひいてしまい、「やりとげられるだろうか」とビビりまくり。なんとか昨日今日で「大丈夫そう」と確認できたことから、こうしてブログで披露することができました。だってこのぎりぎりのスケジュールで、迷惑を周囲にかける羽目になったら、ねえ。「えーっ、山本さん、体調不良? 海外10日間で遊びまくっておいて?」といわれる状況だと、こんなふうにブログで打ち明けるわけにはいかなかったですからね…。


イタリアでは、これまた長年の憧れ、「海外で着物姿」をトライしました。夏だから浴衣で簡単。それも日本じゃないから「あら、背中心が背縫いとずれていますよ」なんて、着物通のおばさまに突っ込まれるかという緊張もない(笑)。最終日、ローマでお世話になった某大学教授のご招待で、テヴェレ川に浮かぶセレブが集まるようなおしゃれな船のバーへ。「どうなるかな」と思ってはいたのですが結局、そこでちょっとだけ取材をしました。日本との国際共同研究についての感想などを聞いて、小さいコラムにと計画しています。


今回、船には深紅のロングドレスを着た華やかな女性などがいましたが、「和装だとやっぱりみんな、見るねえ」「現地のドレス姿に負けていない」とおだてられます。それにこれ、考えてみれば映画「ローマの休日」の山場と同じシチュエーションじゃないですか。サンタンジェロ城が見えるテヴェレ川に停泊する船の上でのパーティ。ヒロインの王女様が乱闘騒ぎした現場です。それにヒーローは新聞記者でした。ま、これに張り合えるのは浴衣で取材する私くらいのものではないでしょうか(?)。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年9月 8日 (土)

文科省含め取材先が記事を見ていなくても

好例の夏の概算取材、今年もよく動きました。文科省担当のメディア各社に中身がだいたい流れる前に、3本。流れた後に、3本。記者レクで公表された後のまとめで1本です。もう担当が長いし、年長だし、今更たくさん記事を書いても「山本君、すっごい頑張っているね!!」と、社内であまりほめてもらえません(笑)。でも、「ちょっと頑張れば、いい情報が取れるな」と感じたら、それは担当が長くて年長だからこその切り口で気づくという面もあるし、記事にして早く、読者に届けたいと思うのです。

悩ましいのは、取材相手が必ずしも弊紙記事を読んでいない…ということです。文科省でも、ポイントとなる課は複数の新聞本体を購読して付箋など貼っていて、弊紙もその中に入っていることを確認しています。が、記事コピーを回覧するというやり方は、著作権に絡んで別の契約となります。そのため、弊紙記事があちこちで目にとまる、という状態では、残念ながらありません。ので、取材にいっても「ええと、この相手は、先日掲載した私の記事については承知しているのかな?」と迷いながら、やりとりをするという面があります。これは省内に限りません。弊紙の場合、大企業担当の記者なら、窓口となる取材先の広報が記事を見逃すことはありえない。けれど、科学技術部の記者がやりとりする相手の場合は、なかなかね…。悩ましいです。

でも。社内でほめられなくても。取材先が記事をちゃんと読んでいなくても。今はウェブ、それも「ニュースイッチ」で私のコメント入りで出すことで、「私が取ってきた独自の情報ですよ!」と示しつつ、社会に発信することができる。これは大きいです。最近、その思いがとても強まりました。以前なら、まして若い頃など特に、「会社でほめられたい」「取材先に認められたい」という気持ちが強かった。記事の読み手の反応はほとんど分からない時代だったから、仕方がない面もありました。でも、社会的存在としてのマスメディアとしては、情報に対する一般社会の反応を一番、気にしなくてはいけないのです。ウェブの読者コメントも玉石混淆だし、あまりそれに引きずられてはいけないけれど。だから、いい情報を得て早く発信するために努力する。担当が長くても、年長でも。ね!

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年9月 1日 (土)

概算、自費出版の原稿、非常勤講師の採点と大わらわ

先週、今週と概算ネタの取材・執筆で大わらわでした。テーマAを20日夕方に取材するとします。その日の帰宅前に原稿を出します。21日にデスクの手で修正、記事が組まれます。22日に掲載です。もっと間隔が早くなることも(スクープ! だと取材した翌日付とか)遅くなることもあるけれど、だいたいはこのペースとしまwす。それでこのパターンでネタがほぼ毎日、あり、つまり「21日は記事Aが掲載されていて、記事Bが組まれてゲラが上がってきて、記事Cは取材後即執筆の予定」という状況でした。もう、どれがなんだか分からなくなる…ようなこともありました。でも、意味あるおもしろいネタを次々に発信できることはこのうえない喜びで、「ニュースイッチ」にもがんがんコメント付き記事をアップしてもらいました。

30木、31金は産学官連携の大型展示会「イノベーションジャパン」です。地方大学のネタ獲得に絶好のチャンスなので、体にむち打って出向きました。講演のあと、即「すみません、今のお話をもうすこし聞かせてください」とアタックする年もあるのですが、今年は上記の仕事での疲れが激しくて。10分程度の追加取材で記事がかけるほど、今年は頭も回りません~(笑)。そのため名刺交換をお願いして、後日の取材を検討するという形にいたしました。

土日も実は多忙でして。母が自費出版するので、その原稿をずっと見ていて赤字を入れる、という作業があったからです。春には週末に母の元へいって、8時間くらいかけてやりとりすることもありました。8月に入っては電話でやりとりです。幸い、文章が比較的、上手いので辛くはなかったのですけれど。詳細はまた後日。

それに大学の非常勤講師の授業での課題採点までありました。例年と異なり学生数がすごく多くて大変です。担当教員によると、「4月から大学院の学内授業は原則、すべて英語になった。とはいえ外部講師の授業は日本語可となっている。そのため選択科目では予想以上の流動性が学生にみられた」ということです。ふは~。だって、90人弱ですよ! 去年までは30-40人だったと思うのだけど。採点しても採点しても、まだ採点しなくちゃいけない課題が残っている…とため息をつくことになりました。

それなこんなでへとへとでしたが、酷暑とともにヤマは去って行きつつあります。負けないぞ~!、笑。楽しい日々が近づきつつあるのだから…。

| | | コメント (1) | トラックバック (0)

« 2018年8月 | トップページ | 2018年10月 »