« 2019年10月 | トップページ | 2019年12月 »

2019年11月

2019年11月24日 (日)

女性職員が元気な山口大、東工大は学長が…

山口大学へ、産学連携や広報のコミュニケーション話をしに出向きました。同大は「知財教育」という他大学ぶっちぎりの強みを持っています。6年ほど前から知財を1学年約2000人の学部1年生必修にしているのです。さらに最近はデータサイエンスも1年生必修にしていますが、こちらはともかく、知財の必修(文系でも重要な著作権など含めて)は普通、考えられませんよ~。さらに他大学の教職員に、開発した知財教育の教材を提供し、ノウハウを伝える役割を、文科省認定の共同利用の拠点として担っています。「共同利用・共同研究拠点」は知っていましたが、教育活動でのそんな仕組みがあるって、私もそれまで知りませんでした。
http://kenkyu.yamaguchi-u.ac.jp/chizai/?page_id=1956

地方大学ではちょっと親しくなっても、学長が代わったらつながりはそこでお終い、となりがちです。頻繁に地方へ取材に行けない私としては、仕方がない。弊社では普通の案件は、地元支局の記者が担当するためです。でも山大(山形大学も山大といっていた気がするけれど、どうでしょう?)とは法人化前後の、大学の知財が盛り上がった時からのお付き合いです。特許庁出身のため知財や官庁にも強い大学人が私のキーパーソンで、「今こんなことが問題になっている」と時々に教えてくれるのです。しょっちゅうではないけれど。それで山口大の記事を書いたり、ヒントをもらって官庁取材に出向いたり、細く長くで15年ほどのお付き合いとなっているのです。

現地に出向いて今回、感心したのは「教職協働」つまり、教員と職員の距離が近くて、「一緒に改革していこう」という姿勢がよく見えることでした。一般に職員は、教員を「支える」意識から黒子に回って、記者など外部訪問者に対して近づいてこない印象です。でも同大は中堅女性職員が役員男性教員に、「同僚」という雰囲気で冗談を言っている。そして教員が促さなくても自ら、名刺交換で私に声をかけてくれます。まあ取材ではなくて、講演で職員も参加していたからという面はありますが。私立大学に比べて国立大学は、教職協働がやりにくい環境だな、と思っていただけにちょっと驚きました。

どうしてこんな風になるのかな、と考えて、岡正朗学長の人柄だと思い至りました。いつも笑顔。医学部出身とは思えない気さくさ。職員にもさりげない心配り。常に前向き。「北風より太陽」です。大学改革を進めるのに、強権的なトップ(北風)では、部下はコートの襟を立て下を向いてしまいます。でもポジティブシンキングのトップ(太陽)なら、部下は上着を脱いで、腕まくりして「よしっ、一仕事!」となるわけですね。こういう反応は、とくに女性職員で顕著なのではないでしょうか。

それで似た大学を思い出しました。東京工業大学です。益一哉学長も笑顔で気さくです。
半年前のホームカミングデー(私の修士時代の母校なのです)では、女性の課長や室長が続々と名刺交換に寄ってきてくれて、びっくりしました。かつて&今の広報課長の女性と親しいことから、私の話が伝わったのだろうと想像しますが、「女性管理職がずいぶんと多いんだな」と感心もしました。

さらに今ひとつ、気になる国立大学が出てきました。学長リーダーシップがすごいと聞いて、初めての出向いた長取材。なんと、学長が声を挙げて笑うではないですか。女も男も愛嬌です。人を相手にする仕事ですからね。さらにフォローの取材をした相手は、とても係長とは思えないレベルです。この背景を探りたい! 秘訣を明らかにしてまた、ご報告いたしますね。

…ところでアップした画面をみると、表示が変ですね。どうしたらいいのだろう…、すみません、とりあえずこれで行かせてください!

 

 

| | | コメント (1)

2019年11月 9日 (土)

「個人的にこう感じる」を大御所パネルディスカッションで発言す

文科省の科学技術学術・政策研究所(NISTEP=ナイステップ)が主催した「NISTEPフォーサイトシンポジウム~第6期科学技術基本計画に向けて日本の未来像を展望する~」に、パネリストとして出席しました。私も会社では年長者、でも大御所ばかりが登場するこういった場では最年少です、笑。今秋に購入したお気に入りのスカート(スカート単体として、私の予算感覚を越えていたけれど、あまりにきれいで購入を決断したもの)を身に着けて出席。取材側として出ていた同業他社(専門紙)のNさんに、パネリストなのを冷やかされて、「今日はおしゃれしてきたんですよ~」と、照れ隠しだか自慢だかわからない発言を返しちゃいました。

パネルディスカッションは45分など講演を終えた講演者数人と、パネルだけの数人で行われ、私は後者です。パネルだけといっても5分程度の話題提供をするので、「よしっ、6期では人文・社会科学系の研究者全体も支援対象とすることが議論されている(今は自然科学系と、こことの融合研究をする人文社会科学系のみ、が対象)ことを取り上げよう」と準備しました。省内のやりとりもして、テーマの選定はOKと確認していました。ところが。

登壇者は皆、組織の長などなので、その組織の政策議論の報告などが続きます。…基本、全員が。そこに来て最後の私は、「自然科学系と人文・社会科学系の研究者の間にはこんなギャップがある。社会人博士研究でも、取材でも、省内委員会委員としてもこんなふうな経験があった」という発表です。わ、わたしだけが完全に個人的な話をしている?? と、自分の番が迫る時間帯はちょっとだけ、びびっていました。

でも。今は多様性の時代ですからね。皆と違うことをいうことに価値がある。ましてや私は組織をまとめる仕事ではなく、ジャーナリストなのだから。ということで、思い直して。開き直って堂々とその話をしました。そうしたらその後のディスカッションで思わぬ反応です。ディスカッションといっても人数が多い時は、順番に発言する形になりますよね。それで、モデレーターの科学技術振興機構(JST)の浜口道成理事長(理事長がモデレーターをするというのも、大変なことですう)が順番に投げかけます。私の前まではだいたい「他のパネリストの意見を聞いてどうでしょう」といった質問だったので私もその準備をしていたのです。ところが「山本さんの~については」と具体的な質問がくるではありませんか。あせっちゃいました。

さらにパネリストの岸輝雄先生(外務大臣科学技術顧問という肩書、これまたすごいですね)が、「山本さんはこう発言していて、確かに私も…」と発言されたのでびっくりです。岸先生、著名だから私は存じ上げていましたけれど初対面。シンポジウムの終了後に名刺交換した始末だったのに。それで確信しました。「政府や各組織の話も取材で頭に入れつつも、私個人が感じたことや現場の個人の声を紹介することが、こういう場では最適なんだ。そう、私は新聞記者なのだから」と。この件は翌日、先のNさんともおしゃべりしてさらに自信を深めました。

いいですね、この感じ。私の性格にぴったりです。若い頃は経験が浅くて、さらに元からはみ出している(女性の少ない大学院、理系出身者もまだ珍しい入社まもない頃)ので、不安感が強かったんですよ。でも経験を重ねてだんだん、ずうずうしくなる(笑)と同時に、そういう不安の元、マイノリティー性が歓迎されるようになった時代性が重なりました。不思議なことです。「運も実力のうち」という言葉は、「運や時代を生かす才覚は、実力の一つ」という意味だと思いますが、それだけだと自画自賛で終わってします。だからこういう時は、これです。「運や時代に感謝する。そしてお礼は次の仕事で、社会に返していく」。この意識をまた、新たにするのです。

| | | コメント (0)

2019年11月 4日 (月)

フリマ出店で感じた「相手を思う」難しさ

「コミュニケーションは相手を思って」というのは、私の科学技術コミュニケ―ションの講演で必ず入れる切り口です。相手が何に関心があるのか把握した上で、こちらが持っている情報を発信すると、受け入れてもらえる。記事にしてもらいたいリリースを作成し、記者発表する時などのノウハウとして、口にしています。ところが。この連休中に地元のフリーマーケットに出店する中で、その難しさを実感しました。

私が出したのは「大好きだけど、もう私には使えない」といった、大事にしてきた(実のところあまり使っていない)グッズです。文具とかポーチとか。好きで、使い切った感があるモノの場合は、私は「これまでありがとー」と感謝の声をかけて、ごみ箱に送っています。でも、ごみ箱行きには惜しい、きれいなものは、だれかに使ってもらいたい。だって好きなものなのなのですから。

実はフリマ出店は2年前に体験していて、ノウハウを積んだと思っていました。ところが不思議はいくつも出てきます。多くの人が手に取るも、結局、手放すというものがあるのです。その理由がわからない。まず、見た目は地味なんですよ。手に取って調べたところで、汚れてはいません。価格も聞かれません。手に取られて、また置かれてしまう…。

それから一緒に出店した仲間は古いレコードやCDを並べていました。私は「そんなの見向きもされないよ」と思いました。でも若い人も含めて、意外に足を止めてくれる。CDなんてリサイクル店で大量に出ているのに。レコードは「人気復活」と新聞記事で見たけれど、それはマニア向けであってそういう店にもっていかなきゃだめでしょう、と思ったのに。数人の年長者に「レコードのプレーヤー、持ってますよ」と言われてびっくりです。一軒家にずっと住んでいると、処分せずにおいておけるんでしょうね。

極め付きが、巨大なぬいぐるみです。某所から「フリマにどうぞ」と回ってきて、そこでも使っていたらしいくたびれが少々、あるけれど、なにしろ人気キャラクター。超かわいい。幼稚園生くらいの大きさがあって、私も自宅の椅子に一週間ほど座らせてかわいがっていました。色もピンク。絶対に客寄せになると思ったのです。ところが子供が寄ってくることはなく、買おうとしてくれた人も皆無…。最後は、仲間が「タダでいいですよ」と幼い子を連れた家族4組くらいに声をかけたけど、すべてお母さんが「うちにはちょっと…」と渋って×。気づきました。大きすぎるんですね。子供が小さいうちは賃貸のことが多いし。「うちだって、ちょっと…」です。引っ越しを考えている身(だからフリマを考えたのもある)だけに、それぞれの住まいの事情に気づいて感ずるところが多いですねえ。

新聞記事も最近はウエブで、「いいね」数など見られるのですが、私の予想と異なる反応が時にあります。でもフリマは目の前にお客さんがきての反応なので印象深い。記事にしても「私が想像しきれていないギャップが、もっともっとあるのかもしれない」と思いいたりました。だから「こんなの、記事になりませんね」とか「~にきまっているでしょう」といった姿勢(相手には露骨には言っていませんけど)を反省します。駆け出し時代の清らな(笑)心に戻って、明日からまた取材に励みましょう~。

| | | コメント (0)

« 2019年10月 | トップページ | 2019年12月 »