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2022年9月10日 (土)

すごいぞ、視覚・聴覚障がい者向けの筑波技術大学

「国立大学ってことが知られていないんですよ」という、特殊な仕組みを持った大学ならではの悩みを時々、耳にします。長岡や豊橋の技術科学大学、途上国官僚に学位を出すケースが多い政策研究大学院大学、大学共同利用の仕組みと連携した総合研究大学院大学など、独立大学院(学部を持っていない)あたりがそうですね。私はここまでは取材経験もあったのですが今回、初めて「こういう大学なんだ」と出てきたのが筑波技術大学です。

同大の学部生は視覚・聴覚障がいがある学生で、それぞれの障がいに合った学びの施設・設備を用意した2学部からなります。ほぼ全員が敷地内にある寮生活でもあります。そんな大学へ取材に行ってきました。それぞれの障がいにあった設備や配慮による支援が、ものすごく充実して本当に驚きました。

写真は聴覚障がい学生向けの授業風景です。Dsc_2253教員は健常者なのでPPT資料に加え、手話で説明しています。どちらかというと学内見学で「すごい」と感じる度合いが大きかったのは、視覚障がいでしょうか。図書館なら教科書が点字で用意されているだけでなく、学生のリクエストに応じて点字にしてくれるサービスがあるそうです。弱視などの程度に合わせて、印刷物を拡大してみる器具も多数、用意しています。体育館の壁はぶつかっても大丈夫なクッションが敷き詰められているし、音を頼りに運動する競技スポーツも用意されています。また情報を専門とする学生が、支援の機材を使って、プログラムを読んだり書いたりする演習にも感心しました。中には盲ろう(視覚と聴覚の両方に障がいがある)人もいます。「IT系は人材ニーズが高いから、専門性を身に付けて、会社でちょっと専用の機材を入れてもらえさえすれば、社会で十分、活躍できる人材になるのだな」と実感しました。

昨今はインククルーシブ教育で、障がいがあっても特別支援学校ではなく一般の小中高&大学で学ぶケースが増えています。親御さんとしては、特別視されるのではなく、普通に一般の人と交わりながら成長してほしい、と思うのでしょう。でも。「こーんなに支援が充実した同大 で、専門の力を付けて社会へ出ていくのと、普通の大学で支援整備を求めるだけで大変な苦労をして、専門性という意味では中途半端な学びをするのと、どっちがいいのかな?」と思いました。石原保志学長によると、特別支援学校経由で同大を知るケースが多いので、一般の学校にいっていると同大のことを知らないまま、なのだそうです。

と。こんな話を紙面に書きました。えっ、どんな欄なの、と思うでしょ。私も「いくらユニークといっても、単なる大学紹介を大学・科技面に載せるのは厳しいな」と思いました。で、活用したのが「論説室から」という論説委員のコラム欄です。でも同大はあまりにユニークなので、働き方改革やSDGSの企画欄でも、改めて取り上げられそうです。本当は同大の情報発信は一般紙の方が効果あるのでしょうけれど、一般紙ではできないことがウチではできる。ということで、「山本さん、コラムを活用してうちの話を取り上げられませんか」。そんないつもと違う切り口の提案を、お待ちしています~。

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