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2023年7月 1日 (土)

「話題のナノテラスって、どこが主体なの?」

仙台で整備中の次世代放射光施設「ナノテラス」。私が取材をしていて、「これはどこが主語なのか、間違えやすいな…」と知ったのは、1年ほど前のことでした。実際にこの5月のG7仙台科学技術大臣会合に関連した、ナノテラス紹介の中で生じたと聞いています。準備や説明などメーンは量子科学技術研究開発機構(QST)でしたが、東北大学がリーダーなのだと勘違いした報道が複数、出てしまったそうです。この点、私も心を痛めていました。

この6月にメディアの懇談会が続く中、私は「日刊工業新聞社から質問をする」という形を取りながら、このことを他メディアにも伝えるという行動を思いつきました。つまり「ナノテラスの設置者が入り組んでいて、間違えやすいようなので、正しいところを教えていただけますか」という質問を、私から投げかけるという形です。

一つは文科省の科技系の論説懇談会。大手メディアの論説委員がずらり並びます。私の上記の質問に対し、科学技術・学術政策局の柿田局長が答えてくれたのですが、不完全だと思ったのでしょう、「担当課(研究環境課)から説明の連絡をさせます」と。翌日、私宛に電話がありました。同席していた他論説委員には電話はいっていないと思いますが、各自「複雑なんだな、執筆時に気を付けよう」と思ってくれた…ことでしょう。

もう一つはQSTの記者懇談会です。4月に就任した小安新理事長が登壇するほか、研究レビューのポスター発表もありました。記者も論説委員も、一般紙も専門紙もと広く対象とした企画でした。そこでも私は同様の質問をし、周囲に「注意しましょうね~~」とアピールしたのでした。

★★★それで、これらの回答をまとめて、正しいところの説明です★★★
ナノテラスは「官民地域パートナーシップ」という枠組み(仕組み。組織名ではない)で設置される。この枠組みのうち、国側の主機関がQSTです。もう一方に地域パートナーとして東北大、宮城県や仙台市、地元企業など多数がいます。産学官もろもろのパートナーなわけですが、これを代表してまとめているのが一般財団法人の「光科学イノベーションセンター」です。

設置する場所は、東北大の青葉山新キャンパス、同大の敷地内です。つまり同大はパートナーの一員(という意味では、ワンオブゼム)ですが、場所を提供している(という意味では、貢献度が格別に大きい)という形です。また地域で重要な大学なので研究開発や人材育成の点で、他のパ―トナーと比べて、大きな役割を果たすことになります。

研究開発に使われるビームラインは最大28あります。QSTが10程度を使い、その他を参加の産学官の希望に合わせた使い方をします。

よって記事にする場合にOKの表現は…

「QSTと仙台の地域パートナーによって設置されるナノテラス」
「QSTと光科学イノベーションセンターによって設置されるナノテラス」
「QSTが施設整備をするナノテラス」

ということになります。東北大で書く場合は以下がよいと思います。
「東北大の青葉山新キャンパスで整備が進むナノテラス」

…これ、自分のメモにしておきます。記事を書く時にこのブログを見に来て、活用します(笑)。

ところでQSTは先のブログで書いたように、私は金曜にQSTの「関西光(こう)量子科学研究所」の木津(京都府木津川市。他に同名を置く播磨のサイトもある)で、研究リリースの書き方ノウハウを講演する予定が先に入っていました。宿泊地の奈良まで京都から1時間かかるので、体力のない私は木曜にも有休をとり、前泊の木曜入りを予定していました。

ところがその後、QST本部の企画が、この木曜に開催される、となったのです。なんと…。し、仕方ありません。休みをとっているのですが、この懇談会だけ出席して、重要な質問をするという自分で作ったミッション(笑)を果たしてから、新幹線に乗車。幸い早めに到着でき近場で、初日から鹿と対面することができました。Dsc_0472

ところでこの移動、私一人ではありません。そう、木津の研究所で、金曜の講演会を企画した広報部門や聴講した研究者も、それなりの数が木曜の東京にて一緒だったのです。珍しい、もちろん初めてのパターンでした。

さまざまな形で関りができると、その機関にシンパシーを持ちますし、応援してあげたいと思うようになりますよね。そんな事例として紹介いたしました~。

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コメント

発音(イントネーション)について。
文字である文章では発音のイントネーションまではわかりません。
で、
>ナノテラス(NanoTerasu:スペースなしでNとTは大文字、他は小文字)
ですが、その名前の由来の1つが
>天照大御神(アマテラスオオミカミ)
とのことです。
そこで気になるのが「ナノテラス」の発音。
普通の「ナノ」でよく使われる「ナノテク(ナノテクノロジー)」や「ナノデバイス」、「ナノオプティクス」などの発音とは異なる?、との説明をききまました。(約1年前:2023/6/6にQSTからプレスリリースあり)
発音として「ナノテラス」は、「アマテラスオオミカミの”アマテラス”のように発音するの、との説明がありました。
これは、ナノテラスという愛称を募集したときの経緯からだそうです。
ただし、その説明者が関西出身の方であったので、訛っていた(?)、
発音までは商標登録等はされていないようですが。
(ラッパのマークの正露丸の音楽は、その音階・リズムが特許庁に登録されているようですね。けいはんなの研究所の友人がはなしていました。)

***
【参考】QSTホームページより
・英 語 表 記:NanoTerasu

・日本語表記 :ナノテラス
・愛称選考理由:

 NanoTerasu(ナノテラス)という愛称は、次世代放射光施設が研究や観察の対象としている、物質の「ナノ(10億分の1)の世界」を示し、さらに放射光がナノの世界を明るく照らして観察する強力な光であるという、施設の大きな特徴を良く表している。

 また愛称応募者から「日本神話で世の中を照らす「天照大御神」(あまてらすおおみかみ)のように、この施設で行われる研究やその成果が、世界の学術や産業にも豊かな実りをもたらして欲しいという願いから付けた」という説明も選考された理由である。

投稿: OrimoSilkroad | 2023年7月 4日 (火) 20時05分

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