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2021年4月

2021年4月29日 (木)

取材先のクレームに慌てない

親しい取材先の組織A(の記事を書く企画の中で、Aが支援する組織Bの具体例を紹介することになりました。Aと、Aが連れてきたBを、ウェブ上での同席で取材して、記事にしました。その後、AがBのクレームを持ってきました。Bの「あの部分は記事にかかないでと伝えた。削除してもらえないか」というメール文面を見て、頭に血が上ってしました。しまった、ミスしたのか! 取材中に「書かないで」発言があったのは覚えており、だから気をつけたはずなのに…。この後にどう対応すべきかと緊張しつつ、取り急ぎ「ご指摘の件、不具合を生じまして申し訳ありません」とメールで返しました。ミスは迅速に対応することが、コミュニケーション上、とても大切です。どこに非があったかは後回しにして、行き違いがあったのは間違いないわけなので、「嫌な気持ちにさせてすみません」と最初に伝える方がスムーズにいくと、私は過去の幾多の失敗から学んできたためです。ところが。さらにやりとりする中で、削除してほしいという部分は8行にも及ぶことがわかりました。えーっ。そんなに大量に削除したら、「とんでもない大ミスをしました」って読者に大々的に知らせることになるじゃあ、ありませんか! 過去の紙面データベースの場合は、ぽかっと8行分の白地ができることになります。「いったい、どんなことをしでかしたの?」って、白地がかえって大いなる関心を引いてしまいます。

それをきっかけに、はたと冷静になりました。Bの指摘する部分と、記事部分と、自分の取材メモとを見直します。すると「C社の名前は×」とメモしています。「大手企業/他社関連会社」と側に書いて、下線を引いています。「注意するのは、C社の名前を使ってはいけないということで、大手企業といった表現なら問題ない」という意味です。その時に私は「では、大手企業との表現で」と言ったはず(紙面にはそう書いた)。あわせて「この話はすべて書かないで」とは言われなかった、と自信を持ちました。

もう一つ言うと、8行分の内容は「他のところでもたまにみられる活動」であって、客観的にみて格段、秘密にすべき内容とは思えません。むしろ「この形でうまく行きました」と読者にぜひ、紹介し、Bの評価を高める内容ではないかと思いました。

それで。Aに再度、連絡しました。Aの窓口は若手担当者で、そのためAはBがいったとおりにメールを転送してきたのだと気づきました。その後の連絡で、Aの担当者は「Bも、ちゃんとダメだといったか自信がない、といっている」「うちのトップ(取材の前半だけ同席していたので、その部分は聞いていたか心配だったけれど)は、Cの社名前以外は、別に何も言わなかったといっている」と返してきました。なんなんだ…。結局、ミス(というか勘違いなのか)はBにあったという結論で、削除の対応もなしとなりました。

ああ~よかった! 取り乱して本社の上司に連絡する前に、正しく判断できてセーフでした。一般的な意味での「トラブルをすみません」はいいますよ。でも訂正など紙面の価値を損なう対応については、きちんと合理的に対応しなくてはいけない。今回、いきなり頭に血が上ったことを反省しました。8行分の削除、という高飛車なリクエストが、頭を冷やしてくれました、笑。

思うに、Bは「ウェブだから簡単に直せるだろう。このあたりはCに何か言われると嫌だから(まとめて削除できれば安心だ)」といった気持ちがあったのかな、と。というのはAは弊紙を購読しているはずだけど、Bは業態からして購読していないと思われて、つまりウェブで見ただけだろうから。「Bがずうずうしい」というより、「Bは取材に慣れていなくって」という感じかなと考えました。でもこちらは、まだ慣れていないも駆け出し記者(若手)というわけではないのですからね。そう、苦手なものが来ても、びびらない。何があっても、なんとかなるし、なんとかする。そういう気持ちで参りましょう~!

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2021年4月24日 (土)

取材のメモ取りをPCで試みるも…

先日は充電器をセットしたパソコン(PC)を持ち歩く日だったので、「そうだ!」と思い付いて、取材時のメモ取りをノートではなく、PCのキーボード入力でしてみました。首相の記者会見のシーンなどでは、多数の記者がキーボード入力しているのを目にしますよね。私はメモ派ですが、先日はそれほど難しい取材ではなかったため、先方に「PCでのメモを、慣れてないのですがさせてください」とお願いして、PCのふたをあけたのでした。いや最初はね、失礼かなとは思ったのですよ。でも神の手と呼ばれる外科医だってなんだって、どこかで「初めてなのですが、頑張りますので」という道を経てきたわけで(笑)、だからご理解くださいねって気持ちです。

「初めて」というところから始まったわけで。だから、無理しない形にしますので、ご理解くださいね、って気持ちでした。

ところが。やってみてすぐ、記者会見との違いを思い知りました。1対1の取材では、相手の顔を見てコミュニケーションをするからです。ですので相当、ブラインドタッチで正確に入力できないと厳しいと気づいたのです。私はブラインドタッチはそうだなあ、正確かというと8割くらいかな。2割分は、目をキーボードに移して、タイプミスを直しながら取材を進めようとするので、けっこう厳しくて。途中でキーボードの接触ミスがあったのか、表記が「大文字のひらがな・漢字」ではなく、「小文字のアルファベット」に変わっちゃって、戻すのに手間取りました。さらに「問題が生じたのでシャットダウンします」の画面表示が。「すみません、ノートに切り替えますね」となりました…。記者会見の場合は、相手が一方的に話しているときは、入力に集中できるのとは違うんだなあと振り返りました。

実はこの日のPC持ち歩きは、大量のPDFの文面を読んでいくのが主目的でした。先にブログでもちらと書いた、新たな本の出版を前に、最後の校正の追い込みでした。これも初めて手掛ける形でしたが、電車内で座る席さえ確保できるなら(昼間の移動だったので、着席できると踏んで持参しました)、こちらは思った以上に快適に読めることができたのです。コンセントでの電力供給がなくなることで、画面が暗くなることに気づき、あらかじめ明るさを強めておいたのも、ポイントでしたね。というわけで今頃になって、ノートパソコンの新たな使い方を体感した日でした。

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2021年4月11日 (日)

日刊工業新聞社・山本佳世子の自己紹介です

ブログの最初に自己紹介を、常に置くことにしました。同姓同名の先生が電気通信大学の教授(専門は情報科学)にいらして、混乱を招きがちなためです。同世代のうえ出身の学部と大学院も同じ、電通大には私も関係していて、すみませんネと言い合っていました。けれどもお互い専門職として、活動や実績が誤解されるのはよくないと思い直したのです。

加えて最近、1週間ごとに私の記事(紙面に次いで無料のウェブ掲載のもの)も、ブログで紹介し始めました。大学・産学連携関連の動向に興味のある方の、お役に立てると思います。HPで見ている方は「最近の記事」「アーカイブ(月ごと)」ともに、画面右側に配置されていることにすぐ気づくでしょう。スマホの方の場合は、タイトル「産学連携取材日記」の右にある三本線マークをクリックすると、アーカイブが出てきますので、こちらからご覧くださいね。

まずは履歴書風に。1st-p4230086

 

やまもと・かよこ 1964年12月生まれ、神奈川県綾瀬市で育つ。1990年日刊工業新聞社入社。専門は大学・産学官連携、科学技術コミュニケーション。

【学歴】お茶の水女子大学・理学部化学科卒。東京工業大学・大学院総合理工学研究科修士修了。(社会人で)東京農工大学・大学院工学府博士修了、博士(学術)。

【現職】日刊工業新聞社 論説委員兼科学技術部編集委員。電気通信大学学長特別補佐。東京都市大学客員教授。東工大大学院、電通大大学院 非常勤講師。

【外部職歴】文部科学省/科学技術・学術審議会臨時委員(現任)。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 研究開発戦略センターアドバイザー(現任)。国土交通省/交通政策審議会気象分科会委員、文科省/科学技術・学術政策研究所顧問、文科省/世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正等のための検討会議委員 ほか。お茶の水女子大、東京農工大で非常勤講師。

【受賞】NPO法人産学連携学会 業績賞 平成23(2001)年度

【著書】研究費が増やせるメディア活用術」(丸善出版)(2012年6月)。 「理系のための就活ガイド」(丸善出版)(2014年10月)。
「理系女性の人生設計ガイド」(講談社ブルーバックス)(2021年5月)。

【記者の仕事】
●2000年から担当の続く専門記者としての記事は、こちらで見てください。日刊工業新聞の紙面で掲載した私の記事に、当社の無料サイト「ニュースイッチ」でコメントを追加して週1、2本をアップしています。反響が見込まれる記事はヤフーやニューズピックスでも流れます。
山本佳世子のプロフィール|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 (newswitch.jp)

●担当の変遷は、バイオ・化学の科学技術~化学業界(ビジネス)~飲料業界~環境・エネルギーの科学技術~大学・産学連携(国立大学法人化直前から)(途中から文部科学省、内閣府も取材対象に)。   

【講演動画】
大学イベントでの講演動画が、講談社のRikejoサイトで連動、公開されています。「女性は大き目の自信でちょうどいい」など文系を含めて、広く女性にお伝えしたい内容です。ユーチューブで1時間ですので、ご覧になられる場合は端折ってどうぞ。2021年のもの。理系女性のキャリア構築は戦略的に! 『理系女性の人生設計ガイド』著者の山本佳世子さんの講演動画を公開中 | 理系女子応援サービス Rikejo [リケジョ]

【キャリア教育の授業に対する印象記】
●東工大の修士向け講義で話した自分のキャリアや、学生に意識してほしいことに加えて、担当特命教授が他の公開情報を集めてまとめてくれました。印象記といいつつも、私の博士論文や査読論文まで参考文献に挙がっており計8ページ。こんな構成の文章は他にありませんし、私が思うキャリアとしては「That`s all!」です。2021年のもの。以下のリンクで一直線には飛べない場合、「通算第88回」を選んでください。03-impres.pdf (titech.ac.jp)  

【外部機関によるインタビュー記事】
●東工大の同窓会誌「蔵前ジャーナル」、巻頭同窓生インタビュー。2020年。
P02-07_今、活躍中の同窓生_3.indd (kuramae.ne.jp)

●広島大学のグローバルキャリアデザインセンターで、博士学生らに向けた博士人材キャリアモデルとして。2015年。
第4回 日刊工業新聞社 山本 佳世子 氏 | 広島大学 (hiroshima-u.ac.jp)

●JSTの研究者の公募サイト「jREC-IN」内の、研究者お役立ちコーナーで研究成果リリースのノウハウを紹介。2014年。
JREC-IN Portal:研究人材のための5分間キャリアアップ読本:山本 佳世子 (jst.go.jp)

●キャリア支援の会社「アイディールジャパン」による、キャリア半生のインタビュー。
複数回に分かれていますが、文面最後から次の回へ飛べます。2015年。
1.典型的な理工系の学生でした | Ideal Japan (ideal-japan.jp)

以上、よろしくお願いいたします!

 

 

 

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2021年4月10日 (土)

データサイエンスとエクササイズは似ている?!

データサイエンス(DS)教育はここ1年ほどの私の重要テーマ、あちこちへ取材に回っています。「社会人のリテラシーとなるDS。山本さんも学びませんか」と声をかけられて、どきっとしたこともありました。私は博士研究の時に、アンケート結果を分析するこために、統計の書籍を購入して、解析ソフトをいじってそれなりに苦労をしました。ので、「もっと勉強するというのはちょっと、勘弁いただこうかな」と思いました。この件はまあ、これでスルーとして(笑)、「学部生でDSの基礎を必修に」という流れは、人文系を中心に文系の学生には厳しいだろうなあと想像しています。

というのは一流大学でのDS教育の取材でも「行列ってなんですか、と学生に問われた」「対数のeも知らなくて」といった声を耳にしたからです。文系で進路を私立文系に絞るなど「入試に数学を選ばない」と早々に決めてしまうと、数学の学ぶ範囲はかなり狭くなってしまいますから。別の一流私立大学で、DSの流れも踏まえて経済系の学部で数学を必修にしたら、受験生が激減したと週刊誌に出ていましたっけ…。すでに「DSのリテラシーレベルは全学必修」としている総合大学は、北海道大学とか筑波大学とか複数、出てきているのですが、「みんな、ついていけてるかなあ。それもコロナでオンラインだと友達にも聞きづらいし…」と気になります。

私の場合は、スポーツジムのウエブエクササイズです。30分プログラム、基本はインストラクターの真似をして動くだけ(誘導のコメントがある人もいるけれど、ほとんどないケースもある)。最初の10分は「ふふ、付いていくのは余裕だわ」と思うのですが、次の10分で「むむ。どうして右が3回で左は2回なの。この先の手振りはさっきとまた、変えられちゃった」となって、最後の10分は「もうこのプログラムは受けないことにしようかな」と…。これはちょっと誇張した表現ですが、途中で「ついていけないかも」となると気力がちょっと、ね…。幸いウエブだから、こちらのカメラをオフにしていて、下手でも落ちこぼれても恥ずかしくない。ので続けられます。でもこれが必修のDSだったら嫌だろうなあ。私はバリバリの理系ではなくて、「小中学校で一番、得意な科目は国語」というスレスレの理系で、「数学もやっと」だったタイプです。だから気になるのです。一方で「統計は皆がやっておいた方がいい。、怪しげなアンケート調査のずさんさがよくわかって、間違った情報に振り回されないですむから」という助言もしたいところです。文系学生の皆様。なんとかくじけずにがんばってくださいね~~! 

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