東大の国際卓越絡みの記事、思案の裏話& 農工大VCが始動
1.東大の記者懇談会が10月にあり、総長から最近の活動報告がありました。大ニュース!というものはないのですが、「せっかくなので何か書きたいなあ。やっぱり国際卓越研究大学と関連づけた形でいきたいよね」と思案しながらの出席でした。
他記者の質問でさっそく「国際卓越の次の予定は」と出ましたが、「今後は決まっていない。認定の経緯を見て、また東北大における伴走支援も拝見した上で判断する」と、慎重派の藤井総長らしい返答です。
私は東大のいう「新しい大学モデル」というキャッチフレーズが気になります。ですが春に単独取材した時も今も、「何が、新しい大学モデルなのか?」がわかりにくいままなのです。そこで発表資料のうち、この言葉をタイトルに置いたページをチェック。主要施策一覧から、2つのテーマに焦点を絞って書くことにしました。
一つは「カレッジ・オブ・デザイン」です。実は東大は、国際卓越の審査最中(認定候補がまだ発表される前)の7月にも記者懇談会をしており、そこでも出たはいました。が、どうも学内でも内容が確定していない様子で。広報が「今日の資料だけでは記事にしないでください!! 必ず改めて取材してください!」と叫んでいた案件です。そんなのあり? 記者懇談会で資料を配っているのに? と思ったのですが、国際卓越への申請と絡んでイレギュラーにならざるを得なかったようです。
この件、一部メディアの記事を見た覚えはありますが今回、改めてWeb検索すると、すぐには出てきません。一般社会へはあまり知られていないという意味では、見逃すには惜しい気がします。そして7月の無理無理取り上げ(笑)の姿勢と合わせ、東大の看板プランだということは間違いありません。メディアからの質問も多めで、各社が関心を示しています。……ということで、「ブランドニュー(最新)のニュース記事としては書きづらいけれど、読み物記事でなら取り上げる価値あり」と判断しました。
もう一つが、寄付金などの運用益で教育、研究、学生支援などの活動を行う「エンダウメント型」シフトです。国際卓越の申請時の要件として各大学の独自基金による運営計画は課せられており、前からの話ではあります。でも国際卓越タイプの「新しい大学モデル」に向かう上でのコンセプトとして、はずせない部分といえます。
また資料には、「補助金型からエンダウメント型へのシステム改革」と胸を張って(もう補助金はいらないのかな~、笑)記しています。直近でマネックスグループの松本大氏の寄付の案件が第一号で、まだ会見も記憶に新しいところです。「やっぱり、これを書きますかね」。
そんな風に頭を巡らせたうえで、懇談会最後の方で質問しました。「国際卓越は初回候補にならなかったけれど、UTokyo Compass以来の方向性であり、計画の骨格は変わらないということですね?」。「そうです」。ちょ、ちょっとそっけなさすぎです。「もう少し総長の言葉で…」とリクエストし、コメントしてもらった中から、紙面での取り上げを図ります。
隣では、筆頭理事が大きく何度もうなずいています。よしOK! この路線で書こう! …ということで、記事はこちらから。写真は懇談会のあった安田講堂、斜めアングルからです。
2.東京農工大のベンチャーキャピタル(VC)始動とそのプロジェクトです。今年1月、国立大が民間VCに出資する認定第1号のリリースが出ました。私は直前の取材で認定およそのところを聞いていたのですが、先に掲載することは残念ながらかなわず。リリース内容へ、先に取材した内容を合わせてしっかりと書きました。その後、9月に農工大からの出資が認可され、本格始動となった形です。
ちなみに認定と認可、VCでも国際卓越でも出てきますが、わかりにくいですよね。私の理解では、「全体の枠組みとして、進めていいよという国の返答が、認定」「その上で、より具体的な計画の中身を認めるのが、認可」ですかね。なので、認定の後に認可が来ます。
おっと、国際卓越についてはWebで説明が見つかりました。「国際卓越研究大学の認定、国際卓越研究大学研究等体制強化計画の認可 」。大学を認定し、計画を認可するとなっています。ちなみに以前、文科省で「一言で書くならどっち?」と聞いたら「認定でいいですよ」と言ってもらった覚えがあります。どっちが重要かというと、全体の枠組みもカバーした上でどうかを判定する「認定」なのだと理解しています。
ちなみに法律や役所の言葉は、私の理解だと間違いもあると思うので、そのつもりで聞いてください(笑)。記事では間違いはマズイので書かずにすませます。が、「よくわからない」という人が多いはずだと思って、私の理解の範囲で記してみました。
あっ、農工大の活動の中身については……また今度。お待ちくださいね。記事はこちらから。
| 固定リンク | 0
コメント