ビジネス誌のコロナ検査の記事で思う、専門誌/紙の立ち位置
ビジネス誌は購読はしていなくて、会社でとっているものを時々、借りてきます。仕事なら大学もの、プライベートなら健康や親問題(問題はないけど慎重派なので予防的に、笑)のテーマのものです。今回は週刊ダイヤモンドの2020/4/4号(ちょっと前のもの)の、健診・検診(この二つの違いをここで初めて知った)の号でした。新型コロナウイルス感染症の簡易検査の記事が秀作だったので、記します。今はもう精度の高い信頼できるPCRが多く使われるようになったけれど、抗体反応の簡易検査の実施が、なぜ慎重だったか。ビルゲイツや孫正義、三木谷史らの面々が主張していた検査増は、そう簡単なことではなかったのだと、計算付きで解説していました。
まず感染している人を正しくたっだしく陽性と判定する確率「感度」と、感染していない人を正しく陰性と判定する確率「特異度」が、どちらも100%という検査は基本、ないというのが前提だそうです。抗体反応はこれらの数値が低い。感染率の低い日本大勢の人の検査に使うと、偽陽性も偽陰性も大量に出てしまう。本当は陰性なのに陽性となる人が多く出ると、医療機関を無駄に占領して、本当に必要な患者がすくわれない。また陽性なのに陰性となる人が多く出ると、「感染していないと思って街中に出て、その結果、感染を広めてしまう」ことが起きてしまう。これはダイヤモンド・プリンセス号の乗客から実際に起こったことなのだと。「全体の9割が感染している110人集団の検査」は、「全体の5割が感染している20人の検査」より、間違いの結果がめちゃくちゃ多くて、大混乱を引き起こす。だから他の症状などから患者らしい人を絞り込んでから、検査をする必要があるという話なのです。そうなんだ~!
これ、ダイヤモンド・プリンセスでも起こったということは、けっこう現場では当たり前の話なんだよね? でもそういう情報の報道はあまりなかった気がする。私もわかっていなかったし、知らなかった。先ほど出てきたような一流のビジネスパーソンだってわかっていなかったわけでしょう。説明を受けてみると、さほど難しい話ではないのに。報道と社会のコミュニケーションの問題として、かなりショックです。
一方、大学ものもいつも人気のテーマで、このところのビジネス誌で2つほど手に取りました。ところが。どちらも「何がおもしろいの、みんな出ている話じゃない」「著名なビジネス誌(日本ではですが)の巻頭一大特集なのに、このレベルなの」とちょっと驚きました。でも。コロナの検査とヒット率のことを考えると、専門家にしては「みんな知っているよ」で、私は「そうだったのか!」という内容だったわけですよね。だから、同じことだと(逆のこと、といってもいい)気づきました。ビジネス専門誌といっても、プロ中のプロ(ごく少数)に向けたものか、ビジネス一般のテーマとして広くアピールするのか(読者数は多数)で違うわけだし、日刊工業新聞という産業専門紙にしてもそうなのだな、と。どちらに向けた記事も意味がある。私もどちらも書ける、時によってそれぞれに向けた記事を発信する、そういう立ち位置を意識していこうと思いました。