« 2019年2月 | トップページ | 2019年4月 »

2019年3月

2019年3月31日 (日)

励ましを胸に

新年度から部員(記者)の実動部隊が、あるべき形の半分という、それはそれは恐ろしい形を控えて怯えています。すでに年度末の多忙で疲れが抜けない私としては、悲壮な思いを抱きつつ、「定年前の最後のヤマか…」と、平日は帰宅後はなにもしないで就寝できるよう、身辺を整理(?)しているところです。

そんな中、すごく励まされる言葉を取材先からもらいました。その取材先というのは、「長年アタックし、それなりに記事を書いてきたが、そもそも日刊工業新聞と伝統的にはつながっていなかった部門だから、なかなか胸襟を開いてくれない」ところです。たぶん、私以外の日刊工業新聞の人間(他部局も幹部も)ほとんど接触していないんじゃないかなあ。向こうも、一般紙に対するのとうちに対する気持ちは全然、違うはずです。でも記事になる中身がね、面白いんですよ。うちの読者に知らせたい、って思う。だから「記者は苦手な取材先を避けてちゃ、いけないよね」と自らを奮い立たせて、その部門の実務の人の取材に出向いていました。今回は初対面ではないものの格上の相手で、それも多忙な年度末だったので、最初に「(訪問に)ハードルが高くて」と最初に、イクスキューズしてしまいました。そうしたら、こう返ってきたのです。「我々は山本さんの取材、いつでもウエルカムですから。きちんと書いてくれるし。時々は××ですけど」と。××というのは、こちらの問題点です。が、自分とて忘れていたわけでわけではないので、これは【覚悟の上】です。それよりも、「いつでもウエルカム」って言葉が、この部門の長からもらえるとは思っていませんでした。年月を重ねて取材先の人も変わり続けているけれど、それでもこういってもらえるようになったんだ…。感激です。どれくらい感激したかというと、その後の2日ほどで10回くらい、頭の中で反芻しちゃいましたからね。まるで【愛の告白】を受けたがごとく(笑)。

というわけで、しばらくはブログ執筆も間遠くなるくらい大変な日々が続くと思いますが、頑張りたいと思います。今回の言葉だけではありません。これまでに受けてきた、仕事をはじめ様々な人からの、熱い励ましを胸にして。

| | | コメント (0)

2019年3月22日 (金)

記事の切り抜きで、私自身が成長する

新聞を購読しない人が近年、急増していて、新聞業界としてはビジネス上、大問題なのですが、個人としてはまた別の感想があります。ビジネスパーソン一般としていうと、読んでいる私の方が読んでない人より優位になるため、「皆さんは読まなくっていいと思いますよお」という感じも、なくもない。でもプライベートでいうと「こんな有力な武器となる情報源を使わないなんて、もったいないわねえ。本当に、読まなくていいの?」です。

私は仕事に関わる記事はもちろん、生活に役立つ記事も、社会人になってからずっと、切り抜いてきました。正直にいうと、整理に手間がかかることから、「意味あると思った記事は切り抜いて、分類は適当に、袋にほおり込んだまま」という記事も多い状況でした。まあ若いうちは「今」を味わうため、時間は行動に費やす比率がより高いので、そういうものでしょう。長い目で見ての健康の情報とか、お金のことだとか、「頭に入れていった方がいいけど」と思いつつ、袋に入っているままだったわけです。けれどもついに! 長期戦略の上で助けとなる情報と、格闘する時間を割いて、結果的に満足感が高まるようになりました。「役に立つ」だけでなく、「しみじみ考える」という案件も入っています。そう、50代半ばになって定年前後とその先まで、つまり「人生のすべて」を意識するようになったのです。

そんなわけで休みの日に、新聞(一部、雑誌もある)の切り抜きが詰まったA4書類袋を棚から引き出して、分類したり、圧縮したりしています。「こんなの置いておくほどのものじゃないのに」っていう記事ももちろん、あります。「ひゃー、10年前はこんなだったんだ」とかね。内容とは別の面でいうと「昔は新聞記事の文字がこんなに小さかったのね」というのも感慨深いです。ある時点の最新情報を得る、という目的だったら、別の方法でいいと思うんですよ。私も簡単に調べるならウエブ情報だし、まとめて知りたいならノウハウ本的な書籍を入手します。新聞記事だって、その時に必要なだけの情報ならウエブでもいいでしょう。でも文字として残り、本よりも多様な視点を、コンパクトに集めておいておける点が、新聞記事ならではの魅力。時々に見返して、自分の考えもそれによって熟成して「成長していく」。将来、職業から完全に離れたとしても、日刊工業新聞は別として(ビジネスの新聞ですからね)、完全に新聞購読を止めることにはならない気がします。自分の職業が記者だから、というのとはまた別な観点で、新聞が好き。ブログでここまで書いて初めて、そう思いました。

| | | コメント (0)

2019年3月11日 (月)

ランチ用プリペイドカードで慌てる

「山本さん、サンドイッチのサブウエイ、明日で霞が関ビルのお店が閉店だそうですよ」「えっ!」「山本さんに紹介されて、昼食時間がずれたときなんか便利だったんですけれどね」「10日前に使った時には、なんお案内もなかったのに。まだだいぶ、プリペイドカードにお金が残っているんだけど…」。急ぎその日のランチに使って、「現金引き出しはできませんか」と聞くも、やっぱり無理。こうやってお金を取ってしまうのも店の戦略の一つなのでしょう。悔しい。「では取り置きできるものは何かありませんか」と聞くも、クッキーくらいしかない。困ったなあ。

もちろん他店舗では使えるのですよ。「そういえば、美容院の近くにあったな」と思い出しました。でもたまにしか行かないのに「しまった、カードを忘れた」なんて慌てるのも、「カードを忘れないように」ってずっと意識為ていなくてはいけないのも、辛い。たいした額でないのに、そんなことにエネルギーを割いている若さは、もうありません~(笑)。

それで最終日。情報を提供してくれた同僚におごって、使い切ることにしました。合計、2000円ほど。「パン、レギュラーでなくて倍にしない?」「トッピングもどんどん入れてね。あ、でもこぼれ落ちそう~」「スープの値段が高くて、『こんなものを買う人がいるのか』と思っていたのだけど、今日初めて買うことにします」「あ、ポテト? もちろんOKよ」「そうだ、今晩の夕食用に買っていくっていうのはどう?」と、あらゆる手段で2人で2000円超とすべく、がんばります。なんだかお金持ちになったような気分。「もっと高いモノはないの?」なんて気持ちになったのは初めてです。最後に「あといくらかしら? じゃあクッキーを3枚、でいいかな?」と、カード残額をオーバーした端数を支払って完了。カードはもちろん「処分してください」と定員さんに頼みました。

そうして仕事机のところで食べていると、はっ! と気づきました。しまった、部の仲間のAさんに「明日のランチにこない?」と誘えばよかった、と。食いしん坊のAさんは反応がよくて、お菓子などユニークな食べ物をあげるのを、こちらも楽しみにしているほどです。「これ、食べてみて。秋田の『もろこし』っていうの。そう、おいしいでしょう! 小豆の粉に砂糖を入れた、まああんこの粉末を、落雁風に固めたものみたいよ」という会話もした覚えがあります。そのAさんを思い出さなかったのは失敗です。とりあえず黙っていることにしましょう。話すとお詫びとしてごちそうする羽目になり、カード残高2000円以上の出費になりそうですから(笑)。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年3月 6日 (水)

「ほめすぎ」記事、東工大はどうだったか…

取材先に対して「ここは乗ってるな」と感じる時は、複数の案件をとりあげて盛り上げるという意識を、私は持っています。

1年前の今頃だと、東京工業大学ですね。4月からの益新学長の就任は頭に入っていて、まずは退任する三島学長に取材、記事を準備していました。東工大の工学系教育改革は学部・大学院を統合しちゃうという、他大学の追随はまだ出ていないウルトラCだったので、その振り返りです。そうしたら3月末に指定国立大に決まって。「指定国立大の計画を立てた幹部に聞くなら、三島学長に聞く? って、先日取材したばっかりですねん。どんなに急いでも記事掲載時には大学を去っているわけだし…」と悩みました。検討の結果、設計の中心で4月から筆頭理事となる佐藤先生に取材、となりました。さらに新学長会見もあり、単独のインタビューもあり…。記事は三島先生のまとめ記事、田町に複合ビル建設のニュース、研究を基にした事業会社の設立ニュース、指定国立に決まった名古屋大との合わせ記事など続きました。その後、新学長連載の初回に、益先生に登場いただいたところ、ウエブヒット率がすごく高くて。並みのインタビューとは違う数字に、集中記事の効果を実感しました。

その次の対象はA大学です。まだ継続中でもあり、名を伏せましょう。学長選の解説、新学長の紹介第一報、会見から…とあって。研究と産学連携の国の事業採択も、驚くような善戦です。ここ数年、勢いがあることはわかっていたので、まさに集中取材のタイミングだと注力し、「取材先のみる目も変わったはず」と自信を持っていました。

ところが。同大の実務の先生に電話した時のこと。「最近、たくさん書いているでしょう?」っていったら、軽く笑って「ほめすぎ」って返答が。ほ、ほめすぎ? そんなことをいわれるとは思わなかった。いつも広報や幹部が相手だと「よく書いてくれてありがとうございます」って返事をもらうものだから、親しい現場教員の正直な感想に、ショックを受けました。

集中的に取り上げるの、そう悪くないと思うんですよ。「勢いがある」って伝わるわけですから。でも、報道メディアとしては、「持ち上げすぎ」と思われるのはちょっと具合が悪い。広告料金をもらうことを前提にウェブ記事を書くアフェリエイトとは、違うのですから。一般紙などのメディアは批判精神が重要な存在意議となっていて、記者会見で「よくそんな質問を、大勢の前でできるなあ」と思うケースがあるほどです。専門紙はある意味、その分野のコミュニティー紙との位置付けでもあるので、さほどではありません。が、「報道」を銘打っている以上、偏っていると思われるのは好ましくない。だから、気づかぬうちにそう見える記事を書いていたというのが、ショックだったわけです。

さて、どうしましょうね。集中取材も禁止ではないけれど、「なるべく多様な大学を取り上げる」ことを心がけるのが一案でしょうか。そう、冬は苦手の私は、1-2月に遠出(八王子とか茨城とか)する取材を意識的に減らしていました。雪で動けなくなる心配もあるし、って。でも暖かくなってきましたからね。そろそろ都心以外の大学へと取材の網を拡大することにいたしましょうか!

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2019年2月 | トップページ | 2019年4月 »