« 医科歯科大、東工大の統合はどこまで期待できるか &東洋大学のビジネス日本語講座 | トップページ | 大学発VB1000社計画から20年… »

2023年1月14日 (土)

白内障⑥ 医療費は制度が分かれば怖くない

しばらく間が空きましたが、白内障ブログを1‐2月にかけて続けていきたいと思います。

白内障は手術代+診察代+薬代+眼内レンズ代で、いくらくらいになるのでしょうか。風邪などと異なり高額になるため気になりますが、活用できる支援制度が実はけっこうあります。「日本は公的保険が充実しているので、入院や手術に備えた民間の医療保険を個別に入る必要はあまりない」と以前から耳にしていました。でも、実際に自分が対象にならないと、具体的に計算して理解する行動にはなかなか移せません。ようやくここにきて、初の機会が回ってきたわけです(笑)。

ます、「眼内レンズと関連の医療費はいくらかかるの?」からいきます。単焦点レンズは公的な健康保険制度の対象です。会社の健康保険組合とか、自営業なら国民健康保険とか、いつもの保険証を出してくれている機関・仕組みが、面倒を見てくれます。現役世代の自己負担は、かかった医療費合計の3割なので、両目で10万円ちょっとになります。高齢者で1割負担の場合はたったの3万円です!

対して多焦点レンズは、まだ実用化されて何十年もたっていないため制度としても発展途上です。現在はレンズ代が自費(保険対象外)で、私が「累進焦点の一番いいやつ」と憧れていたものは、両目で70万円弱です。これに保険対象の手術・診察・薬代がかかります。社会人になってこれまでずっと、がんばって働いてきたのですから、「人生このあたりで、これくらいは出費しても全然、問題ない!」と私は鼻息が荒くなっていました(笑)。

次にこれらの「自分が払う予定のお金」に対して、活用できる制度を順番に見ていきます。
1.公的医療制度による「高額療養費制度」。これは「年収がこれくらいの人は、ひと月あたりこれくらいまでは自分で出してもらうけれど、それを越えた分は持ってあげますよ」というものです。計算式がありますが、年収500万円くらいの人で月8万円ほどです。これはすごいことです。「生死にかかわるような大きな病気にかかると、医療費がかかって生活を圧迫するのではないか」と、ばくぜんと心配している人が多いと思います。が、基本「月8万円は用意がいるけれど、それ以上は心配しないでネ」っていってくれるのですから。ひと月あたりなので、医師からは「2回の手術はこの月にまとめてしてしまいましょう」との提案を受けました。

この適用は、先に自分の保険制度の窓口(健保組合とか、国民健康保険を担当する住居地の市とか)で手続きしていると、「(健康保険)限度額適用認定証」というのを受け取れます。病院の窓口でこれを出すと「じゃ、月8万円以上の分はこちらで手続きしておきますから」的な対応をしてくれて、実際にお財布に入れて持っていくのも月8万円ですみます。この認定証をもらっていないと、「後で清算するけれど、とりあえず支払ってください」となって、場合によっては(白内障よりかかるものは)、預貯金からそれなりに引き出さなくてはいけないので、面倒です。認定証を、対象月の1カ月ほど前にもらう手続きをしておきます。

2.健康保険組合ごとの独自の「付加給付金制度」。これは1の「月8万円も気の毒ですよね。うちの健保は少し余裕があるから、月収レベルに応じていくらか、給付金を出してあげますよ」というものです。私の会社はいろいろよくない点もあるけれど、福利厚生は昔からよくて、「えっ、こんなに給付してくれるの」というレベルでした。逆にいうと「ひと月、自分の負担って、たったこれだけなの?!」ととても驚きました。大きな手術をした同僚と話をして、「これなら本当に、民間の医療保険なんかいらないじゃない!」と実感しました。

3.民間の医療保険や、生命保険の特約など。これは「白内障手術ならこれだけ、出しますよ」と保険ごとに定められています。お金を受け取るのは私も今回、初めてです。ここで「わあ、嬉しい」と浮かれてはいけません。それまで多大なる掛け金を、自腹で払ってきたのですから(公的な支援は入っていない)。計算すると「これだけ掛け金を出してきて、たったこれだけ?」となりますが、「これまで大きな病気にならなくてよかった」と納得しましょう。民間の保険って、そういうものですからネ。写真は手続きのために取り寄せた「手引き」です。Dsc_2713

4.「医療費控除」。一年間の確定申告で、「うちは家族分合わせてこんなにかかりました」と計算すると、そこから10万円を引いた金額が、税金控除となります。保険が効かなかった歯科などの費用も入れられます。ただ、かかった費用が返ってくるのではないので、金額としてはさほどではないです。過大な期待をしない方がいいです(笑)。でもここで所得税(国税)が下がると、住民税(地方税)も下がってきて、住民税の基準で決まる子育て世代への支援とかに影響します。

例えば家族合計で年25万円を支払ったとします。10万円を引いた15万円分を、家族の中で一番、収入が多くて税金も多く納めている人の確定申告において、医療費控除とします。収入によって決まっている税率、例えば10%の人なら、15万円の10%なので1.5万円の税金がもどってきます。その後に払う地方税は一律(収入に寄らず)10%なので、1.5万円の税金が、持っていかれずにすみます。つまり1.5+1.5=3万円のメリットです。1とか2とかの支援に比べると「これだけ…」って感じですね。領収書や交通費の計算が面倒な割に。まあ医療費に限らず、控除で税金を取り戻す分って、さほど大きくないんですよね。税金もその程度しか納めていないということの裏返しですが。

と、これでだいたい全体が理解できたと思います。各制度とも細かい条件などあるので、当事者になったらしっかり確認してくださいね。ただ先に、「こんな柱建てになっているのか」とわかると安心ですよね。ということで今回は、白内障に限らない医療費制度の説明会でした~。





 

| |

« 医科歯科大、東工大の統合はどこまで期待できるか &東洋大学のビジネス日本語講座 | トップページ | 大学発VB1000社計画から20年… »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 医科歯科大、東工大の統合はどこまで期待できるか &東洋大学のビジネス日本語講座 | トップページ | 大学発VB1000社計画から20年… »