先日、「これは大反響間違いなし!」と意気込んだのは、内閣府の新事業「国立大学イノベーション創出環境強化事業」で明らかになった中身でした。6月27日(木)の一面に掲載。ところが反応は「?」。悔しい心を抑えつつ、その後のまとめ記事を7月25日(木)の大学面で紹介しました。合わせてのニュースイッチでの展開が以下です。https://newswitch.jp/p/18564
この案件、19年度新予算として1年前から弊紙は大きく書いてきました。今回、具体的な事業の中身を取材して「おおっ」と思ったのは、補助金ではなくて交付金の形だったからです。補助金は特定の使い方で縛られていて、研究ものの補助金ですごい金額が付くと「使い切れない」という悩みが出てきたりするほどです。ところが交付金は、使途が決められていない。つまり、「ほぼ10年で1%ずつ減って、近年は横ばいのまま、傾斜配分が入ってきた運営費交付金」を補う、強力な資金になるわけです。これが大きい。私だって実は取材に出向いて、「交付金でするって、どういうこと? 運営費交付金以外に国立大では聞いたことないよ」って思いましたから。それで1面掲載を希望したわけです。
このとき、掲載日にも気を配りました。というのは取材先に内部了承の要があって、「もう少し待って」という状態だったのです。さらに6.28金には、全国立大に声をかけたという説明会があり、その案内が中身は伏せたままで出されていました。のでぎりぎりの木曜掲載。「よしっ! これでヤフーやらニューズピックスやらで配信されたら、『なんだなんだ、説明会の内容ってこれ? すごいじゃん!』って国立大関係者(出席する事務長レベルの人を中心に、役員クラス)の間で話題になると思ったのです。かっこいい! うっとり、です。…ところがこれ、他のウェブニュースではまったく取り上げられなかったのです。それどころか! 弊紙の公式㏋でも、紙の紙面と構成が異なっているために見つかりません。問い合わせたところなんと、政治経済系のカテゴリーに「放り込まれて」いました。そう、「これ、科技じゃあないし、うちは教育のカテゴリーもないし、なんだろうね」って感じで放り込まれたんだと想像します。それで気づきました。「私が書く案件は、内容に加えてカテゴリー分類でも単純でないから、扱いがイマイチになってしまうんだ」って。
他メディアの反応も同様です。この件、どこも書いてきませんからね。通常、国立大の運営の話は文部科学省内取材へ出向く、一般紙の社会部教育担当の記者が手がけています。対して内閣府は担当がものすごくいろいろあるものの、科学技術・イノベーションの政府全体戦略は一般紙の科学部記者がウオッチしています。今回の案件は、その狭間。業界用語で「お見合い」と呼びます。「内閣府だから科技の記者がするでしょ」「高等教育は社会部でみているわけだから」と、どちらも相手の様子を見るだけで、動かない。「何が何でも!」という情熱に欠けている(笑)。そのため、産学連携で「科技と高等教育のどっちつかず」を標榜する私としては「敵なし」です。いいですねえ、ライバルがゼロの領域でぐいぐい出て行く創造性。まさにイノベーションです。将来、花が開いたら、ですが(笑)。他メディア(一般紙も、ウェブメディアも)が反応してくれないと、「これ、たいしたことない話だったのかな」「まさか記事が間違っているのではないだろうな」って不安になる。でも「ついてこれないくらい創造的な仕事をしているんだ」と、前向きに解釈することにいたしましょう。