21年10月第1週。東大の大学債第2号は他メディアにないネタ
今週は2本。他メディアを意識した新聞記者らしい話をします。いつもは「他メディアが寄ってこない別世界の記事」の傾向がありますので(笑)。
1.東大の1000億円基金+大学債第2号、のニュースです。東大の中長期計画が10月1日(金)に発表で、台風の中の記者会見でした。これに先立つ1日付で記事になったのは、私が把握しているところで他に2メディアです。読売が1000億円をメーンの記事で。日経はベンチャー新ファンド600億を中心に(ベンチャー担当記者が張り切ったらしい)、社会面に各項目を予想以上のスペースを割いての大展開。もっとも1000億円はその意味がわからなかったらしく、数行のみです。
これ、3社へのリークと見えるでしょう? でも私の場合は、「寝ていたら、棚から牡丹餅が落ちてきた」わけではありません。別件で幹部取材を入れていて、ちょうどこの時期に重なったという形でした。「牡丹餅、この辺にあるよね?」とうろうろしてたという具合です(笑)。
そのため2社とは(発表資料由来とは)別の情報を入れています。1000億円については、比較する既存の「東京大学基金」運用の金融商品内容の円グラフがそれです。掲げている年間収益は、なんと3.5%です! ハイリスクハイリターンの金融商品投資は、指定国立大で規制緩和になっていたのですが、「もうこんなになっているんだ」とびっくりです。
それから「12月にも大学債、100億円」「1年前に東大が1号を発行し、関心を示していた大阪大学や東京工業大学を押さえて、2号に進むぶっちぎり状態」という独自ネタです。半年前の幹部取材から「2号が秋にくるな」「これは絶対に書きたい」と狙っていたものです。実は独自取材を申し込んだのは、このニュースを取るのが目的の一つでした。だから1日付の記事を書く時に気持ちが入りました。だから自分の書いた記事には満足しています。たとえ世間一般の皆様には、大メディアの抜きに見えて、専門紙のうちの記事なんて知らない人が多くても。
そもそも1000億と600億円は、どちらも「今後10年(以上かけて)で行いたい」という数字です。霧散してもおかしくない、という前提での数字です。だけど12月の大学債は間違いない話ですからね。内容の信用度が格段に違う。証券業界や、1号に出資した機関(吉本興業や、日本女子大も入っている)にとっては、耳目を引く話ですし。
それから私は、他メディアとの競争意識は、若い頃から植え付けられたためある程度は持っていますが、嫉妬心はないのですよ。私は「大メディアに就職していたら、体力がないので数年で脱落していた」に違いないし、日刊工業新聞が就職の第一志望だったからです。ただ、自分の仕事の価値を正当にアピールしているだけです。うーん、だいぶ新聞記者っぽいブログですね。よく言えば(この年齢でも)ガッツがあるというか、悪くいえば同業他社との内輪競争話に過ぎないというか…(笑)。記事はこちらから。
2.早大、村上春樹ライブラリー開館。隈研吾氏のデザイン意図の話に、村上氏はどう返したか? 写真はその話題の館内のトンネルです。 日刊工業的にはトンネルといえば、土木建築か半導体の技術ですが(笑)。メディアが多く集まり、早大は同日見学希望のメディアを3グループに分けて厳格に誘導するなど相当、「混乱を招かないように」と意識していることがみてとれました。記事はこちらから。
さて。明日からノーベル賞です。技術ネタにうとい私でも関心があるのは、やはり新型コロナウイルス感染症で、世界にものすごいインパクトを出した、「m-RNAが受賞となるかどうか」です。インパクト大の案件で、今のところ問題は出ていないけれど、あまりに早すぎる…。「技術が確立された」という受賞判断はまだ、できないのでは、と想像します。でも初日の4火の医学・生理学賞で来なかったとしても、ホッとしていられません。6水の化学賞で来る可能性があるからです。近年はトピックスとしてライフサイエンスの比率が高く、化学を食っている面がありますから。これについては化学出身の私ですが、悪いとか悔しいとかの思いはなくて、「時代なんだなあ」というのが感想です。明日は念のため、同案件が受賞となって遅くなるケースに備えて、夜食の思案をしつつ出かけることにいたしましょう~。
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