論文の転換契約のまとめを考えた背景& 理工系強化の記事、皮切りは東京都市大で
1.論文のオープンアクセス、特に転換契約に絞ってのまとめ。東北大、東工大、内閣府とそれぞれの独自記事を載せてきましたが、これに出版社のシュプリンガーネイチャー・ジャパンの取材を加え、コメントをちりばめての大き目の記事です。
ジャーナル問題は切り口がたくさんあります。価格高騰に対する欧州の強硬な姿勢(研究者が、査読者として出版社に協力するのを拒否する)とか、ハゲタカジャーナル(査読ほとんどナシで、論文掲載の実績をどんどん出しちゃう勝手な論文誌)とかは、これまでも一般紙記事で見受けられました。比較的、一般読者にとってもわかりやすく、社会部ネタとして向くためでしょう。が、転換契約についてはほとんど書かれていませんでした。大学の図書館に踏み込んで細かくなるせいでしょうか。実をいうと私も、当初はよくわからなくて。「どこで取り上げるかなあ、面倒くさいから、気づかないフリしてほっておこうかな」と、1年くらい前から悩んでいました。
が、先進7カ国首脳会議(G7サミット)を機として動きが活発化。自然科学研究機構など複数のメディア向けセミナーが続き、「これは、今でしょ!」と急に(笑)動き出しました。メディア向けセミナーが相次ぐのですから、他メディアがドコドコ書き出す可能性が高まっている、と考えたためです。
そんなわけで「お盆にまとめ記事をしっかり書く(結果、230行と最大クラスのボリュームに)、その前に独自記事を何本も載せる!」という目標が、初夏に固まりました。お盆が始まったあたりでまだ、執筆からゲラチェックと大わらわ。そのため「お盆はのんびり、PCのドキュメントやピクチャーに溜まったコンテンツを片付けて。社内の電話がPBXに変わった件も、よくわかっていないから解説動画を見て。それからそれから…」と思っていた案件が、何も片付かずに次へいってしまいました…(笑)。記事はこちらから。写真は東工大の図書館です。
2.文科相基金による理工系強化は、私の取材テーマとして今年度の目玉の一つです。採択前の公募締切段階でも、解説記事を書きましたし、その段階で複数の大学の取材打診に回っていました。
東京都市大学は支援1(公私立大の理工系シフト後押し)と、支援2(大学院中心の高度情報化人材育成の支援)の両方に採択された、数少ない大学の一つです。取材は採択決定の前後2回で手掛けました。同大は旧東横女子短大と武蔵工大の合併なので、文系含め多数の学部・学科があるものの、「全学学生の4割を、広義のDX人材に持っていく」、という意気込みはなかなかです。理工系強化の各大学プランは、これからいくつも記事にしていく予定で、皮切りにふさわしい記事となりました!
それにしても。この文科省事業、名称がどうして「大学・高専機能強化支援事業」なのでしょうか。なぜ「理工系」とか「デジタル・グリーン」とか入っていないのでしょうね? この名称じゃあ、近年の多々ある大学機能強化の「ワン・オブ・ゼム」にしか見えない。実際の中身の重要性に対して2割くらい、価値が下がってみえて、「もったいないな」と思うのですけれどね。
まあ、国際卓越研究大学も、名称を検討する議論に加わった時の私の意見は全然、通らなくて。後日、聞いたら、「中央官庁としての事情もあってコレに決まった」みたいに言われましたっけ。メディア人や一般人が勝手に考えるようには、役所は簡単にはいかないのでしょう。記事はこちらから。