白内障④ ガチャ目で取材、対応は日によって違う
白内障の手術は私の病院では左右で2週間、間を空けます。手術後の左目の視力は1.2、手術前の右目は0.04というかなりのガチャ目です。それを知った当初は「いったいこれでどんな風に仕事ができるのだろう…」と途方に暮れました。原稿執筆はなんとかなるとして、件数を抑えたとはいえ、いくつか入れた取材は相手があってのことですし、移動もあります。手持ちのグッズをあれこれ使ってトライ&エラーの2週間でした。
パターン1. ガチャ目のままの移動(取材先との行き来)は、慌てなければ意外に大丈夫でした。よく見える左目がリードしてくれるのでしょう。写真はこの状態で一橋大学に出向いた時の、JR中央線の国立駅、駅前に再建された旧・国立駅舎です。 普通なら商業施設を置く一等地に、コミュニティー施設的な建物をゆったりと配置するところが、さすが国立市です(町に対する意識がとても高いのだと、取材時に聞きました)。
取材もこれで、うまくいく気がしたのですが、そうはいきませんでした。メモを取ろうとすると、机上のノートに対し、5cm㍍まで顔を近づけることになりました。高さを変えられない椅子だったので、これで1時間強の取材では、腰が変になるに決まっています。
そこで以前から使っている眼鏡(近視と老眼に対応した累進焦点タイプ)を取り出して、かけました。左目は当然、へんてこになるのですが、眼鏡で矯正した右目が頑張ってくれて、取材を進めることができました。
パターン2.1日用コンタクトレンズが使えるのでは? と気づいて数日分、残しておいたのが正解でした! 右目にコンタクトを入れると視力が0.8くらいになります。左右のバランスは少々、悪いものの、合わせて「遠くが見える」ようになり、移動はばっちりです。
対して、取材時のノートをメモする手元は完全にアウトです。そこで、これまで左右コンタクト(眼鏡をはずしたいおでかけ日の状態)に使っていた出来合いの老眼鏡を、取材時にかけました。
オフィスに一人で、資料を読み込んでいるのなら、これでよいのだと思います。が、取材なので目は、相手の顔とノートの間を頻繁に行き来します。顔を上げるたびに視線は、細いデザインの老眼鏡の枠をはずれます。みっともないけど、まあどちらも見える。そうかあ、時々見かけるシニアの鼻眼鏡って、こういう感じなんだと気づきました。
パターン3. 片目だけ視力がよくなるってどんな感じ? 活動できるのかな? と、病院で相談した時に返ってきた返事は、「皆さん、そのままで過ごしていますよ」でした。「家の中では、片側レンズをはずして眼鏡をかける人もいますね」というものでした。ところが私はこのパターンはまったくダメでした。眼鏡屋さんで外してもらって試すと、向かいの相手には目が三つ! つまり額の真ん中にも、目がある状態で写りましたから。まあ眼鏡もこれまで、特殊な細工をしてきたからだろうな、と諦めました。
そして現在。もう片方の目の手術を終えて、静養の週末です。見え方、素晴らしいです! 眼鏡やコンタクトは、遠くも近くもそこそこ見える、中途半端な状態でした。それを視力1.2が出るレベルにがっちり焦点を合わせたのですから、「遠くがくっきり、鮮やか。世界はこんなにも、美しかったのね」という驚きになったわけです。同時に「スマホは文字の大きさによって、読める場合と読めない場合が出現する」ことになりました。そうか、これが「元々、目がいい人が年長になって、老眼を発症した状態」なのですね。私もそちらに仲間入りです~!