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2020年6月

2020年6月28日 (日)

ビジネス誌のコロナ検査の記事で思う、専門誌/紙の立ち位置

ビジネス誌は購読はしていなくて、会社でとっているものを時々、借りてきます。仕事なら大学もの、プライベートなら健康や親問題(問題はないけど慎重派なので予防的に、笑)のテーマのものです。今回は週刊ダイヤモンドの2020/4/4号(ちょっと前のもの)の、健診・検診(この二つの違いをここで初めて知った)の号でした。新型コロナウイルス感染症の簡易検査の記事が秀作だったので、記します。今はもう精度の高い信頼できるPCRが多く使われるようになったけれど、抗体反応の簡易検査の実施が、なぜ慎重だったか。ビルゲイツや孫正義、三木谷史らの面々が主張していた検査増は、そう簡単なことではなかったのだと、計算付きで解説していました。

まず感染している人を正しくたっだしく陽性と判定する確率「感度」と、感染していない人を正しく陰性と判定する確率「特異度」が、どちらも100%という検査は基本、ないというのが前提だそうです。抗体反応はこれらの数値が低い。感染率の低い日本大勢の人の検査に使うと、偽陽性も偽陰性も大量に出てしまう。本当は陰性なのに陽性となる人が多く出ると、医療機関を無駄に占領して、本当に必要な患者がすくわれない。また陽性なのに陰性となる人が多く出ると、「感染していないと思って街中に出て、その結果、感染を広めてしまう」ことが起きてしまう。これはダイヤモンド・プリンセス号の乗客から実際に起こったことなのだと。「全体の9割が感染している110人集団の検査」は、「全体の5割が感染している20人の検査」より、間違いの結果がめちゃくちゃ多くて、大混乱を引き起こす。だから他の症状などから患者らしい人を絞り込んでから、検査をする必要があるという話なのです。そうなんだ~!

これ、ダイヤモンド・プリンセスでも起こったということは、けっこう現場では当たり前の話なんだよね? でもそういう情報の報道はあまりなかった気がする。私もわかっていなかったし、知らなかった。先ほど出てきたような一流のビジネスパーソンだってわかっていなかったわけでしょう。説明を受けてみると、さほど難しい話ではないのに。報道と社会のコミュニケーションの問題として、かなりショックです。

一方、大学ものもいつも人気のテーマで、このところのビジネス誌で2つほど手に取りました。ところが。どちらも「何がおもしろいの、みんな出ている話じゃない」「著名なビジネス誌(日本ではですが)の巻頭一大特集なのに、このレベルなの」とちょっと驚きました。でも。コロナの検査とヒット率のことを考えると、専門家にしては「みんな知っているよ」で、私は「そうだったのか!」という内容だったわけですよね。だから、同じことだと(逆のこと、といってもいい)気づきました。ビジネス専門誌といっても、プロ中のプロ(ごく少数)に向けたものか、ビジネス一般のテーマとして広くアピールするのか(読者数は多数)で違うわけだし、日刊工業新聞という産業専門紙にしてもそうなのだな、と。どちらに向けた記事も意味がある。私もどちらも書ける、時によってそれぞれに向けた記事を発信する、そういう立ち位置を意識していこうと思いました。

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2020年6月18日 (木)

新聞読みは通勤電車内から自宅へシフト

年明けに引越して、「どの時間の電車の、どの車両に乗ると混まないか」などいくつかトライしているうちに、新型コロナのテレワークなどに入って、なんだか中途半端になっていました。6月に入って高校生も車両に乗るようになり、混み具合は以前に近くなったようです。この先はテレワークの浸透もあって、以前よりは余裕ある形での今の通勤スタイルが定着なのかなあと思っています。

変わったことは「新聞を朝、電車内でなく自宅で開くように変えた」です。これは引越で、山手線駅から郊外の駅までの距離が長くなり、快速など早い電車に乗るようになったため、「けっこう揺れる中で、立ってで、朝は途中からかなり混む」という状況になり、新聞が読みにくくなったためです。前は各停しか止まらない駅だった(ちょっとひなびているけれど各停駅は、山手線駅から比較的近いところでも、家賃がリーズナブルな気がします)ので、座って新聞を広げて読んでいけたのですが、これは不可になりました。ただ、コロナで読まなくてはいけない記事が増えた(仕事の担当以外にも、テレワークとジョブ型雇用など関心が広がった)ため、正確には「自宅で、読むページ・記事を選択して切り裂き、それを持って出かける」感じです。

さらに最初の郊外電車は立つため、ペラペラした新聞ページは扱いにくく、読み物は文庫本などになります。山手線内の地下鉄に入ってからは、座って記事切り抜きを見ます。ということで本を読む時間がこれから少し増えそうです。さてどんな本を、どんな風に入手していくか、次の思案です。

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2020年6月14日 (日)

年長者はデスクライトを1000ルーメンに

仕事をする時の机の明るさが今一つで、「まあ、これくらいが普通かな」と我慢していたのですが最近、ぐっと明るいスタンドを購入し、快適さが極めて高くなりました! まずは文科省記者クラブの自席です。共用のフロアライトだけで、「皆、個別のスタンドライトはナシでやっているから」と我慢していた感じです。ところが年の離れた同僚と話すとき、ふとPC画面を見ると皆、文字が小さいんです! 「こっ、こんなに小さいフォントで読めるの?」って感じ。一人ではなくて、何人も。つまり若い人は、小さな文字でも読めるし(このこと自体は、老眼世代との違いとして頭にあったのですが)、明るさについてもさほどでなくても大丈夫ということでしょう。「みんなが我慢している」のではなくて、「年長の私だけ、文字が見づらいと感じている」んだなと。それで購入を決めました。

私は「プロを信用して相談をして、その上で自分で決める」というタイプなのです。が今回、初回はびっくり、店員のレベルが低かったんですよ! 先に展示を眺めて、「そうか、自席スペースに余裕がないから、PCからUSBを通じて給電するデスクライトを選べばいいんだな!」と思って。ライトの係だという若い店員さんに尋ねたのです。そうしたら把握に時間がかかったうえ、「あ、これならUSB接続が付いていますよ」といわれて、決定。清算を終えて帰りかけた時、ふと思いました。他のスタンドの宣伝の写真であったのは、スタンドライトの側面にスマホをUSBでつないでいるものだったことを。ちょっとまて、それ、「スタンドがPCから電気の供給を受けている」のではなくて、「スタンドからスマホに電気の供給をしている」状態だよね? もしかして電気の入りと出が逆? 戻って調べてもらうと、それが正解でした。店員さんだからといって信用してはいけないんだ、とショックです。確かにアルバイトが少なくない業界ですから、私が甘かったのかも。ウエブで先に、「スタンド購入のポイント」を調べてこなかったのがいけなかったんだ、と反省しました。払い戻してその日は諦めました。

そこで社内の、電気・電子モノの私の師匠ともいえる人に聞きました。スタンドなんて聞くまでもない、と思っていたのですが。ウエブで調べた時は、「USB給電が便利じゃん」と安請け合いしたのですが、ここへきて「USBからの給電ですむスタンドって、ひょっとしてかなり暗いのしかできない?」と自分でも気が付いたからです。はたして、それが正解。「飛行機内の読書灯くらいです」といわれました。なんと。ということで仕方がない、コンセントでの給電タイプに戻ります。さらに「蛍光灯ではなくてLEDとなってから、明るさの表示はルーメンで占め症になっている」ということを初めて知りました。ルクスではちょっと意味が違うそうです。「デスクライトなら500-800ルーメン」「スチール机や壁に付けられるなら、バーライトが邪魔にならない」と聞き、これで自分で選びなおしました。バーライトというのは、薄いライトをマグネットなどでスチール机に張り付けた感じのものです。店頭であれこれ種類を見比べて、決めたのは、1100ルーメンでよこ幅60センチメートルもあるものです。超明るいです。一回り年下の同僚に「それ、いいですね。そんなに明るくなるんですね」といわれました。欠点はオンオフがセンサーになっている(タッチ式はなかった)ため、資料やらペンやらを振り回すとすぐ、消灯してしまうことですが。というわけで95点、かな。

それで次は自宅です。こちらは古いスタンドを無理して使っていました。が、「ウエブ会議で映し出される顔をきれいにみせるためには、前からの光が必須だ」と知り、窓との位置関係から難しかったので、よし! と買い換えました。自宅の机はPC用で横に長く、資料もPCの右へ左へ広げまくるので、それに対応できるタイプです。バータイプは設置できない壁なので、回転部・伸縮部がたくさんあるスタンドです。それで、1000ルーメン。大正解。今もそれをつかってサクサクとPCのタイピングをしています。年長者でも文字と関わる時間の長い皆さま。新しい1000ルーメンのスタンドライト、おすすめですよ。

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2020年6月 8日 (月)

コロナで幹事業務はどうなった?

幹事業務、例年通りこの期間にありました。終了、したところです。いやあ今年は、コロナがあるのでいったいどうなることかと心配でした。が、「終了するまでこのブログに書かずに済んだ」ということは、つまり「大事はなかった」ということになります。

まず、全体に例年より案件はぐっと少なくなりました。科技系の研究成果の発表は減っていない(これは予想外)のですが、ウェブ会見となることが多かったです。そうなると、記者クラブでの開催ではないので幹事としての役割はなく、各社のその分野の担当記者がPCで会見に参加するだけです。そして文教系。弊社が取り上げない初等中等教育や文化やスポーツで、大物案件(不祥事など)があると大変です。専門家だけでなく、市民活動家や、自殺生徒の遺族などの会見もあるのです。対応に右往左往して、一般紙記者に怒られる…というのが、過去の幹事の仕事としての恐怖案件でした。それが今回はぐっと件数自体が減。コロナ対応の教育の通知や9月入学問題はありましたが、なんとかなりました。

それからメディア側、これは弊社も他社もテレワークに。当社も交替で文科省に出て、その日の幹事業務をするという形でした。対応できるメンバーが少ない点も心配でしたが、個々人でみると「緊張する文科省担当日、自体が少ない」というメリットもありました。

実は幹事スタート時に、「こんなのできる?!」とあせったテーマもありました。それは大臣室での案件が、コロナ対応で代表取材に切り替わったことによります。撮影の映像だけでなく、「来訪者との意見交換など、文字起こしした文面を、代表者から皆に配布する」という話が出ていたためです。全文の文字起こし!? 私はそんなことは普段、していません。ICレコーダーを使っても、必要な部分を聞き直すだけで、基本は筆記メモを使いますから。それで周囲に相談して、「レコーダーの録音を自分で聞きながら、それを発話しなおし(英語のディクテーションです)して、それを音声認識で文字変換してくれるソフトで原稿にする」という方法を検討しました。いえ、検討「しかけた」のですが、幸いにして使わずにすみました。つまり大臣室での意見交換時はメディア退席だけど、その後にぶら下がりの取材があるという形になり、皆の質疑応答はここでするというケースが大半だったからです。どうやらコロナ対策は、大臣室の中を慎重にすれば(大臣が罹患したかと危ういケースが他省庁でありましたからね)、あとは気をつけながらの各社取材でいい、とのことなのでしょう。よかった…。

文字おこし関連で、ソフトいじりや今後の対応をしたのか、って? しようかと思ったのですよ。いざという時に、「明日必要だ」となった時にぱっと対応できるようにって。でも結局、しませんでした。だって次回、必要になった時はもはや、新しいソフトや機材が一般的になっているかもしれないから。Zoomだって今回、ばばっと広まったわけでで、以前に取材で一度だけ体験したスカイプは、あまり見受けられなかったですし。大学など学びもそうなんですよ。広くすべて学ぶことはたいそう、大変なので、「何かあった時に、どこに当たってどんな風に調べるか」を体得しておく。それが重要なのです。

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2020年6月 4日 (木)

メディア深掘り、優劣も見えるコロナ関連記事

こんなに多面的に、かつ深く考えるエポックは新型コロナウイルス感染症対応が初めてかもしれません。オンライン授業や9月入学という自分の担当のテーマでは、割合と早く社説や論説コラムでいい視点が示せて、その後に他メディアでも同様の話が出てきたものだから、「一般紙と戦っても私、けっこうやるじゃん」とちょっと嬉しく思いました。長年の大学担当に加えて、非常勤講師や博士号の経験をしてきたことが生きているなと振り返ります。新聞記事や専門家発言などから動向を知る~自分であれこれ考える~取材で当事者から話を聞く~という大きく三つでしょうか、この活動がいつも以上にない交ぜになって進みます。そうだなあ、研究開発とイノベーションでいわれる、「基礎、応用、開発研究の一方向ではなく、行ったり来たりして刺激合う流れ」が、一人でできるレベルになってきたんだな、とややエラそうですが(笑)、自負を持ちました。さらに本業テーマだけでなく、遠隔勤務の働き方や仕事の評価、格差社会、介護、流通サービスのビジネスなど、コロナはあらゆるテーマをいつもより深く考える機会を与えています。

他メディア、つまり同業他社のホメはあまりしないものだと思いますが、今日の朝日新聞のインタビューはすばらしかったですね。英オックスフォード大教授の苅谷剛彦さん。9月入学の政府議論のさなか、社会の負担など関連する予想数値の分析研究をスピーディーにして、社会発信したリーダーです。論文なんか待っていられない社会状況、でも政府の分析だけでなくて大学などの研究者(本人は記事で、民間、という表現をしていました)が、専門知を生かしてばばっと動いた、という今回の話を解説してくれています。内容も、そしてこういう記事にしようと考えたメディアもすばらしいです。論説懇談会で一緒になる氏岡真弓さん(今はたぶん年長になったことから、編集委員)らの署名です。

この内容、私は人文・社会科学の研究者と、関連する人々すべてに読んでもらいたいと思いました。「10年1日のごとく」の研究者ばかりでは、国民は「研究者も大学も、もっと減らしていいんじゃない」と思ってしまう。コロナでますます国の資金が大変になるわけですし。けれど、今回のような動きで専門家の存在意義が実感されれば、「そうか、いろいろな分野に研究者を配置しておくことが、何かあったときの社会の力になるんだな」と前向きに理解してくれるでしょうから。文系研究者の意識改革のきっかけとしても、秀逸だろうと感じました。

一方、少し前の大メディアの論説トップの記事。コロナで変わる社会のことを取り上げたのだけど総花的で、「この社の論説トップでこの程度のことしかいえないの? これくらいは分かっているっていう読者も、けっこういるんじゃない」というのが感想でした。ひゃああ、立場を逆に想像すると、こんな感想を持たれるなんて怖いことです。たまたま私は今回、いいタイミングで書けた記事がある(数歩先、という距離感だったため、ウェブでの反応も高かった)けど、いつもこうとはいきません…。コロナ関連は社会の皆が、いろいろな切り口でSNSなどで発信しているのだから、その中で大手メディアがたいしたことのない発信をすると、みっともないんだな…。他山の石として、鍛錬に励むことにいたします。

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2020年6月 1日 (月)

発表案件は好きでないといったけれど

発表より断然、独自(オリジナル)取材というのが私の好みですが、そうはいっても発表ものをしっかり書くこともあります。最近のZoom会見と、発表者とちょっと違うところからの取材と、2件でおしゃべりします。

一つはその分野では大トピックで、ウエブ会見のZoom利用で10人くらいが出てきた(一言しかいわない人も含めて)案件です。1人は赴任中の中国からで、一方で自宅からかTシャツ姿の人もいました。発表ものが嫌いな一つは、急いで執筆しなくてはいけないことです。以前、会見先の会場の隅で、PCをスマホにつないで原稿を送るのが上手くいかず、締め切りぎりぎりで泣きそうになったことがあります…。ところがZoom会見なら、行き来の時間はかからないわ、通信環境など慣れたオフィスか自宅で会見に参加して対応できるわ、この点は大歓迎です。今回は質問もしました。最後の質疑応答に挙手マークを押して、自分のマイクミュートをはずして発言する、という方法は以前にやっていました。ので今回は、執筆時間にあまり余裕がなかったこともあり、会見始まる前にさっそく、先方の説明に沿ってチャットで質問を送信。会見途中で少しだれて(笑)、Zoomをいじっていたら、この返事がぱっと画面に出てきて。おおー、会見の主担当の相手からの返事です。他の人が話している間に、返事のチャットを返してくれたんだ…。おかげで、他メディア人がマイクで質疑応答するも、私はもう完了という状態でした。メディアによって聞きたいことはさまざまで、「こんな質問で長々と時間を取らないで! 私に早く質問させて!」と焦ることがたまにあるのですが、今回は平気だもーん、ほほほ~。

もう一つは、私のキーパーソンと以前からやりとりしていて「この日時に来て」といわれて出向いたら、翌日リリースするとわかった案件です。話を聞きながら「今すぐ戻って、『明日の紙面をかえてくれ、原稿を突っ込むから』というほどの案件では…ないよねえ」とがっくり。「ボツにしようかな」と思ったくらいです。でもまあ、いちおうは発表日時より前に呼んでくれたので、それはしないことにします。戻ってからも、記事の大きさに悩みます。キーパーソンに「担当の▽氏に詳しくは聞いて」と言われて、それをはしょるかどうかも思案です。でも結局、がんばって電話で追加取材です。最初は「この電話、だれ?」とうさんくさげな反応だったので、私は「この件、ちゃんとした筋から聞いていますよ。これってAとかBとかにも関わるんですよね、すごいですよね」といった感じの愛想を振りまきました。その結果、最後は電話を切るときに向こうが「はいはい~」といってくれるようなノリに。ヨカッタ。追加する中身もしっかり聞けて、他メディアが書いてくるだろう内容より、ずっと魅力的な内容で書けそうです。発表ものであっても自信を持って出せる。「このテーマなら後日、この人のところに改めて取材に行ってもいいな」と思ったほどです。

とまあ。発表ものでもそれなりに配慮することで、未だに成長している私(笑)。実は今、文科省記者クラブの幹事期間中で、コロナ対応の今、幹事で仕切る発表ものについての話もしたいのですが、これはまた次回~。

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