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2023年1月

2023年1月29日 (日)

千葉大のウェルビーイング実証拠点。「取材時の内容がちょっと違う」時は即、連絡を!

今回は1本、千葉大学です。同大の本拠地、西千葉キャンパス(千葉県稲毛区)はかつて、東大西千葉キャンパスと接していました。調べていませんがまあ、「もともとは全部、文部省の土地だった」ということでしょう。千葉大は生研の移転跡地を入手して、ウェルビーイングの地域・社会連携拠点とする計画を、本格化させましたというニュースです。

同大取材は超久しぶりだったのですが、中山俊憲学長が出てきてくれて、感激しました。重要案件で、かつ弊社をちゃんと認識しているんだな、という嬉しさです。取材時には「連携拠点の施設に企業10社ほど入ってほしい。建物は▽階建てくらいで」と、数字が出てきました。ところが執筆時に改めて事務方に確認の連絡をすると、「建物の予算はまだどの形で申請するか決まっていなくて、有力プランで行くと▽建てというのはちょっと無理そう」との返事です。そ、そうですか。

よくあるんですけれどね。取材後、改めて確認してみたら「先の話はちょっと違っていて」と返されるパターン。問い合わせて初めて、発覚するって危なくないですか? 広報など同席する方は「これは大丈夫かな?」と気を付けて、修正がある場合は、早々に連絡してきてくださいね! 広告ではないので、原稿を見せて確認いただくのでは、ないのですから。とにかく結果、しっかりした記事になりました。千葉市のかなり大きな開発の話ですからね、地元メディアの間で話題になったのでは? とちょっと自負しております。記事はこちらから。

私は東大のこのキャンパスに一度だけ、行ったことがあります。10年以上前かな。宿泊施設を使った大学院生向けセミナーで、技術コミュニケーションの講師役として出向きました。その時は駅から10分くらい、長い壁沿いを歩いて行った記憶があります。同地の予定図を見ながら「どの辺を歩いたんだろう」と振り返ります。次回の取材時には、周辺を見て回る時間をとっておこう、と思っています。

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2023年1月28日 (土)

白内障⑦ 急転直下、多焦点から単焦点へ変更に

私が選んだ眼科は白内障手術を柱にしており、どの医師も看護師も白内障対応はばっちりです。手術だけは院長がするそうで、「他の医師の腕は磨かなくていいのかあ。まあ個人的には、経験の浅い医師に『誰もが最初は初心者ですから』って担当されるより、壮年期のベテランの方がもちろん、安心で嬉しいよね」と思っていました。手術日を数か月後に決めてからの検査は月1×3回などあり、それは「眼球に関する測定値に振れがあるため、何度か計って平均を見る」というのが理由でした。「他の診療所もそうなのかなあ、慎重で心強いな」との感想を持ち、いよいよ院長面談です。カレンダーもイベント専用のものを用意し(写真)、10月と11月の手術前後の予定を書き入れていく段階です。Dsc_2712
それからトラブルになった時に備えて(手術ですからね)、「レコーダーで録音してもいいですか。後で復習できますから」と院長にリクエストし、快い返事に安心して面談スタートです。

病院側とのコミュニケーション自体は、ずっとしてきたからでしょう、院長の最初の言葉は「何か心配はありますか?」。私は「自由診療の多焦点で―と気持ちは固まっています。でも『結果として、あまり具合がよくなかった』となって、『高額の治療を選んだのに』と後悔するとなったら辛いのですが…」と尋ねました。そうしたら院長は、「多焦点は遠くの5mから近くの40cmまで光を分散させるので、コントラストは全体に下がるものなんですよ」と話しながら、ディスプレーに映し出した私のカルテ(に相当する情報)を見ていきました。そして、それまで私が考えていなかった話を始めたのです! 

院長「網膜分離ですねえ。多焦点レンズで近くをみると、にじみが出るかもしれませんね。カメラで例えると今回、レンズをいいものに取り換えますが、フィルムに相当する網膜の感度がよくない状態ですから」。そ、そうだ網膜分離…。春に診察を受けた時に「網膜分離がどう影響するかは、院長に見てもらいましょう」って言われていたのをすっかり、忘れていました。 

院長「視神経もかなり細いし、このギザギザは黄斑前膜の問題ですね」。そ、そうか私の目はけっこうなトラブル・リスクを抱えていたのですね。同「まだ若いので目が対応して大丈夫かもしれないけれど、年齢が上がってさらに感度が落ちてくると、手元がきついのではないですかね」。うーん、そういう話なのか…。院長「多焦点レンズは、お薦めしないですね」。なんと。半年ほどずっと「多焦点で心を決めた! 高額でも全然、構わない」と心の中で繰り返していただけに、大ショックです。

院長「単焦点でピシッと中位遠方にピントを合わせて、手元は眼鏡を使う、というのでいかがですか。一般的な活動は確実にいいですよ。万一、何らかの理由で具合が悪くて、レンズ入替となっても保険のため無料ですから。自由診療だとそうはいかないですし」。そうです、中止になるって話ではないのです。ただ単焦点にして、今までの眼鏡生活の大変さがどの程度、減らせるか減らせないのか、が気になります。

「老眼が始まってから、よいレンズを選んで一度、作り直して2本、使ってきました。なのに快適な状況がちっとも続かなくて。手術をしても今一つだったら、と心配です」と私。院長「この眼鏡ですか? 縦の幅があまり広くないですね、これで(あなたの強度の近視と老眼という)遠近累進焦点は、厳しいでしょう。中近両用ならいいですが」。ええっ、信頼できると確信した眼鏡屋さんで、あれだけ相談して、それなりのお金をかけて作ったのに。つまり「このフレームを、あなたの遠近両用にするには最初から無理でしたよ」ということなの?! 再びショックです。院長「ちょうど老眼が進む年齢でしたからね。55歳くらいまではピントが合いにくいんですよ。それ以降なら安定してくるのですが」。そ、そうだったのですね…。院長「まあいずれにせよ今回、眼内レンズで置き換えるのですから大丈夫ですよ」。

院長先生が、私の過去10年ほどの苦しみの要因を、あまりに的確に指摘してくれたことで、絶大なる信頼感が沸き起こりました。それまでもインフォームドコンセントに相当するビデオで、いい先生だなと思っていましたが、それ以上です。私「わかりました。単焦点レンズでの手術に、変更してください」。迷いはありませんでした。保険適用だから費用も俄然、安いですし。「手元では眼鏡」といっても、今までのようなド近眼の重くて厚いレンズではなくて、薄くて軽ーいシニアグラスになるのだもの、大丈夫!

ということで急転直下。面談20分ほどで大きく結論が変わりましたが、満足です。この先生の施術なら、不具合があってもきちんと対応してくれると確信しましたから。【雨降って地固まる】。私の好きな言葉の一つです。

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2023年1月22日 (日)

リリース記事化率「31%⇒75%」の東大物性研 &DS学部、百花繚乱

文科省記者クラブのホワイトボード(会議室にあるようなキャスター付大型タイプ)が、ちょうど1日でいっぱいになるくらいです。科学技術系の研究成果のリリース発表は。いつも「こんなにリリースを作っても、記者クラブ常駐の加盟者が取り上げるのは、ずいぶん限られているよなあ」「それよりも『この中ネタは、専門紙としてちょうどいい規模の日刊工業新聞に書いてもらおう』という判断を、随時入れて行った方が労力対効果はいいだろうに」と思っていました。でも研究者は今時の評価でリリース本数を問われるため、「掲載されなくてもいいから、リリースしましたという実績がいる」という状況を今回、知りました。

1.東大物性研は、リリースの希望案件に数万円の課金をすることで、「イチオシの内容で、新聞メディアがしっかり書いてくれる案件だけを、リリースにする」ということに成功したという話です。その率、31%から75%へ。おもしろいでしょう? 科学技術や大学のニュース記事を書く中で、こういう切り口のもの(それも劇中劇のような、笑)は珍しく、でも実は関心を呼ぶ内容でないかと思っています。

実はこれ、「リリースの書き方指南の講演会をしてくれないか。それもガツンと研究者を刺激するようなものを」と、親しい物性研関係者に声をかけられたのがきっかけでした。写真はその講演会のチラシです。Dsc_0002_burst20230122094911614 どうです、このタイトル。「書かれてなんぼ、プレスリリースの真価とは」。意味としては「書かれなくちゃ価値ないでしょ、プレスリリースなんだから」、ですね。複数のタイトル候補を私が示す中で一番、刺激の強い「ひゃああ~」というものが選ばれました(笑)。

ちなみに私は関西人ではないのですがこの言葉、以前から気になっていて。どこかで使ってみたいなと思っていました。それは理工系の強い中堅大学、東京都市大学での取材時でした。三木学長(元東工大副学長)が研究力強化のためけっこう厳しいことを教員に課していて、大丈夫ですかこんなプレッシャーかけて、といったところ「学長は、嫌われてなんぼ」っていったのです。すごいですね! 「自分は皆に、嫌われることをしてこそ価値がある」っていえるトップなんだ、と。気の弱い私は目がくらみそうでしたよ(笑)。

閑話休題。それで講演の打合せをする中で、課金制の話が出てきて、「それ、記事に書きたいですね」。講演会の前に取材をするという形で、一石二鳥で出向きました。記事はこちらから。

2.データサイエンスの新学部・学科は百花繚乱です。自分が取材した滋賀大、慶大、一橋大の事例を使ってのまとめ記事。私としては「そろそろ『新学部開設で大人気だと思ったのに、別の大学に学生をごっそり取られちゃって、見込みと全然、違うじゃない!』というケースが、出てくるだろうな」と気になっていましたので、そのあたりを入れてみました。
記事はこちらから。

スマホで撮影し、パソコンのピクチャで管理していた写真が一部、行方不明になっています…。社内のIT担当者にあれこれ聞いて探すのですが。でも「残念だけどまあいいか」と思ってもいます。会社スマホの転換と、年明けてから書く記事の待ちと重なったので、「絶対になくしてはいけない写真(記事掲載の上で必須のもの)は、いつもと別建てで確保しておく」と頭に入れていたからです。正解~!

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2023年1月21日 (土)

創造性発揮の5%に向けて 2大学統合の新名称記事で思う

東京医科歯科大と東京工業大学の統合新大学の名称「東京科学大学」で、1.19木はバタバタしました。朝刊でスクープがあって、各メディアは「後追い」と呼ばれる形の記事に急ぎ動きます。昔は、必要だったと思います。家庭でそれぞれ別の新聞を取っていた時代には。A紙しかとっていない家庭では、A紙の記事しか見ないので、後追いでもなんでも関係なく、それが重要な情報源だったわけですから。

でも。ネット時代は、それまで以上に釈然としない気分になります。だって「新名称が出たんだって?」と検索すると新聞メディアや、それらの記事内容を提供する情報配信サービス会社など、どれもこれもほとんど同じ内容がずらり、出てきますから。なんだか馬鹿馬鹿しい気がするのは私だけでしょうか…。それはまあ、ネットがなかった時代、活字オールドメディアで記者の教育を受けてきた世代だからなのですが。「後追いでも、発表でも、他が書かない切り口で『あの新聞、あの記者は違うな』と思わせるよう努力をすべし」という訓練を受けてきたためです。

今回でいうとHPの内容(ネットで出てくるどのメディアの内容もほぼ、同じ)に加え、最後に書きました。統合の協議開始から2カ月で合意し、そこから3カ月で名称も固めたということの意味を。「挑戦的な事柄を短期にまとめた実績は、政府の国際卓越研究大学認定に進んだ場合も、プラス評価になりそうだ」って。

このところ、2大学の統合にしろ東大の女性教員増計画にしろ、少し前なら考えもしなかった大胆な話が、伝統的な(本来なら腰の重い)大学から出てきているでしょう。それは産業・地域社会からも政府からも、高評価を得るにはこのように行動しないと、という意識が働いているからだと感じます。運営費交付金がたっぷりあって、完全に文科省の傘下にあった時代には、とても出てこなかった自律的な動きです。この件はまた社説にでも書いて行こうと思うのですが、その意味で2大学統合のスピーディーさに注目したのです。写真は東工大の大岡山キャンパスの図書館です。Img_2520

まあ、私がむきになってそんなことを書いても、世の中的には関係ないでしょう。2大学の新名称という、メディアがこぞって書く内容において、うちの紙面をじっくり読む人は残念ながら、そういないですから。でも。夕方、そんな愚痴を親しい人に話す機会があって。そうしたら「ヤフーだったかな、新名称のフラッシュニュースがスマホに来て。そうしたら山本さんが正月企画で書いたっていっていた、2大学統合の解説記事がくっついていたよ。あれ、よく書けているよね」と言ってくれたのです。そうなんだ! 関連記事として紹介されたんですね。じゃあ、今日の仕事もよかったとすることにしますかネ(笑)。

一般に、最高峰の仕事に携わるごく一部の人を除いて、多くの社会人は仕事の内容に、忸怩たる思いをしばしば、持ちますよね。「創造的でないし、楽しいものでもないけれど、こういう仕事をすることも含めて、給与を得ているのだから仕方がない」って。私の好きな著名ビジネスウーマン、内永ゆか子さん(元IBM専務で、ベルリッツなど経営トップも務めた)でさえ、「仕事は5%の『やったー!』という喜びのために、残りの95%をやっているようなものよネ」と言っていましたっけ。5%のこれぞという機会に向けて、95%の地道な日々があると言ってもいいかもしれません。ということで、「本領発揮の5%に向けて、95%の日々はムキにならずにさらりとこなす」という姿勢を、遅ればせながら身に付けていきたいと思います。

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2023年1月15日 (日)

大学発VB1000社計画から20年…

新年早々の長め読み物、大学発スタートアップ(SU、以前ならVB)の記事です。秋から大学発SUの連載を始め、複数のSUを回って意外に思ったのが「昔、さんざん批判されていた【大学人の想いでビジネスに参入する】スタイルが、いくつも表に出てくる」ということでした。大学発SUに向けたベンチャーキャピタル(VC)の取材から、SU候補を出してもらって回っただけに、「VCの意識が社会とともに変わったんだな」と感じ、記事の企画を考えました。

私は博士研究で、「大学発SUは、大学の先進技術を、大手企業での実用化につなげる役割がある。利益第一でなくても社会的存在意義がある」という論文を書きました。アンケートのデータ解析と、化学系SU事例によって、化学工学会の査読論文、それも英語論文が掲載になっています(ものすごく大変でした…)。当時は「大学発SUは、急成長&上場で利益を出すもの。そうでない発想を持つSUはクズだ」みたいな論調が、経営学の研究者やVCの間で強くて。相当、批判されました。研究者はこんな感じで、異分野からの新たな研究の視点に対して、反応するのか~というマイナスの現場を体感してきました。ので、20年近く経ての今の変化に関心が高かったのです。「私の指摘がいかに正しかったか」とまあ、自負するわけです。

記事には盛り込めませんでしたが、新たな大学発SUの形としては、東大とNECの共同研究成果を基にしたローカル5G基地局の「フレアシステムズ」も、目新しいです。写真は同社の現場です。Dsc_2545 昔は「基本特許は絶対に大学が持つべきだ」と主張されていて、まあ製薬などは今もそうだと思いますが、そうでないケースでのSUは私としても初めてでした。メディアを通していろいろなタイプを紹介し、その中から「今の時代はこういう流れになってきている」という姿を示せれば、記者冥利に尽きますね。記事はこちらから。

大学発SUの連載は次の19日から他記者の執筆で、再び回りはじめます。私の博士研究の頃、同様の連載を長く(3年くらい)やっていて、博士研究でアンケートをお願いする先として、チェックに活用した覚えがあります。それ以来なので相当、新たな顔が出てくるはずです。ぜひ長く続いてほしいです! 専門メディアの現場はしばしば紙面を「埋める」苦労があり(記事が足りない、とデスクに言われて、必死に紙面を埋める)、連載はその苦労を大いに和らげてくれるから。少なくとも2年は絶対に続きますように~。

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2023年1月14日 (土)

白内障⑥ 医療費は制度が分かれば怖くない

しばらく間が空きましたが、白内障ブログを1‐2月にかけて続けていきたいと思います。

白内障は手術代+診察代+薬代+眼内レンズ代で、いくらくらいになるのでしょうか。風邪などと異なり高額になるため気になりますが、活用できる支援制度が実はけっこうあります。「日本は公的保険が充実しているので、入院や手術に備えた民間の医療保険を個別に入る必要はあまりない」と以前から耳にしていました。でも、実際に自分が対象にならないと、具体的に計算して理解する行動にはなかなか移せません。ようやくここにきて、初の機会が回ってきたわけです(笑)。

ます、「眼内レンズと関連の医療費はいくらかかるの?」からいきます。単焦点レンズは公的な健康保険制度の対象です。会社の健康保険組合とか、自営業なら国民健康保険とか、いつもの保険証を出してくれている機関・仕組みが、面倒を見てくれます。現役世代の自己負担は、かかった医療費合計の3割なので、両目で10万円ちょっとになります。高齢者で1割負担の場合はたったの3万円です!

対して多焦点レンズは、まだ実用化されて何十年もたっていないため制度としても発展途上です。現在はレンズ代が自費(保険対象外)で、私が「累進焦点の一番いいやつ」と憧れていたものは、両目で70万円弱です。これに保険対象の手術・診察・薬代がかかります。社会人になってこれまでずっと、がんばって働いてきたのですから、「人生このあたりで、これくらいは出費しても全然、問題ない!」と私は鼻息が荒くなっていました(笑)。

次にこれらの「自分が払う予定のお金」に対して、活用できる制度を順番に見ていきます。
1.公的医療制度による「高額療養費制度」。これは「年収がこれくらいの人は、ひと月あたりこれくらいまでは自分で出してもらうけれど、それを越えた分は持ってあげますよ」というものです。計算式がありますが、年収500万円くらいの人で月8万円ほどです。これはすごいことです。「生死にかかわるような大きな病気にかかると、医療費がかかって生活を圧迫するのではないか」と、ばくぜんと心配している人が多いと思います。が、基本「月8万円は用意がいるけれど、それ以上は心配しないでネ」っていってくれるのですから。ひと月あたりなので、医師からは「2回の手術はこの月にまとめてしてしまいましょう」との提案を受けました。

この適用は、先に自分の保険制度の窓口(健保組合とか、国民健康保険を担当する住居地の市とか)で手続きしていると、「(健康保険)限度額適用認定証」というのを受け取れます。病院の窓口でこれを出すと「じゃ、月8万円以上の分はこちらで手続きしておきますから」的な対応をしてくれて、実際にお財布に入れて持っていくのも月8万円ですみます。この認定証をもらっていないと、「後で清算するけれど、とりあえず支払ってください」となって、場合によっては(白内障よりかかるものは)、預貯金からそれなりに引き出さなくてはいけないので、面倒です。認定証を、対象月の1カ月ほど前にもらう手続きをしておきます。

2.健康保険組合ごとの独自の「付加給付金制度」。これは1の「月8万円も気の毒ですよね。うちの健保は少し余裕があるから、月収レベルに応じていくらか、給付金を出してあげますよ」というものです。私の会社はいろいろよくない点もあるけれど、福利厚生は昔からよくて、「えっ、こんなに給付してくれるの」というレベルでした。逆にいうと「ひと月、自分の負担って、たったこれだけなの?!」ととても驚きました。大きな手術をした同僚と話をして、「これなら本当に、民間の医療保険なんかいらないじゃない!」と実感しました。

3.民間の医療保険や、生命保険の特約など。これは「白内障手術ならこれだけ、出しますよ」と保険ごとに定められています。お金を受け取るのは私も今回、初めてです。ここで「わあ、嬉しい」と浮かれてはいけません。それまで多大なる掛け金を、自腹で払ってきたのですから(公的な支援は入っていない)。計算すると「これだけ掛け金を出してきて、たったこれだけ?」となりますが、「これまで大きな病気にならなくてよかった」と納得しましょう。民間の保険って、そういうものですからネ。写真は手続きのために取り寄せた「手引き」です。Dsc_2713

4.「医療費控除」。一年間の確定申告で、「うちは家族分合わせてこんなにかかりました」と計算すると、そこから10万円を引いた金額が、税金控除となります。保険が効かなかった歯科などの費用も入れられます。ただ、かかった費用が返ってくるのではないので、金額としてはさほどではないです。過大な期待をしない方がいいです(笑)。でもここで所得税(国税)が下がると、住民税(地方税)も下がってきて、住民税の基準で決まる子育て世代への支援とかに影響します。

例えば家族合計で年25万円を支払ったとします。10万円を引いた15万円分を、家族の中で一番、収入が多くて税金も多く納めている人の確定申告において、医療費控除とします。収入によって決まっている税率、例えば10%の人なら、15万円の10%なので1.5万円の税金がもどってきます。その後に払う地方税は一律(収入に寄らず)10%なので、1.5万円の税金が、持っていかれずにすみます。つまり1.5+1.5=3万円のメリットです。1とか2とかの支援に比べると「これだけ…」って感じですね。領収書や交通費の計算が面倒な割に。まあ医療費に限らず、控除で税金を取り戻す分って、さほど大きくないんですよね。税金もその程度しか納めていないということの裏返しですが。

と、これでだいたい全体が理解できたと思います。各制度とも細かい条件などあるので、当事者になったらしっかり確認してくださいね。ただ先に、「こんな柱建てになっているのか」とわかると安心ですよね。ということで今回は、白内障に限らない医療費制度の説明会でした~。





 

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2023年1月 8日 (日)

医科歯科大、東工大の統合はどこまで期待できるか &東洋大学のビジネス日本語講座

1.今年の私の新年企画は東京医科歯科大と東京工業大学の統合です。どうも両大学の間では、大学名をこの順で表に出すことにしているらしいので、それに従って書いています。10月の会見時は白内障手術と重なり、また一般紙も再度、両大学長のインタビューを掲載する中で、私としては「いったい何を書くべし」と悩んでいました。メディアのブランド力も劣る方が、より遅く記事を掲載するのですから。おまけに「両大学の正面からは2学長として、周辺ではこの辺りで」と考えた複数の取材先が、両大学の意向で不可になるという、普段は経験のない形になり、ますます悩みました。正直いって、こんなに取材企画に苦労したことはありません~。

医科歯科大は、田中学長が就任した時の新学長インタビューで行ったくらいで、親しい教員もほとんどいません。今回は知り合いに紹介してもらって、もう一段の紹介を挟んで取材に行く…という状況でした。一方、東工大は母校だけに、ほぼ全理事・副学長に面識があるし、卒業生の反応も耳に入っていたのですが、「もうちょっと外からの声を入れたい」。某卒業生から「日本医療研究開発機構(AMED)の三島理事長(前東工大学長)は取材しましたか?」と言われて、「そうか! それはコメントをもらうのにももってこいだ!」と気づきました。

それから文科省です。一般メディアの秋の記事では、役人の名前なしの匿名コメントしか見当たりません。「取り急ぎ、役人のコメントを」となって、そうすると匿名ならいいよという課長クラスなのかと想像します。私の正月記事でそれはないよね、と選んだのは池田高等教育局長です。直前は研究振興局長で、国際卓越研究大学の担当だったことを知っていたので、ベストチョイス! と判断しました。

具体的に記事では、池田局長コメントで、今回の統合が他の大学を大いに刺激しているということを出しました。「どうして東工大学長だった金属材料研究者が、医療研究で重要な機関のトップに?」と言われまくった三島先生には、医×理工の期待を語っていただきました。医科歯科大OB(医学部)の水島教授には、東工大の生命理工学院が、医科歯科大の基礎医学部局にとってどのように魅力的かという点を。同じく医科歯科大OB(歯学部)の一條教授には、教養教育での両大学の相乗効果を。いずれもあまり、他メディアでは取り上げられていない切り口・コメンテイターで、仕上げることができました。ヨカッタ…。なんとか面目が立ちました(笑)。

写真は医科歯科大のお茶の水のキャンパス。Dsc_2955 紙面に使ったのと違い、右に工事の資材が映っています。下部は蔭になってもいます。これは実は、JRお茶の水駅のホームから撮影したものです。周辺を歩くも、なかなかよい構図で写真が撮れなくて。隣接する順天堂大学の建物で間違えてもいけないし、気を使います。それにしてもお茶の水駅のところの神田川の工事って、永遠に続くのでしょうか? 工事していない時の記憶が出てきません。スペインのガウディのサグラダファミリアみたいです。

そして両大学学長のインタビュー。向こうが指定してきたのは霞が関ビルの上層階の貸し会議室でした。その後に両大学の打合せが控えているとのことでしたから(18時半からの会議って、今時の働き方改革に反しますけれど、笑)ここを選んだようですが、借りるのも高そうです。そういえば10月の会見も都心の貸会議室で、司会はアナウンサーでした。カツカツの予算ではない&どちらかの大学に片寄らないで、という意識なのでしょうかね。記事はこちらから。

2.東洋大学、日本語ビジネス講座で存在感。新型コロナウイルス感染症でオンライン授業が広まって、大学が手掛ける講座でもっともメリット大なのが、このような受講希望者が散らばっているケースではないでしょうか。私が本件に気づいたのは、大学コンソーシアムのJVキャンパスのイベントからでした。が、同大としては「JVキャンパスに提供してはいるけれど、中身は自分たちオリジナルの自信作です!」という意識が強いようです。記事はこちらから。

いよいよ厳冬期。もはや、遠方取材には出向かない体勢に入っています。例年、寒さで体調を崩すため、このシーズンはかなり慎重に行動します。いくつかの大学は、12月に滑り込みで近郊に取材に参りました。これから2月一杯は都心か、自宅から遠くないところに限定です。片道2時間以上かかるところにある大学の皆様、春からまた、よろしくお願いいたします~。

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2023年1月 7日 (土)

スマホ転換で思う、「年長者は、年少者に好感を持たれなくては」

年末年始のタイミングで、会社貸与のスマホが転換になりました。Xperia Ace Ⅲ。真っ黒けです。Img_4054 写真を見ても、なんだかよくわかりませんね(笑)。もっとかわいげのある機種がよかったのだけど、まあ会社貸与ですから、仕方がありません。

旧スマホからデータ移行するのに、ドコモショップの機器「ドコピー」が使えると聞き、すいてそうな時間帯を見計らって出向きました。電話で先に確認したら、「セルフでしていただきますが、ショップ店員がお手伝いはしますよ」といわれていました。幸い、手の空いている若い男性店員さんがいました。

「店側で対応する場合は2200円」という張り出しを前に、新旧のスマホを並べて、ドコピーの説明画面を見ながら進めたのですが、これがなかなか手ごわい。結局、予想よりずっと多い回数、つまり5回くらい店員さんに声をかけて、ようやく成功しました…。セルフになっていなくて申し訳ないです。最近はIT活用で人によるサービスが俄然、減っているだけに、感じの良い、優しい定員さんで助かりました。ありがとうございました。

それで、以前から思っていたことを、改めて心に刻みました。【手際の悪い年長者は、年少者に好感を持たれなくては、生き延びることも難しい】と。平日昼間のショップだったせいか、シニアの男性が大声で(耳が遠いのでしょうね)、自慢めいた話をするのを目にしましたが、そういった前時代的な人はちょっと、ねえ。お金を払えばサービスは受けられるだろうけれど。若い人に助けてもらいながら、人生100年をまっとうするには、こちらもそれなりの丁寧さや上手なコミュニケーションや身なりを意識しなくては、ね。他山の石、です。世の中の若い皆さま、どうぞよろしくお願いいたします~。

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2023年1月 1日 (日)

声をかけられると張り切る気質

新年あけましておめでとうございます。 ニュースイッチにブログにと多面的な情報発信を、時として「面倒だなあ」「新聞記事としてはすでに発信済み、大半の記者はそれで終わってるのに」と思うことがあります。でも。もう少し頑張ろうと思います。新型コロナでの働き方改革も進んでいるし、年齢的にも仕事が押し寄せるほどではなくなってきているのだし。新聞と違う読者が、たとえ数は少なくとも私のファンともいえる読者が、愛読してくれているのですから。佳世子、がんばる。皆さま、今年もよろしくお願いいたします。

2023年最初の記事は、内閣府委託事業の「大学支援事業」(PEAKS)について、上山CSTI議員のインタビューです。記事掲載は年末でしたが、ちょうど座長も替わってリニューアル、気分一新ということで。上山議員は弊社の記者仲間の間でもちろんキーパーソンと認識されていますが、なぜかインタビュースタイルでの記事は初めてでした。いかんですね、失礼しました。写真はCSTIのHPからの議員紹介です。PEAKS新座長の佐藤議員も入っています。Kotira-csti

上山塾という表現について、CSTI事務局に相談した時には「控えて」と言われたのですが、まあ紙面でなくてニュースイッチならいいかな、と入れてしまいました。ちなみに塾の卒業生の幹部は、東京農工大・千葉学長、名古屋大・杉山学長、岡山大・那須次期学長(4月から)、東北大学・青木理事、大阪大学・尾上理事などです。なかなかのメンバーですね。ちなみにPEAKS、参加の制限は別にないようですので、メンバーになっていない大学も加入を検討してみてはいかがでしょうか。

ただ私が思うのは、メンバーになっているだけだと何も得られなそうだな、ということです。ワーキンググループに入って「本学に応用するべく、大いに活用しよう」と考えたり、米大学の研修を受けたり(英語で大学改革の話をずっと議論していくのは、研究者の専門分野の国際学会と違ってハードルは高いですが)して、アチコチから刺激を受けることが大事だと思います。私も加入したてなので、これからなのですが。記事はこちらから。

私、今回のケースみたいに「気になっていたけど、手つかずだった」という案件で声をかけられると、張り切っちゃうんですよ。意見もバンバン言うし、記事も書くし。2022年は国際卓越研究大学を議論する、文科省の科学技術・学術審議会の下の、大学研究力強化委員会がそうでした。こんなにやりがいのあった委員会は他になかたです。でも。すっごく残念なことに、同審議会の委員は10年任期というのがかなり厳格に守られていて、私もまもなく任期終了なのです。残念です。同審議会の下の複数の委員会のミッションが、ごっそりなくなって寂しいです。メディアの論説委員で、修士まで理系の女性で、博士号を社会人で取得していて、大学と科技をいったりきたりの専門記者で、それなりにユニークな視点を持っているかと思います。「じゃあ、うちで張り切ってもらおうかな」と2023年、お声がかかることを心待ちにしています。

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