大学発VB1000社計画から20年…
新年早々の長め読み物、大学発スタートアップ(SU、以前ならVB)の記事です。秋から大学発SUの連載を始め、複数のSUを回って意外に思ったのが「昔、さんざん批判されていた【大学人の想いでビジネスに参入する】スタイルが、いくつも表に出てくる」ということでした。大学発SUに向けたベンチャーキャピタル(VC)の取材から、SU候補を出してもらって回っただけに、「VCの意識が社会とともに変わったんだな」と感じ、記事の企画を考えました。
私は博士研究で、「大学発SUは、大学の先進技術を、大手企業での実用化につなげる役割がある。利益第一でなくても社会的存在意義がある」という論文を書きました。アンケートのデータ解析と、化学系SU事例によって、化学工学会の査読論文、それも英語論文が掲載になっています(ものすごく大変でした…)。当時は「大学発SUは、急成長&上場で利益を出すもの。そうでない発想を持つSUはクズだ」みたいな論調が、経営学の研究者やVCの間で強くて。相当、批判されました。研究者はこんな感じで、異分野からの新たな研究の視点に対して、反応するのか~というマイナスの現場を体感してきました。ので、20年近く経ての今の変化に関心が高かったのです。「私の指摘がいかに正しかったか」とまあ、自負するわけです。
記事には盛り込めませんでしたが、新たな大学発SUの形としては、東大とNECの共同研究成果を基にしたローカル5G基地局の「フレアシステムズ」も、目新しいです。写真は同社の現場です。 昔は「基本特許は絶対に大学が持つべきだ」と主張されていて、まあ製薬などは今もそうだと思いますが、そうでないケースでのSUは私としても初めてでした。メディアを通していろいろなタイプを紹介し、その中から「今の時代はこういう流れになってきている」という姿を示せれば、記者冥利に尽きますね。記事はこちらから。
大学発SUの連載は次の19日から他記者の執筆で、再び回りはじめます。私の博士研究の頃、同様の連載を長く(3年くらい)やっていて、博士研究でアンケートをお願いする先として、チェックに活用した覚えがあります。それ以来なので相当、新たな顔が出てくるはずです。ぜひ長く続いてほしいです! 専門メディアの現場はしばしば紙面を「埋める」苦労があり(記事が足りない、とデスクに言われて、必死に紙面を埋める)、連載はその苦労を大いに和らげてくれるから。少なくとも2年は絶対に続きますように~。
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