取材相手のメールアドレス提供など、大学広報は柔軟に
新型コロナウイルス感染症の流行以後、どうも各メディアで引っ張り出してくる人の固定化が進んだ気がしていました。テレビに登場する医師はまあ仕方ないとして、例えば経済紙での読書欄で「あらまたこの先生? 科技の話ではないのに」と思うようなケースが続きました。コロナで対面不可がまだ多い時期で、無理をいえる人が限られていたのだと想像します。マスメディアにはある程度、幅広い人に出ていただく必要があると思うんですけれどね、個人のSNSとは違うのだから。
それには幅広くて強いネットワークを、連絡先の把握を含めて築いていなくてはなりません。ところがコロナでウエブ取材が増えて、きちんと名刺をもらえずに終わってしまうケースが、私の場合でも出てきているのが気になります。大規模大学で広報に申込むと、ちゃんと理事クラスを取材対応者に呼んでくれるのですが、その人の名刺相当の情報をほしい(もっともほしいのはメールアドレス)と頼むと、HPの公開情報URLしか教えてくれない…ということが数件、ありました。「連絡の場合は広報を通してください」っていうのですが、でも私たちの仕事では「これって間違いかも? 当事者に確認しなくちゃ、締め切りまで30分!」ということが起こるわけです。その時に広報のオフィスの固定電話に電話したら、在宅勤務で誰も出ないとか、メールしたら返事は翌日だとか、困るのですよ。取材相手と親しくなれば、取材時に本人に携帯番号を教えてもらうようにするのですが、さすがに大学の役員だと失礼かなと私も遠慮する面があって。急ぎの時には当事者と広報とその他数人に一斉メールして、どこかしらからは返事がもらえる、という形でなんとか今までやってました。先の官僚的な広報に百歩譲ってですよ、「では広報の携帯電話を教えてください」と伝えたところ、「個人携帯しかもっていませんので。オフィスに電話をいただいて、そこから広報の担当者個人に連絡します」って。それで急ぎの時に間に合うの? 以前は対応の優れた私立大学だったんですけれど、上司が管理主義者に変わったのでしょうか。だって広報なんでょ? 間違った情報が記事になって、いいわけ?! という感じです。
コロナで変わるコミュニケーション。心配だなあ。管理がうるさくなると冒頭みたいな記事が増えるでしょう。親しくて携帯電話も知っていて即、連絡できる人ばかりが、メディアに登場する状況が助長されちゃいます。それじゃあ勝ち組を優遇するばかり、イマイチの大学は落ちる一方ですよ?! って、語気が荒くなって失礼しました。広報と報道メディアの関係の難しさは、やっぱり永遠の課題ですね…。