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2020年12月

2020年12月27日 (日)

新型コロナの1年、テレワークがキーワードに

テレワーク…。なんて素敵な言葉なんでしょう。それは突然に始まりました。「おおロミオ、私はその名を知ってしまった」みたいな感じです(笑、ロミオとジュリエットのセリフの改変)。2020年の新型コロナウイルス感染症は大変な時代のエポックとなりました。個人的には(社会的な問題はちょっと棚上げして)、仕事とプライベートがこれまでになく密接になり、最大のキーワードがこの「テレワーク」でした。

テレワークは私の部署では週数回で、ずっと継続されています。新聞社として「部署ごとに、突発案件に対応する体制を整えている」ことが重要なので、感染があっても一部で抑えられるようグループ分けをし、交替で職場に出ています。あとはフリーライターと同じで、取材の行き来も原稿執筆も、どこかは問われない。もともと、テレワークがなじむ職業だったわけですね。

なんといっても、往復の通勤時間3時間が不要になるのが大きいです! 生活に余裕ができて、仕事も効率的に進むのは当然です。実際に私、急なテレワークだった春でも出稿行数は減っていないし、ニュースイッチではオンライン授業のニュースや読み物、テレワーク関連の論説コラムなどで、例年以上にヒットを出しています。そして、他メディアより先にニュースを出すことが、新聞記者の記事として重要とされてきたけれど、時代が変わったことを、心の底から感じています。ニュースで出遅れてもどうってことなくて、切り口が他と違う解説など「いい記事」を書くと、ウェブのページビューが高いということに、確信を持つようになりました。テレワークでもそれは問題なくできるわけです。キャップクラスの同僚の一人も、「ウエブ取材のおかげで、地方の研究者の取材がバンバンできる。担当にもよるけれど、テレワークなしに戻す理由は、なにもない」といっていました。。注意がいるのは、異動を含めて経験を十分に積めていない記者の、人材育成でしょう。隣席の先輩にこまごまと教えてもらったり、上司に対面で怒られて深く反省したり、取材先と関連テーマでのおしゃべりで次のネタを見つけたり、といった成長の機会が激減したからです。弊社だけでなく社会全体として今、若手・中堅の人材では大きな問題になっていくのではないでしょうか。

プライベートでは新年早々に郊外に転居をしており、こちらで新型コロナを迎えた(?変な言葉)のが幸いでした。前のマンションは、巨大なルーフバルコニー付きというめったにない出物だったので選んだのですが、古くてかなり寒い&暑い。おまけに仕事関連の活動をする部屋を北部屋にしていました。でも新居では南側の部屋を当てられ、今の季節も快適に仕事ができるというわけです。時間の余裕ができたおかげで、ウォーキング&ジョギングを終業後や昼休みなど、平日でも可能になりました。農家の直売が多数、点在する田舎に移ったのもちょうどハマり、採りたての野菜を買い集め、自宅での食事が増え、これまでにない健康的な生活が実現しています。

激減したのは、仕事先とのコミュニケーションがウエブを含む最低限の取材となってしまい、シンポジウムで講演するとかパーティーとかでオシャレするチャンスです。お金も時間も対人関係も、飲食の懇親会や装飾(造語です。化粧とかお出かけファッションとか)に使う分が減りました。でも。私は本の出版の計画を進めていたので、「今年はこれに集中できてよかった」面があります。

というのは、以前は「よし、土日は1日9時間で本の執筆を進めるぞ」ってできた(博士研究の時も同様)けれど、もはやそれが通じないことも実感したからです…。元々、体力がないところに先日、56歳になり、「土日に集中して取り組むといったって、1日7時間もやったら、もう体が動かない」状態だったのです。テレワークがあってもまだフルタイム勤務ですからね。あと4年は「調整しいしい」です。来年はこの本の出版関連もあり、やっぱり今より社会コミュニケーションが増えるといいなあ~と思っています。

ちなみにテレワークで「1日はだれもが24時間の枠の中でやっていたのに、1日3時間も増えた」と心底、感動しておしゃべりしていた時のこと。相手の地方国立大学の女性教授(独身)に、「私は通勤時間がもともと5分。大学がクローズでも教員はOKの時は毎日、研究室に行っていた」といわれました。「自宅の書斎に相当するのが、大学の自分の居室なんだ」「自宅の部屋をゆったり使えるのは、家賃が安いからという点だけでないんだ」と地方と都市部の最大の違いに気づきました。

新型コロナで大変な医療関係の皆様への感謝を忘れずに、年内そろそろ店じまいです。それではまた来年。

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2020年12月23日 (水)

筑波大学新聞の取材を受ける。多様な大学の現場を知るのが私の強み

筑波大学新聞の取材を少し前に受けて、私の一人称記事が掲載なりました! 同大の某教員の仲介で、識者ということで取材を受けました。同新聞は学生が編集し、学生など学内で読んでもらうもので、こういう媒体に取り上げてもらったのは初めてです。新聞の読者と違う、若い人に読んでもらえるのも嬉しいです。 
http://www.tsukuba.ac.jp/public/newspaper/shinbunindex.html

内容は、筑波大が指定国立大の指定を受けたことについての、特集記事の一角です。同制度についての説明や、永田学長のインタビューのほか、筑波大の構想資料の解説も入っていてなかなか上手にできています。私は紙面では「長年、大学改革や産学連携などについて取材を続ける日刊工業新聞の山本佳世子論説委員に聞いた」となっています。うーん、ステキ!

そこで述べたのは、筑波大が体育と芸術の両分野を持ち、組織の壁が低いという強みについて。旧帝大などに真似できないところです。1年前に筑波大の体育について集中取材をした(オリンピックを見据えてのこと)のも生きています。各学生に一人のチューター教員がついて、低学年の学生の指導をしていくチュートリアル教育というプランも、「教育大学の歴史を持ち、人づくりを重んじる筑波大ならでは」とコメントしました。さらに、「筑波大が指定されたことで、『指定国立大なんて自分たちには関係ない』と思っていた地方総合大学は、揺さぶられただろう」との意見を提示しました。

この経験でも改めて感じたのですが最近、自分の強みというものがわかってきました。国の大きな動きに加えて、各大学をそれなりに広く回っていることです。学生としての母校だって3大学ありますし。大学の教授といっても、学部も修士も博士も、さらに職場もずっと1大学という人もいるくらいで、他大学のことなんて知らないんですよね。学会で親しい他大学の研究者から話を聞くくらい。でも私は、「貴学の強みはこれ。外からはこんな風に見える。政府の動きでいうと、ここがピッタリはまる。弱みはこのへんかな」というサジェスチョンができますもん。学長クラスを支援する活動の経験もありますが、そのあたりが響いている気がします。ということで。次はどんな媒体に顔を出せるかなあ~?

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2020年12月14日 (月)

ライバル紙の記事にも余裕となってきた

日刊工業新聞の記者にはいろいろな担当分野がありますが、各産業分野の企業を担当する「業別」経験は欠かせない、と個人的には思っています。他メディアとの競争が激しいので、「ライバルに負けない記事を書く」というガッツはここで養われます。業別の企業広報との微妙な駆け引きも経験します。一般紙は社会部の経験を全記者の基礎として重視していますが、それと同じと感じます。そして弊社にとって最大のライバルがN紙です。向こうの方が断然、規模が大きく、働き方も激しい(少し前までは連日、午前様が当たり前だと聞いていた)という意味では比べものにならない。ですが職業人として力を付けていく上では、欠かせない存在でした。最近、N紙とぶつかったのでその話をするのですが、そんな昔のことも振り返りつつ、でした。

一つは東大の藤井次期総長のインタビュー。こちらが取材する直前にN紙に掲載されて、とても悔しい状態でした。でも。中身がその、薄くて。なんでこんな記事なの? って感じ。署名の記者名を検索すると、遊軍なのかなあ、教育や科技の担当ではありません。で、私の方は10日ほど遅れての掲載になりましたが、中身は自信作。東大の産学協創・社会連携と資金獲得に絞った話で掲載しました。
https://newswitch.jp/p/25023 ウエブでそれなりに読まれました。

もう一つは内閣府の、科学技術に関わるビッグデータ分析。20.12.11付のN紙1面トップ、「研究資金と成果 関係分析 論文・特許数…政府、一見把握へ」。これ、新しい話じゃないんですよ。すでにデータベースの「e-CSTI」(イーシスティー)を動かしていて、「論文成果には科学研究費助成事業(科研費)や運営費交付金の方が、近年急増した『その他の競争的資金』より効果的だ」と明らかにしたというニュースを、私の第一弾で書いています。https://newswitch.jp/p/24513。これは「ニュースイッチ」にて、すごいページビューで読まれました! そのあとこのデータベースの全体解説も、第二弾で出しています。https://newswitch.jp/p/25032。

N紙は昔から、こういう「ニュースのフリをした記事を、デカデカと載せる」ことが時々、ありました。ブランド力のあるビジネス紙だから、日刊工業新聞の読者でない人に「さすがN紙」と思わせられると踏んで、やっているのでしょう。業別記者時代から「うちの方が先に記事にしたのに、悔しい!」と仲間と話していました。当時は紙しかなかったですから。でも今はウエブがある。私のe-CSTIの記事を読んだかなり多くの大学・科技関係者は、日経の、おっと言ってしまった、この記事をみて「なんで1面トップなの?」と思ったことでしょう。溜飲が下がりますねえ~、笑。

というわけで、ライバル紙との戦いもそれなりに余裕を持って、臨めるようになってきた私です。

 

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