委員の断りを翻したのは、相手のコミュニケーション上手ゆえ
文科省を中心に官庁から、委員の依頼を時々、受けます。ちょうど今時分は、2月始まりの審議会(なんでその時期なんでしょうね)や新年度からのものが行き来します。私の判断の一番の基準は、「多大な資料を読み込む必要のある案件は、難しい」ということです。事業の採択や評価がそうです。それに「記事執筆につながるテーマなら、歓迎」というのが続きます。委員会はたいてい、公開ですが、メディア人としての聴講も、通常はごく一部しか出向けません。だから委員をしていて「まてよ、この話、書けるんじゃないかな」となると、すごく嬉しい。委員会にしても、「私を委員にしたからこそ、記事になって情報発信されちゃう」というお得なケースになるわけです。その意味では、小さなネタでは記事にならない一流メディアより、うちくらいの専門紙がちょうどいいのです。私も依頼と委員の経験を重ねるうちに、自分に適したものかどうか、先に判断できるようになってきました。が、新タイプのものであれば、「とりあえず受けてみて、やりづらければ継続なしで終える」というのが選択肢になります。
一つ、任期が終わる案件で、そのパターンになりそうなものがありました。「次回の継続はなしでお願いします」とメールを送ったところ、担当者から「なんとか継続してもらえないか」と返ってきました。気になる文言もついています。「(私の)記事をウエブであれこれ見ていて、研究者や行政官にはない視点だと勉強になっています」という誉め言葉です。ムムム。こころをくすぐられますね。それから気づいたのは、1年目は資料が多大で辟易したけれど、2年目はなぜか(新型コロナ下で皆、仕事が大変なこともあり、試みにしたのあと後に判明)1頁に収められていて、これについてはやりやすくなっていたことです。
それで、どう返事をするか2日くらい迷って、その上で電話をしました。断るとしても、メールより電話の方が失礼でないだろうというのもあり、またおしゃべりで別の判断のきっかけがあるかもしれない、というのもありました。そうしたら。相手はコミュニケーションが上手で。メールにあった参考になる視点について、記事を具体的にあげてきます。また、1年目と2年目の資料の違いについて私が感想を話すと、「その意見も嬉しいところです。簡素になりすぎて、不足ではないかと心配していましたので」と返してくれるではありませんか。ううっ、こちらの喜ぶツボをついてきます。「では来年度は、2年目スタイルを候補に検討しましょう」と言われて、「落城」。「わかりました。もう一期、継続しましょう」との答に変わってしまいました…。コミュニケーションは、楽しい戦いといえるのかもしれません。
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