卒業を前に恋心を知る?
今をときめく某テーマで、親しい取材先の先生と2回の【協業】をしました。手がけたことは記事の掲載なのですが、「これは絶対に社会に発信すべきだ」という内容で、懸命に連携したという感じから、こんな表現にしました(笑)。いずれも昨秋に出向いた時に「今はまだ書いちゃだめ」の【待ちネタ】(って私の造語です)で。概要は聞きつつ、「可能になったら連絡を」という状態でした。
まず初回は年末です。「明日、リリースします」的なメールが来て焦りました。だって明日って外取材が入っていて、締め切りまでに書けるかというと、うーん悩ましい。だいたいこれ、リリースに合わせた「発表」ですからねえ。私、発表ものはキライなの。だって私でなくても記者ならだれでも書く(書ける)ものだから。自分で発掘して取材した「オリジナル」を偏愛しているのです。メール添付を開けようとするとうまくいきません。しめた、開かなかったとのいいわけで、パスしちゃおっかなあ。出先で慌ただしく、スマホを使って連絡をします。ところが夜遅くに先生からちゃんとした資料の再メールが入ります。今度は…、開けました。その時点ではまだ迷っていました。記事にはするけれど即日ではなくて、ゆっくり書く。【日遅れ】を後で謝ればいいかな、と。でも先生からのスマホメールが「よかった!!」となっているではありませんか。子どもっぽいメールは書かないタイプなのに、びっくりマークが二つ、赤字で入っている…。まいったなあ。
しようがない。大幅な時間外労働ですが、執筆しましょう。「書くとなったら、発表でもなるべくオリジナル色を出す」というのが私流。先の取材の取材メモをひっくり返します。そうしたら「これはすごいワ」という記載が出てきまして。リリースには書かれていない部分です。これを記事のリード文に入れて、見出しにも取ってもらいました。結果、私の「2019年でトップじゃないか」というくらいのすごいウエブ反響になりました。やったあ。がんばった甲斐がありました!
そして二つ目はついこの間です。今まで手がけたことのないテーマで、てこずりました。先生に電話をするも時間が合いません。メールで答えてもらっても「何を意味しているのかよくわからない」文面です。大学人でしかわからないような表現にトホホです。省内に問い合わせてもらちがあきません。またまた、1回目に続いて、参りました。そのうち先生は海外出張に行くとのことで、「メールならやりとり可能ですよ」と。他メディアが書くことはないだろう(この件で私より理解が早い記者はほとんどいないはず)と踏んで、省内の別の部署にもう一度、出向きます。理解が進みましたが、まだ不足です。週末を挟んで、もしかして…とメールすると先生は「はい、帰国しています」。米国行きでもう帰国ですか。あ、私の動きが遅いってだけですね…。通常なら「もういいや、ボツ」とするところです(記者はわりと、ボツの選別が好きにできるのが、横柄になってしまう要因の一つでしょう)。ですが、前回のこともあるし、この案件も「情報価値は高い、絶対に注目される」と確信していました。泣きそうにながらも粘ります。数字の計算は間違いが危ないので、あまり入れたくないけれど、情報としてはどうしても必要で。出稿してからも2回ほど、先生に確認をするありさまでした。そうしてようやく、掲載。先生から「日刊工業のランキングでもいい感じですね」「フェイスブックでも反響が大きいです」と連絡を受けて、ああ、よかった。ウエブで反響がよくわかるから、がんばれたという代表的なケースです。紙面だけだったら、反響もどうせよくわからないから、投げ出していたかもしれません。
実は最後にもう1件、今度は企業人同席の再取材をリクエストしています。最後というのは、残念なことに先生はこの春で定年退職なのです。こんなにすごい情報を、立て続けに出す人だったんですね。いえ、長年の付き合いだからうすうすは知っていました。でも少し前までは、別の同僚記者が研究成果の取材で、べったり先生に付いていものだから…。「まあいいや」って。でもその記者も少し前に離れたことだし、先生のところにもっと顔をだしておくべきだったかな…。あっ、これ、卒業を前に「私、あの人のことが好きだったんだ」「どうしてアタックしておかなかったんだろう」って思う、それと同じ?? べったりの同僚記者に私、焼き餅をやいていた?……笑……
でも先生は今後も、研究をメーンに大学に残る様子です。そうなんだ。じゃあまたアタックできるかな。でも、研究かあ。私、大学ものが好きなんだけどな。ロマンチックなような、利害にまみれているような、不思議な立ち位置のまま、次の取材に進むとしましょうか。
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