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2021年10月

2021年10月31日 (日)

2021年10月第5週、東大の成長は年2%弱

今回の紹介は記事一つです。以前は「週に1本しか記事を書いていない、とみられるのは悔しい」と思って、「今週は4本です!」(自慢できる記事が4本という意味)といえるよう、頑張ってブログに出してきました。が、半年ほど続けたことで「平均はこれくらいで、この週は1本だったんだな」ということがブログ読者にも伝わると判断しまして。無理に本数を重視しないようにしました。

1.「世界と伍する研究大学」でいう収入年3%増、東大はどんな具合? という解説記事です。政府の10兆円ファンドについての委員会で、「世界トップクラスの研究大学は、年3%増レベルで努力をし、増やした資金で研究力強化をしている」という議論が出て、「じゃあ、今の東大ってどんな感じ?」という疑問に答える記事としました。以前から、「法人化によって運営費交付金がどの国立大も大きく減った。でも状況は大学によってだいぶ違う」ということが気になっていました。というのは競争的な政府研究費は増えているし(交付金減の批判に対し、財務省が支援をしていると主張する根拠)、産業界からの資金も来るようになっている。交付金減をほとんどカバーできない悲惨な状態が、地味な文系単科大学の状況なのは本当です。でも理系の強い大学は収入が、法人化前よりかなり増えている。けれど「交付金減は問題だ」という意見にはうなずいて、顔の緩みは表に出さないようにしている、というのは本当のところだと、頭に入っていました。でも実際にどれくらいかを取材していなかったので、よい機会だと考えました。

実は東大の筆頭理事(総長の次)の相原先生に取材を入れたいと、以前から希望していました。というのは大学債2号が「ありそうだ」という情報を半年前に得て、ずっと気にしていたのです。まだ藤井執行部が発足する前、つまり財務担当理事が誰になるか判明していなかった頃から、「絶対とるぞ!」というネタでした。それにたまたま、「東大中長期プラン 1000億円基金設立へ」のニュース(うちと読売と日経が同着、その日に会見)(写真は会見時の藤井総長)Photo_20211031100401 というタイミングが、重なったのです。注目ネタが連動することになって、私も久々に張り切りましたよ~。結果、10.1に「東大1000億円ファンド、中長期プラン」「12月に2号大学債」を合わせた記事を新聞の1面に載せて、ついで今回の財務の分析記事を出したというわけです。

「3%」はまだ続きます、別の大学で取り上げますので、お楽しみに。ということで本日のブログ、1本のニュースイッチ記事で長めの紹介でした。記事はこちらから。

あっ! ここまで書いて気がつきました。一週間前の日曜にアップされた記事を、前回のブログで紹介しそびれたことを。ということで、

2.東工大とデンソーITラボの産学連携の独自性。寄付講座へ企業が派遣する教員(中堅の准教授2人)は、研究室主宰者として大学院生の博士論文指導も可能な形で、なんと教授会にも出席しているのだそうです。特別な制度や規約改正なしに、そんなことできるんだ?! 普通は教員側が嫌がるのに、IT分野は違うんでしょうか。それにURAなど現場担当者の熱意で壁を乗り越えたようです。ではこれで本当に最後です、笑。記事はこちらから~。

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2021年10月30日 (土)

唐辛子が食べられるようになって

長いこと唐辛子のピリ辛が苦手でした。文部科学省地下1階の食堂をランチでよく使うのですが、メニューの売り切れが多くて、残りはピリ辛もの…という時に迷います。「これ、かなり辛いですか? そうでもないですかね?」と食堂の人に確認して、迷った末に止める、ということもしばしばでした。でも最近はそうでもないんです。確認せずに選んだりしちゃいます。唐辛子が食べられるようになってきたのです!

最初は2年くらい前でしょうか、休日の出先で店が他にない場所で、仕方がなくCocoカレーのお店に入りました。メニューをみると辛さに段階があって、さらに子供用メニューまである(たしかそうだった)のでびっくり。「これなら一番、辛くないものからトライできるだろう」と気づいたのです。最初から拒否していたのを反省です。「辛さのレベル下2つめなら、大丈夫」と実体験し、その後も何回か入るようになったのでした。

そしてコロナのテレワークで、近所のインド・ネパール料理屋のチラシでまた、辛さに段階が設定されていることを発見。辛ささえ具合良ければ、ひき肉のキーマカレー+焼きたてナン、などおいしいわけで。数回、利用するまでに唐辛子に慣れてきました。そんなわけでもう、食堂ランチも怖くありません、笑。

写真は知人にもらった島唐辛子(小さい唐辛子)で、枝を広げてこんなに増えました…という鉢です。先週の撮影です。Dsc_1807 夏にうちへ来た時は、葉の緑ももっと鮮やかで、実の青いのと熟れて赤くなったのとのコントラストもはっきりしていて、枝を折って飾っても素敵で。友達にあげても皆、「見てよし、食べてよし(普通の唐辛子より辛いので、量はかなり控えめにして)」で喜んでもらっていました。その時のきれいな姿を写真に収めておけばよかったと残念です。

でもアップで写すとそれなりにまだかわいいです。ワンショットの中に、白い小さな丸い花が咲いて、実が上を向いて付き、白から緑、赤に変わっていく、いろいろな姿が入っています。もうDsc_180111月に入ります。秋が深まりつつあります。

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2021年10月24日 (日)

21年10月第4週。情報必修化など中等教育にも触手を伸ばす

先週、ニュースイッチに載らなかった分が今週になだれこみ、5件の掲載です。

1.立命館大、トップクラスの研究者育成に向けた支援組織「RARA」設立。この「ララ」という、研究関連組織とは思えない名称の愛らしさが魅力です。中身とは関係ないけれど、やっぱり名称って大事だなと思います。ちなみに名作映画好きなら、「ドクトルジバコ」の「ララ(ヒロインの名前)のテーマ」を思い出しますね。記事はこちらから。

2.東大生産研がPwCコンサルティングの寄付で設立した「インタースペース」研究部門。記者会見の中でよく理解できない部分もけっこうあったのですが(皆に分かってもらいたい、とかみ砕いて説明する気が当事者にはないのでしょう)、わかった部分は「おもしろいな」と感じたので、わかったところだけで記事を書いてみました。こちらから。

3.社説、高校の「情報」必修化の件。高校生の学び(中等教育)についてなので普段は取り上げないのですが、「このテーマは触っておかなくちゃいけないな」と思って取り組みました。「一度、ちゃんと取材してさえおけば(それほど深く取り組まなくても)、苦手意識はなくなるもの」ということを実感しました。ちなみに大学入試については、国立大学協会は大学入学共通テストの出題で、従来の「5教科7科目」に情報を加えた「6教科8科目」を課す案を議論していましたが、結論先送りとなったようですね。こちらから。

4.東大や阪大が中心になってSTEAM教育の全国組織立ち上げ、会員企業は100社が目標。全国ネットワークがなかったって、ちょっと意外です。草の根活動できたけれど、政府も重視を報告書に記すようになって機が熟した感じでしょうか。Dsc_1183 Aは狭義のアート・デザインではなく、広義のデザインで、写真は東大生研のデザインシンキングの活動風景です。記事はこちらから。

いま思案しているのは、お正月企画の取材です。中テーマを何本かさぐっておいて、正月の紙面ニーズに合わせて出稿したり、それとは別に普通の紙面用に手を加えたり、していくつもりです。このところ寒さで体調が悪化したことを振り返り、「そうだ1月2月は、外取材を控えめでもネタ不足にならないよう、今から思案しておかなくちゃ」とも思いつき、それと重ねて動きましょう。新聞記者は短期決戦の仕事が本来は多いけれど(スクープ記者とか、なんでも対応しなくてはいけない若手・中堅世代とか)、年齢・担当など立場的に、中期戦略で仕事を進められるよう変えていくことが、重要だと実感しています。

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2021年10月23日 (土)

急に寒くなって頭痛が

同じ月とは思えない、寒暖の激しいこの10月…。上旬は最高温度25度Cの夏日もありましたよね? それがここ数日で急に寒さを増して、22金は「師走並の寒さ」と天気予報で言っていたように、雨天の最高気温13度Cとなりました。風邪の引き始めみたいな体の反応に、注意をして対策をほどこすものの、頭痛まで生じてきました。頭痛は最初、別のことだと思っていたんですよ、年に3回くらい発生するから。でも本日、23土も近所を出歩くうちにまた頭が痛くなってきて、「これは寒さが要因だ! 真冬は近年、気をつけないと連日、頭痛と腹痛に襲われていて、その症状なんだ!」と気づきました。あまりの不調シーズンの前倒しにショックを受けました。

写真は自宅の薬箱から引き出してきた、服用候補の薬です。上は西洋薬(普通の合成医薬品)の「バファリン」と「コカール」。私はスティーブンスジョンソン症候群が怖いんですよ。だからDsc_1812合成医薬品はなるべく避けたいタイプなのです。スティーブンス・ジョンソン症候群は、ごく普通の風邪薬などで起こる重篤な副作用で(いずれ、詳しく書きますが、半身不随になることすらある)、「大事な予定がないのなら、風邪薬も頭痛薬も止めておこう」と考えるようになっているのです。

そのため体調改善の漢方薬を重視しています。昔と違って一般の診療所でも処方してくれるところが増えています。左下のツムラ43番「六君子湯(リックンシトウ)」が近年、冬場に常用している冷え対策のもの。右下の48番「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」は疲れが取れない時(おもに夏バテらしい)に服用するもの。これらに手を伸ばしました。

まいったなあ、10月で体が寒さに対応できないなんて…。「コロナを機としたテレワークで、仕事の多忙さやストレスを抑えられ、心身共に快調!」と言っていたのに。でもまあ、コロナ前よりは年齢も上がってきている(すべての人が)わけで、現役シニア世代はやはり注意が必要かもしれません。

でも一つ楽しみをつくりました。近いうちに秋の帽子を買いに行くことにしたのです。帽子といえば子供のころから、夏の日よけ用のみ。数年前から真冬にぴっちり頭をカバーする圧縮ウール帽子。そしていよいよ秋も、です。大学生の頃に「秋のおしゃれな帽子使い」に憧れる面があったことを思いだします。何事も前向きに(笑)。今度、秋の帽子の成功ストーリーをブログで紹介できますように。

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2021年10月17日 (日)

ユーチューブも省内から参加、PCケース自慢の場がない…

いつもなら「今週のニュースイッチ記事」を紹介する日曜ですが、今週はなしです。私の記事は木曜の大学面紙面で掲載のことが多く、その翌日以降でニュースイッチ(WEB)紹介にならないと動けません。ので金土日と「ニュースイッチ編集部で取り上げてくれたかな?」と気にしているのですが、編集部は他記事・他記者との兼ね合いで掲載記事を判断するわけで、私の希望通りに動いてくれるわけではありません(笑)。ということで今回はなしになりました。

それで、今週合ったユーチューブで公開の「世界と伍する研究大学」の文科省検討委員会の話をします。まず先の第1回の参加の後に、研究大学のトップ2あたりに「トップ(学長、総長)と一緒に見ましたよ」「私は△の点が気になるんですよ。機会あったら質問してください」といった声をかけられる経験をしました。大学のその数が予想以上だったのでびっくりです。急に私もエグゼクティブ著名人になった気分です(笑)。おっと、調子に乗らないようにしなくてはいけませんね。

今週あった第2回のWeb開催(ユーチューブ配信)は、自宅テレワークではなく文科省記者クラブに出ている日でした。クラブの自席は照明が変だし周囲が気になるので、文科省の省内参加させてもらいました。先日の次官以下の大幅人事後、最初の回だったためでしょう、文部科学審議官や複数の局長も出席で、それに座長の先生と一緒の、省内会議室(一人一人の席は距離をとってある)からでした。

この準備で私は「自分のパソコンを持参して、そこからのWeb参加にしましょうか」って尋ねたのです。というのは少し前に、かっこいいPCケースを入手して使い始めていまして。「他の人の目に触れさせて、自慢したかった」というのが実はあったのです。それが写真です。

Dsc_1759_20211017110101

PCケースが懸案だったのは半年ほどでしょうか。テレワークの自宅と職場とでPC持ち運びが増えて、「落としても焦らずにすむクッション入りのPCケース」を探していたのです。が、文具屋さんにあるのはたいてい、堅い合成繊維(ナイロン?)のもので、イマイチだなと思っていました。それに対してこれは、洋服をメーンとするブティックのタイプのお店の棚に置いてあったのです! 財布やバッグと同じ、装飾品の扱いというわけです。私はメタリックカラーはなんでも好きで、さらに「このブロンズカラーなら、仕事でもおかしくないわ」とひとめぼれで入手しました。ところが今は、文科省の記者クラブへ出る日を仲間と交替にしているため、仲間に自慢する機会さえないまま…という状況でした。

ところが予想に反して、PC持参は尋ねて即、「いえ、すべてこちらで準備しますから」と断られました。そりゃあ複数の人向けの手配をする上で、同じ形の方が楽に違いありませんからね。実際、現場では支援の課員が全部、操作もしてくれて、机もいつもより広くて活動しやすく、正解でした。残念なのは、PCケースデビューならず、だけです。というわけで、ブログにてデビュー&自慢となりました。

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2021年10月15日 (金)

西城秀樹の刺激で睡眠時間が…

普段、飲み会など(まだあまり復活していませんが)や映画など、夜の楽しみは「眠れなくなっても翌日以降、大丈夫かな? 仕事に影響しないかな?」と考えながら予定します。今回は10月頭の土曜日、西城秀樹のデビュー50年スペシャルの3時間20分テレビ番組がその大イベントでした。週あけて月火水がノーベル賞の予定で、「もしも日本人受賞が続いて、それも私が担当の研究者だったら、体力的に持たない…。土日しっかり休んでおくべきだけど」と気にしながらでした~。

子供のころ、「テレビは1日30分」と親に制限されたことで、あまり観ない習慣が身に付いた私ですが、小中学校の頃の歌謡曲・歌番組はさすがに身近なものでした。子供心にも「普通じゃない、これはすごい」と思っていたのは、西城秀樹と沢田研二と布施明でした。芸術性といい容姿といいスター性といい、私もなかなかの審美眼だった気がします(笑)。今回はもちろん録画しましたが「万一、失敗したら大変だ」ということでリアルでも観ました。写真はその録画のための番組表のテレビ画面です。Dsc_1754

約50曲を歌い上げる「伝説のコンサート」と銘打った後半は、秀樹が30代になってのものでsosoかな。ところが前半はデビューから、本人最大のヒット「ヤングマン」までの振り返りで、これにはやられました。ものすごい刺激で、ドキドキしっぱなしでした。ところがあわせて、「私は秀樹にずっと夢中だったわけでもない」のがよくわかりました。ドラマの「寺内貫太郎一家」さえ観ていない。いくらテレビを制限されているといっても普通は、観ようとあれこれ工夫をするでしょうに…。それに今、「△歳になった私が思う秀樹の魅力は、20歳前後の数年に凝縮されている。それにクラクラするには当時の私は幼すぎたんだ」と、そのことを発見しました。

例えば定番の「傷だらけのローラ」が1974年で秀樹19歳、カヨちゃん10歳。耳に残っているのは、そこから「ブーツをぬいで朝食を」「炎」あたりの秀樹23歳、カヨちゃん14歳までかなあ。今回、知ったのは秀樹20歳で「秀樹を青年から大人の男にするため、阿久悠作詞、三木たかし作曲のコンビで企画が練られた」ということ。なぜかここらは、私の記憶から抜けています。「君よ抱かれて熱くなれ」「ジャガー」などの歌です。私は記者なので言葉にうるさく(?)、歌詞もきっちり聞き届けるタイプです。そうしたら「こんな強力にセクシーな歌詞の歌を、秀樹20歳で歌っていたのか…」と卒倒しそうでした(笑)。

そして睡眠。11時半ごろ番組が終了して、お風呂に入って落ち着こうとしても、眠れるはずがありません。仕方がないので以前に録画してあった、別の暗ーい映画をしんみりと観て。結局、この日は3時間睡眠となりました。翌日曜は普通にその○倍の長さで寝ましたが近年、ドキドキ感といい短時間睡眠といい、まれな経験でした。

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2021年10月10日 (日)

21年10月第2週。ノーベル賞受賞者と私の写真、とはいっても…

今週は2件。ノーベル賞ウィークとちょっとだけ関連ありそうな写真を掲載です。

1.文理の異分野融合の難しさ、東京外国語大学の中山副学長の「主張」企画です。この企画は記者が聞き書きをするも、本人に原稿を確認してもらうスタイルをとります。そのため「先方の赤字が大量にあって、しかも新聞の文章としてはイマイチの表現ばかりだと、困るなあ」といつもドキドキします。もちろん「細かい文言にまでうるさい相手ではない」とまずは判断した上でのの人選です。それがですね。中山先生の場合は加筆がとても適切で。「山本さんはさ、記事の視点はいつもいいんだけど、文章がこなれていない時が時々、ある」といわれる身からすると、「きゃあ~、先生の赤字ですっごく素敵に、わかりやすくなりました~!」と嬉しいところです。記事はこちらから。

2.文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)」 採択大学を中心に発足した、「大学の国際化促進フォーラム」。オンライン授業が浸透して、「日本ならではの大学教育コンテンツを発信しよう」と乗り出すわけです。が、イマドキは日本も英語授業を普及させつつある中で、「日本ではこんな魅力的な授業、ないでしょ」と外国の英語授業にも攻められるという意味では、”高等教育、世界的な戦国時代へ”って感じでしょうか。サンデル先生の白熱教室のように、ここでも米国が世界を席巻する…のでは悔しいところ。多様性が生かせるオンライン世界教育にもっていきたいところです。記事はこちらから。

ちなみに写真に困って、こちらを載せます。ノーベル賞受賞者と私の写真、ではありますが、ホットな今年の受賞者というわけではありません。1711 2016年ノーベル化学賞を「分子マシンの設計と開発」で受賞した、フランスのジャン・ピエール・ソバージュ氏が来日して、取材した(ほんのちょっとだけ)17年の時のものです。いえ、先週までのノーベル賞の案件とは関係ありません。…だって国際化関連の写真で、出せそうなものはあまり手元になくて。次の国際化ネタでは、私の海外出張だか海外旅行からの写真を引っ張り出してくるかもしれません。

 

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2021年10月 9日 (土)

光触媒、藤嶋昭・橋本和仁先生との思い出

ノーベル賞週間で、今年は真鍋さんの受賞で物理学賞が日本にとってはハイライトでしたね。ノーベル化学賞では、光触媒の藤嶋昭先生が決まった場合は、私もかなり動くことになっていましたが、受賞ならず。10年ほど前に藤嶋先生が東京理科大学学長になってから、光触媒国際研究センターも新設して毎年、同大で受賞記者会見の可能性を見据えての場が設定されていました。が、それらの仕事を終了して時間がたって(光触媒の研究グループは、再編になって別の学内センターの1ユニットへ)、「中国の上海理工大学に移籍」と9月頭にニュースが出て…。これが同大が支援する最後の年になるでしょう。同様の「在任中にノーベル賞受賞となれば、かっこよかったのですけどね」という思いは、神奈川県科学技術アカデミーも同じ(理事長をしながら、その組織で研究グループを率いていた)形でしょう。Dsc_1772 写真は私が書いた過去の記事や、受賞に向けてそろえていた資料です。以下、以前のブログとだぶっている可能性がありますが、自分の気持ちも一区切りとなりますので書かせてください。

私は修士が電気化学系の研究室だったので、学生時代から藤嶋研とつながりがありました。1学生の間のおしゃべりで「藤嶋先生は大学院生時代にネイチャー論文を書いたんだって」と出ましたし、学生交流の「夏の学校」で藤嶋研の学生ともやりとりがあって、その上で約30年前に記者になって、取材でも訪問するようになりました。

一番の思い出は光触媒で新たに見つかった、雑菌やにおい、油汚れの「酸化分解」機能について、いっとう最初に私がニュースにしたということです。当時はすごさが理解されず、記事としては小さい第一報となりました。その後、光分解や超親水性でそれはそれは多くの企業が参入し、製品も多数の実用化に至ったわけですが、最初は1面トップでもなんでもなかったわけです。「本当に画期的なものは他にないものだから、周囲も価値判断を正しくできない。それがイノベーションの本質だ」という思いが、そのころから芽生えた…ということにしておきましょう(笑)。

もう一つのレアな思い出はその取材の時に、「今度、講師に来た橋本くん」と藤嶋先生に紹介された(89年)のが、現内閣府CSTI議員でもある橋本和仁物質・材料研究機構理事長だったことです。ノーベル賞は最も最初の発見を重視するので、もし受賞となる場合は、「本多藤嶋効果」で水から水素を作り出す技術にスポットが当たるはずで、だからその水素製造が実用化されて社会に影響を及ぼすようになった時かなあと想像します。でも光触媒の汚れや菌の分解機能による「日本独自の新産業創出」という点では、藤嶋先生が橋本先生とタッグを組んだことが大きかっただろうと振り返ります。両先生は、パワーとか押しとか声の大きさとかハングリーな面とか、甲乙つけがたい。一方で藤嶋先生は今でも研究・実験が好きだし、橋本先生は研究開発法人や大学のマネジメント改革で存在感が大きく、それぞれの活躍でもあります。

今回、藤嶋先生が中国に軸足を移して研究室・センターを率いるとなって、その驚きはさらに上を行きます。留学生だった教え子とか中国に多いというのは聞いていましたし、きっと大事にしてもらえることでしょう。研究環境にかかわる巨額の資金を、今現在はさほど盛り上がっていない分野のシニアに投入できるのは、ノーベル賞の科学3賞狙いの中国を置いて他にないことでしょう。その上でやはり、すごいのは藤嶋先生が「79歳で国を変えての新天地に乗り出す」姿勢です。その衰えぬパワーを、新天地で存分に発揮していってくださいね。

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2021年10月 3日 (日)

21年10月第1週。東大の大学債第2号は他メディアにないネタ

今週は2本。他メディアを意識した新聞記者らしい話をします。いつもは「他メディアが寄ってこない別世界の記事」の傾向がありますので(笑)。

1.東大の1000億円基金+大学債第2号、のニュースです。東大の中長期計画が10月1日(金)に発表で、台風の中の記者会見でした。これに先立つ1日付で記事になったのは、私が把握しているところで他に2メディアです。読売が1000億円をメーンの記事で。日経はベンチャー新ファンド600億を中心に(ベンチャー担当記者が張り切ったらしい)、社会面に各項目を予想以上のスペースを割いての大展開。もっとも1000億円はその意味がわからなかったらしく、数行のみです。

これ、3社へのリークと見えるでしょう? でも私の場合は、「寝ていたら、棚から牡丹餅が落ちてきた」わけではありません。別件で幹部取材を入れていて、ちょうどこの時期に重なったという形でした。「牡丹餅、この辺にあるよね?」とうろうろしてたという具合です(笑)。

そのため2社とは(発表資料由来とは)別の情報を入れています。1000億円については、比較する既存の「東京大学基金」運用の金融商品内容の円グラフがそれです。掲げている年間収益は、なんと3.5%です! ハイリスクハイリターンの金融商品投資は、指定国立大で規制緩和になっていたのですが、「もうこんなになっているんだ」とびっくりです。

それから「12月にも大学債、100億円」「1年前に東大が1号を発行し、関心を示していた大阪大学や東京工業大学を押さえて、2号に進むぶっちぎり状態」という独自ネタです。半年前の幹部取材から「2号が秋にくるな」「これは絶対に書きたい」と狙っていたものです。実は独自取材を申し込んだのは、このニュースを取るのが目的の一つでした。だから1日付の記事を書く時に気持ちが入りました。だから自分の書いた記事には満足しています。たとえ世間一般の皆様には、大メディアの抜きに見えて、専門紙のうちの記事なんて知らない人が多くても。

そもそも1000億と600億円は、どちらも「今後10年(以上かけて)で行いたい」という数字です。霧散してもおかしくない、という前提での数字です。だけど12月の大学債は間違いない話ですからね。内容の信用度が格段に違う。証券業界や、1号に出資した機関(吉本興業や、日本女子大も入っている)にとっては、耳目を引く話ですし。

それから私は、他メディアとの競争意識は、若い頃から植え付けられたためある程度は持っていますが、嫉妬心はないのですよ。私は「大メディアに就職していたら、体力がないので数年で脱落していた」に違いないし、日刊工業新聞が就職の第一志望だったからです。ただ、自分の仕事の価値を正当にアピールしているだけです。うーん、だいぶ新聞記者っぽいブログですね。よく言えば(この年齢でも)ガッツがあるというか、悪くいえば同業他社との内輪競争話に過ぎないというか…(笑)。記事はこちらから。

2.早大、村上春樹ライブラリー開館。隈研吾氏のデザイン意図の話に、村上氏はどう返したか? 写真はその話題の館内のトンネルです。Dsc_1726 日刊工業的にはトンネルといえば、土木建築か半導体の技術ですが(笑)。メディアが多く集まり、早大は同日見学希望のメディアを3グループに分けて厳格に誘導するなど相当、「混乱を招かないように」と意識していることがみてとれました。記事はこちらから。

さて。明日からノーベル賞です。技術ネタにうとい私でも関心があるのは、やはり新型コロナウイルス感染症で、世界にものすごいインパクトを出した、「m-RNAが受賞となるかどうか」です。インパクト大の案件で、今のところ問題は出ていないけれど、あまりに早すぎる…。「技術が確立された」という受賞判断はまだ、できないのでは、と想像します。でも初日の4火の医学・生理学賞で来なかったとしても、ホッとしていられません。6水の化学賞で来る可能性があるからです。近年はトピックスとしてライフサイエンスの比率が高く、化学を食っている面がありますから。これについては化学出身の私ですが、悪いとか悔しいとかの思いはなくて、「時代なんだなあ」というのが感想です。明日は念のため、同案件が受賞となって遅くなるケースに備えて、夜食の思案をしつつ出かけることにいたしましょう~。

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2021年10月 2日 (土)

新しいキャリーケースで、地方大学の声掛けをお待ちしています

キャリーケースを新調しました。2泊3日レベルのそれはそれは素敵なものです。まずはその正面写真から。知人が使っていて、「それ、すごい機能だね」ということでメモをして、Webで購入しました。「FREQUENTER Clam Advance」、写真がそれです。それまでのは無印商品の店舗で行ってすぐ「安くていいじゃん」と決めたもので、よって「不満があってもしようがない」という商品でした。でも「不満を我慢し続けるほどのものではない」とようやく(10年くらい使って)気づき、変えることにしました。機能重視は当然として、先に写真に合わせて見栄えの話(笑)とします。

色に悩みました。現品限りの安いものが紺色でみられました。が、あちこちの店舗サイトをチェックしても、そのほかの色はほとんど定価から動きません。つまり、紺は売れ残りゆえのディスカウントということだと気づきました。そして、少々の価格につられてはいけないということを、再び思い出しました。それで、決めました。落ち着いたゴールドの商品です。

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続いて、本質となる機能についてです。一つ目は皆が気になる車輪のスムーズさです。広告でも、他製品と比較してのダントツさ具合をアピールしています。これがどれくらいすごいかというと、屋内のフローリングでちょっと後ろから押すと、サーっと数メートル先まで「滑って」いきます。「静音性(ガタガタうるさくいわない)が高い」と記されたりしますが、そんな言葉では十分ではありません。「ボーリング場のボールみたいに滑っていく」というのが適切だと思います。本当です。

二つ目は、ストッパーです。転がりがいいだけではダメです。これまで車内などで「ストッパー、あればいいのに」と思うも、「私の低廉品では仕方がない」とあきらめる、その繰り返し…。それって精神衛生上、よくないじゃないですか!! ので「満足いく機能と価格」ということに今回、こだわったわけです(価格のことばかりで恥ずかしいけど…)。それで、写真です。Dsc_1729 裏側の真ん中にあるストッパーが、ワンタッチで出てきて、写真のように床面を押さえてくれるのです。すばらしい…。

実は10月に、京都(学内研究プログラムの審査)と、山梨(講演)と、二つ大学関連のお手伝いが予定されていたのです。ちょうど緊急事態宣言も解除となって…と思うでしょ? それが二つとも、9月のうちにWeb開催に変わってしまいました…。涙。

遠方の大学の皆様、また企画のお声がけをご思案くださいね。私の場合、多くは有休をとっての社外活動です。なので、イベント(講演者としてorパネリストとして)の旅費・宿泊費をご用意いただければ、それ以外の活動もご希望に合わせて対応します。幹部との情報交換なり、記事化希望の取材なり(広告でなくて報道記事なので、ボツになることもあって要相談)、学生との交流なり(博士教育とかリケジョとか理系就活とか)企画できますから。あっ、キャリーケースのFREQUENTERさんのコメントも入っていますね。「ブランドニューの装いで参りますので、お誘いをお待ちしています」って。

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