地域中核と国際卓越のライバル状態、果たして採択は何校??
一年くらい前は「国際卓越研究大学? それは私たちには関係ないですよ。それより地域中核・特色大学の方でぜひ!」という大学が、けっこう多かったのではないでしょうか。それが。今、国際卓越研究大学の審査と、地域中核・特色大学の事業公募の真っ最中。双方は複雑に絡み合うことがわかってきました。どちらに応募する大学も皆、ライバルといえるかもしれません。
まず発表時期「今秋」の、国際卓越の採択数は「数件」です。23年度の今年度は数件、24年度の来年度は公募なし、25年度のさ来年度以降は、公募がまたある見込みです。対して発表時期「12月後半」の、地域中核の採択数は「計25件ほど」。「複数年度にわたって」とされ実質、今年度、来年度までとみられます。この二つで相互作用が起こるのは、「国際卓越を今年度、不採択になって、来年度の地域中核へ応募してくる大学」がそれなりの数、あるだろうとみられるためです。
仮の数字を挙げて、考えてみましょう。国際卓越は10大学が応募しているので、採択が仮に「4大学」(件数=大学数)としたら。ここに落ちた6大学は来年度、地域中核に応募してくる可能性が高くなります。「さ来年度以降の国際卓越への応募に向けて、地域中核に流れるのは半端なので止めて、牙を磨いておく」という選択をする大学が、2つとしましょうか。そうすると4大学が流れてくることになります。その辺を文科省は、今秋の採択数を踏まえて考えます。審査の過程のやりとりでほぼ、正しく見極められるはずです。
そうすると文科省は、地域中核の採択をいくつにしようとするでしょうか? 「国際卓越に挑戦した意気込みと質の高さ」を考えると、「来年度の地域中核では、この4大学を救済する」ことになるでしょう。救済組ではない分がゼロというのはマズイでしょうから、3大学とすると、「来年度の地域中核枠は7大学」と固まります。そうして、全体で25大学というところから「25ー7=18」の18大学が、この12月末に発表される採択数ではないでしょうか?!
ちなみに地域中核で、前哨戦ともいえる施設整備は、30大学が採択されました。これは基金による12月採択の本番事業とセットが前提ですので、30大学はそのまま応募してきます。さらに私立大など余裕があって、「施設整備は自前で問題ない」というところも、そうですねえ4大学くらい、応募してくるとして、30+4=34大学です。すると、今年末発表の分は「応募は34大学、採択は18大学」。競争率は1.9倍という計算になります。
先の施設整備は各大学、これまでになく(施設整備の支援はあまりないので、嬉しかったとか?)張り切って、「採択されました!」の自主発表(大学ごとの発表)が相次ぎました。ですが、年末の本チャンには施設整備採択組の半分がアウトになる…。そんなこれまでにない形の展開が予想されそうです。写真は「思惑、渦巻く国立大学協会総会」です。
これって、書きすぎかなあ? 新聞紙面に書く、うちの一般読者に向けて書くには、あまりにニッチだなと思って、個人発信に切り替えました。発表後の解説記事には使うつもりですが。
それにこの計算は、応募大学の企画担当理事周辺などは、どこも実施していそうです。私の独自の分析! というほどではないです。でも応募大学の構成員(教員など)にしてみれば、「詳細は不明だけど関心あり」。なので、ここで書くことにしました。
どうでしょうか? 個人ブログ(フェイスブックで書いた情報は、もうちょっと中身が少ない)での情報発信。「産学連携取材日記、読まなくっちゃ!!」と、評判が広がることを期待しています。
あっ。でもこれ、個人的な予測ですからね、「はずれ」のことももちろん、あります。私、3月に某所で講演した時には「東京農工大は国際卓越に応募するって前からいっているし、『さもありなん的な大学ばかりでは、具合悪い』と文科省側が判断すると、採択の有力候補だと思いますよ」と、数十人を相手に言っていたんですよね。蓋をあけたら同大は、応募取りやめの判断でした…(笑)。記事はこちらから。