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2024年6月

2024年6月30日 (日)

科学大新トップを5回に分けて書く& 愛媛大はリカレントも県地域ごと

1.東京科学大の新トップ、大竹理事長候補が会見を開きました。私は割合と書くネタを持っていたので「よしっ!」と張り切りました。計五つの発信窓口で、展開することにしました。写真は会見時、メディアのカメラが大竹先生撮影に寄り集まっているシーンです。Dsc_1657

一つ目は日刊工業新聞の紙面記事・電子版。会見が24(火)だったので翌日25(水)付です。本業なので当然、これが最も大切です。取材の中でどこを、リード(前文)で強調するか、思案します。他メディアの記事とまったく同じでもつまらないし、かといってずらし過ぎてポイントを落としているのも具合が悪いし、と考えます。

私は、東京医科歯科大が今の患者に対峙し、東工大は数十年先の産業の種を育てているということを踏まえ、大竹先生が「今も未来も大切に、科学の力を信じて日本のためになる大学へ向かう」と述べた部分を、抱負として取り上げました。

それから国際卓越研究大学への応募は当然、触れるとして(医科歯科大と東工大は昨夏、初回採択ならずが判明した時点で即、次を目指すと公言していた)、何を強調するか。私は「
1大学で理事長・学長という特徴的なガバナンス(統治)と、医歯学・理工学の分野融合研究の卓越性で応募する計画を強調した」と書きました。

二つ目はニュースイッチ。ここでは、公式の紙面では書けない私のヨミを入れました。「理事長と学長を医科歯科大と東工大で分け合う。候補が3人で、年齢などを考えると…」と推測した件です。これは「候補3人に」となった時のニュースイッチに書いたのですが、医科歯科大から1人、東工大から2人というのがポイントでした。東工大派は候補2人の間で意見が割れるな…と読むのが自然だからです。

それがちょっと異なる結果になったわけですが、「考えてみるとその方が、よいのかもしれない」と。ジャーナリストはペシミスト(悲観主義)も多いのですが(社会に対する緊張感を、読者にもたらすべし、という考えなのでしょう)、私はオプティミスト(楽観主義)なので(大学業界の専門記者なので、業界を元気にさせるべし、という考え)、「今回の組み合わせによって、新大学はより優れたものになるはず、と期待しています」と書きました。

そして三つ目はフェイスブック。ここでは「大竹先生ってどんな人?」と多くの人が思っているはずなので、会見から人柄を感じさせるエピソードを入れました。「声が非常に聞きやすく、落ち着いていてその上、使う言葉がきちんとしている」と。

あのですね、普通の理工系研究者が使わないような言葉がいくつか出てきて、「なんだろう」と私は思っていたのです。そうしたら趣味の話で、哲学書など読書が挙げられたので、「なるほど」と。言葉の豊かさはやはり、読書によってもたらされることが多いのだな、と。総合大学の文系トップなら、さもありなんですが、東工大育ちのトップですからね。意外なところかと思います。

それからフェイスブックのうち、東工大グループ(卒業生が多い)が四つ目。会見後、メディアが大竹先生を囲んだ時の振るまいの紹介です。会見中もずっとにこやかだったのですが、「授業では厳しい(真剣な)顔をしていますよ。学士課程の講義では、日本のモノづくりに魂を込めて、と力が入るんです」と発言。そしてメディア(特にテレビ局のカメラ)が喜ぶ、授業中の様子を再現した発言や手振りの披露をしてくれたのです。コミュニケーション力、高いですよね! 

大勢のメディアに対してという意味では【初お目見え】(東工大の研究院長=研究所トップなので、理事など大学の役員ではなく、部局長を務めてきた形)なのに、落ち着いてこんなメディア対応ができたことにも、関心しました。

そういえば朝日新聞の記者の増谷さんは、翌々日の「ひと」欄での紹介で、「選ばれたのは、学外では無名の『第三の男』だった」と書き出していて、笑っちゃいました。ちなみに増谷文生論説委員兼編集委員とは、割合と親しいです。記事もよく参考にさせていただいています。同じ分野担当の同業他社で、私にとっては貴重なお一人です。

そして最後、五つ目がこのブログ。裏話てんこ盛りとなりました。一つお伝えしたい新情報として、田中先生が学長にと決まるのは「いつかと示せないが、10月の新大学発足までには」と、広報から聞きました。発足の後ってことは、いくらなんでもないでしょ?! と思いましたが、それくらい直前になるってことですね!

私、この頃なぜか、乗っているんですよ。おしゃべりもハイテンションで。「調子に乗りすぎてはいけない」とおっちょこちょいのところを戒めつつも、毎日が楽しい。定年退職を控えたラストイヤーに、こんなにハッピーでよいのかなあ~? ニュースイッチ記事は、こちらからどうぞ。

2.リカレントの連載、愛媛大学です。どの大学でもそうなのですが、リカレントを何種類か手掛けていて、「どれを取り上げようかな」といつも迷います。なので私の好みと、広報など窓口の希望とをすり合わせて決めています。

愛媛大は10いくつものプログラムがあるとのこと。地域密着できめ細かい活動を展開している同大ならでは、の状況なのでしょう。では、記事はこちらから~。


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2024年6月29日 (土)

幹事期間中に2本の大物案件& 閣議後会見はすんでのところで…

文科省記者クラブで毎年の、3週間の幹事ウィークスが終わりました。週末も何かあれば幹事が采配を振るうことになりますがまあ、そんなことはほぼないので、緊張は平日5日間×3週間の計15日間です。

当番は、文科省メーン担当の記者仲間が、火曜と金曜の閣議後大臣会見日ということでまず、決まります。残りの日程を部の記者2人で分け合いますが、年下の記者が少し多く持ってくれました。私は全部で5日間。外部依頼の幹事受け会見に加え、緊急事態が起こった時に動く役割として、この5日間はスタンバイしていました。

数カ月前に今年の幹事期間が固まったら、私はカレンダーにこの期間のラインマーカーを引いて備えます。担当分野で外(文科省外)の会見があったら、当番を交替する可能性があるため、あまり外取材のアポを入れず、余裕を持たせておきます。そのために幹事期間の前後に、外取材のアポを多めに入れるという準備をします。

写真はそのカレンダーです。といっても、ブログ写真用として用意した、雰囲気をお伝えするためのものです。当番日以外に一つだけ、東工大の外会見を書き込んでいますが、実際の自分のスケジュールはさすがに、もっと複雑です。こちらは内緒です。Atosute-karennda-dsc_1651

この間、私の担当での大物はまず、「国際卓越研究大学で東北大が、認定に向けてさらに一歩」がありました。13木に省内の担当である大学強化室のレクがありました。翌14金に東北大学の現地での会見(仙台の記者が対応)。私はそれをWebでチラ見しながら、週明けの解説記事を執筆しました。

そしてもう一つ、統合で発足予定の「東京科学大学の理事長内定」がありました。19水に東京医科歯科大と東工大のHPアップと同時に、メディアに発表されました。以前から「6月内に決定する」と言っていたので、気にしていました。でも通常、こういう表現だと、月内ぎりぎりになることが多いでyそ? なので最終週かな、と思っていたら意外に早くて、少し慌てました。

私は翌20木、21金で遠出の予定があったのですが、仲間に無理を言って頼まずに済みました。もし発表が20か21だったら、仲間に押し付ける羽目になっていたから、そうならなくて幸いです。また、週明けの24月に開かれた大竹理事長予定者の会見も無事、私が参加して執筆できました。仲間に頼むのでは申し訳ないのと、自分としてもつまらない(もったいない)のと両方でしたから。

そんなわけで自分の担当としては大物2件が発生する期間でした。ですが、これを除くと、なんと幹事当番日に担当する案件が特にないままに、3週間が終わりました。ラッキーでした~。

もっとも途中では、「閣議後会見で、メーン担当記者の出席が難しいかも」と言われ、私が代わりに会見を仕切る可能性のある日が、出てきていました。さあ、大変です! 私が文科省メーン担当で、それを日常的に手掛けていたたのはもう、だいぶ前のことですから。

終盤とはいえまだ、国会会期中だったので、閣議後の大臣会見は国会内ですることが多いのです。「今回は院内(衆議院とか参議院とか)で8時半くらいからかな?」「国会に入るためのバッジって、管理はどうしてるの?」「最初の幹事社からの質問とか、今どんな具合で仕切っているの?」などなど、大騒ぎでした。

前日、9割方はするつもりになっていたところ、メーン担当記者が自分で対応できる、と連絡してきて。ひゃああ、こんなに盛り上がっていたのに(笑)。あっ、でももちろん、助かります、ありがとう。ということで、博士号を二つ持つ(商学と法学。学位取得が難しい文系で、いったいどうやって取ったのか、以前から気になっています)盛山大臣と会話をする(代表質問をするだけですが)機会は、残念ながら流れたのでありました。

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2024年6月23日 (日)

科学大の初代理事長候補と、国際卓越研究大の東北大の次は

1.東京科学大学の初代理事長候補に、東工大科学技術創生院長の大竹尚登教授が選出されました。私が選考会議資料で注目したのは、「両学の候補者が理事長と学長(大学総括理事)を担い…」と書かれているところです。つまり両大学の候補者3人のうち、両大学からの二人が理事長と学長を分け合うことを、会議としては求めたと明らかになったのです。

選考が始まった当初は、理事長と別に学長を置くか、そうでないか(理事長が学長を兼務する形)は明らかになっていませんでした。私は個人的に、「2大学それぞれの人が、役目を分け合うのが一番、両大学関係者の納得も得られるだろう」と思っていました。結果、6月の選考会議でこの形を取ることが決まり、その上で理事長候補を選出したという流れになります。

私が記事(まずは紙面=日刊工業新聞での掲載)を書いた段階では、このことを踏まえて「東京医科歯科大側から学長を出す見込み」としました。その後にさらに取材が進んで、大竹先生は現東京医科歯科大学長の田中先生に、新大学学長をお願いしたいと考えている、ということが確認できました。いいですね! 

明日、大竹先生の記者会見があります。楽しみです。
写真は東工大の大岡山キャンパス入り口のTAKIプラザです。  

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この建物は、側面から屋根まで斜めに、石積みの階段が連なっていて、なかなかしゃれています。完成の時にはここに学生が座ったり集まったりしたイメージも披露されました。ですが残念ながら、これまでのところ、誰かが段に乗ったシーンを目にしていません。ちょっと目立ちすぎて恥ずかなあ。別に学内者限定との看板はないので今度、私が乗ってみますかね?! 記事はこちらから。

2.東北大、国際卓越研究大学の認定へ一歩。有識者会議の注文に対してシッカリと応える計画が、トップが交替しての新体制で認められました。

ところで国際卓越の2回目の公募が気になります。採択はいったい何大学くらいになり、その他の応募するも採択されないことになる大学は、どうなるのでしょうか? せっかく初年度に文科省が「国際卓越がダメでも、地域中核・特色大学のJ-PEAKSに応募先を変えれば、救済しますよ」と設定してくれたのに。それを表明した大学は今のところ、ゼロでしょう? まあ、J-PEAKSに再応募を考えている大学群にしてみれば「こっちに来ないでOK!」と、むしろ歓迎なのでしょうけれど。では、記事はこちらから~。

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2024年6月22日 (土)

東京六大学の対抗、卒業生の気分を理解する

先週、東京六大学OB合唱連盟演奏会(男声合唱)に行ってきました。合唱のコンサートは初めてでしたが、とても楽しめました。選曲も多様で、各大学のカラーを感じさせるものでした。

立教大はファリャ(バレエ音楽の三角帽子などの現代作曲家)によるマリンバ入りスペイン民謡で、赤シャツ隊(失礼、でも目立ってました)です。慶大は純文学的な詩の暗いもの、でもそれなりに惹きつけられました。水色のジャケット丈が長いデザインなのが気になります。明大は、若い人のセンシティブな感覚による詩のもの。私、仕事柄か?歌詞を熱心に読んでしまう(読みながら聴く)タイプなのですよ。

東大は混声の高校合唱コンクールなどで人気という「水のいのち」。上に遡れず下ることしかできない川や、水蒸気となって循環する海の様を、心情的なものと重ねた組曲です。法政大は、伝統芸能としての萬歳(漫才の元とのこと、初めて知りました)のシアターピース(客席空間も演奏に使う)。演劇に近いかなあ、個性的です。早大は東京の各地を舞台にした昭和歌謡などのメドレー。どうです、なんとなく各大学カラーに合っていますよね?

最後はエール交換。300人弱でしょうか、全員で六つの校歌?を歌います。ここの場面のみ撮影可だと知って、大急ぎでスマホを構えて写しました。ピンボケですみません…。Dsc_1625

自校の歌だけ歌うのかと思っていたら、そうではないんですね。対抗戦で自校を応援する競技や披露があって、その先に六大学が一丸となって…という盛り上がりなのだと理解しました。大学対抗ものが好きな人の気持ちが、少しわかった気がします。

機会あればスポーツなど、ほかのイベントも見させてもらおうかなあ。せっかくなので大学担当記者である間に、機会を探したいですね。広報や学長・副学長らにお願いすることも、可能だと思うのですが、図々しい気もします。ブログ読者で大学対抗ものが得意な方、ぜひお声をかけてくださいませ!

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2024年6月16日 (日)

室蘭工大新学長と、地方中堅大学の教員の産学連携支援会社

1.今年度の新学長インタビュー、連載のトップバッターは室蘭工業大学の松田学長です。昨年末に同大に招いてもらい、講演&取材をして親しくなった大学です。札幌支局に「インタビュー、私にさせてください」と頼んで、この取材は東京において実施しました。

ひところ目立った地方大学の東京事務所ブーム。たぶん費用対効果が悪くて撤退が相次ぐ中で、同大は永田町、北海道の事務所などと隣接する部屋を確保しています。「やるじゃん、室蘭工大!」です。

記事の中で触れた「院価値再発見キャンペーン」の30の標語も、キース・ヘリングみたいなデザインのポスターも、本当におもしろいです! 見てみてください。院価値 | 国立大学法人 室蘭工業大学 大学院 (muroran-it.ac.jp)

先日の国立大学協会で学長と再会し、記事のお礼の後に「あれは広告代理店などにお願いしているのですか?」と聞いたところ、学内メンバーだけで考えた、とのこと。「やるじゃん、室蘭工大!」です。写真は昨年末の取材字の研究室の写真です。
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正直いうと、連載初回は東北大の冨永総長で行きたかった(仙台の弊社総局記者が担当なのですが、取材がすぐには入らなかったようで。今思うと、国際卓越大の展開(有識者会議が認定・認可を妥当と判断、14金に文科省発表&現地記者会見)があったので、取材はその後に…だったのかもしれません。

ということで、「ラッキーじゃん、室蘭工大!」です。記事はこちらから。

2.産学共同システム研究所、中小規模大学の教員に変わって、企業との交渉や契約、税務処理など手がけるエージェントサービスを開始、です。

大規模大学はいいんです。産学連携支援の専門人材をたくさん、抱えているから。気の毒なのは中小規模大学の理工系・ライフサイエンス系の教員・研究者です。いい技術を持っていても発展させるのが難しい。そんな時には同社の活用をどうぞ、というものです。

事業の目標数値として、当面は「30大学の教員100人、企業100社」といっています。これは「契約は教員個人とするものの、所属する大学には仁義をきちんと切ります。逆に大学にPR活動をして、そこから教員個人につながることもありますよ」という意味です。教員個人は心安く、同社を活用できることでしょう。では記事はこちらから~。

 

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2024年6月15日 (土)

10年前に取材した若手研究者に再会する

少し前に理工系大学の改革もの取材で、理事クラスを取材しました。事前に連絡のあった同席の先生の名前を聞いて、「もしかして!」。10年ほど前に紙面の若手研究者を取り上げる連載で、確か私の番で初回にとりあげた先生の名前が出てきました。

当時、研究者としての研究のテーマや姿勢を聞く取材で、「これは…かなり優秀な人だな」と引きつけられていました。旧帝大クラスの終身雇用型の助教ポストに就いていたのに、その講座は成熟分野だったため、自分の独自研究手法を生かすには適さないと判断して、こちらの大学のテニュアトラックに応募した、と。テニュアトラックは任期付き雇用で、期間中に成果を上げれば終身雇用ポストになるとはいえ、安定性としては微妙なポストです。それに一般社会が思う大学ブランドとしても、移転元の方が移転先より上なので、普通は選ばないキャリアです。なので、そんな選択をしたと聞いて「第一印象は控えめだけど、相当な自信を持った希有なタイプだな」と頭に残っていました。当時31歳の准教授でした。

かつての新聞記事をデータベースから引き出して確認。果たして取材時、相手もこちらを覚えていました。今は42歳の教授、理事クラスを補佐する経営企画的な仕事をしての活躍です。当時の予想は正しかったのだなと振り返ります。今回の取材時のコメントも、なかなかよいものでした。まあ本当に優秀な人は、短時間のやりとりでもそれがすぐにわかるもの。私に先見の明があったというよりも、自明のことだったのでしょう。

というわけで写真は東京農工大学の工学部キャンパスです(笑)。Dsc_1116_20240614093101

ちなみに、かつての取材時の印象、当時のブログでも書いているんですよ(笑)。組織における仲間でもないのに、若い研究者の成長を実感する、専門記者ならではの楽しみといえるかもしれません。

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2024年6月10日 (月)

ダイキン工業と東大の大型連携、折り返し地点

ダイキン工業と東大の10年包括提携は大物で、スタート時の会見から注目されていました。ダイキン工業という個性的な企業が相手だったのが大きな要因です。取り組み方策もユニークで、資金の自由度も高い積極展開で、他企業にはない切り口がいくつもあります。私は会見1年後の会見(これ自体、珍しいです)の段階で、「よし、その後の展開も書いていこう」と心を決めていました(笑)。

少し前に同社の技術系幹部と会合で一緒になったことから、実際に申し込みをして取材となりました。写真は東大浅野キャンパスの建物入り口のプレートです。
Dsc_1275_20240610094801実はこの記事、週末の掲載予約でもっと長く書いていたのですが、どうしたことか消えてしまい、大急ぎでの書き直しです。過去の私の両者の記事も載せていたのですが。関心あるかたはニュースイッチや日刊工業電子版の過去記事で見て見てください。では今回の記事はこちらから。

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2024年6月 8日 (土)

博士研究時代の本50冊を処分する

職場といえば私の場合は文科省記者クラブの席を指すので、本社のロッカーは保存物用に使っています。博士研究をしていた時代(学位取得が10数年前)に使った書籍が、実はけっこう詰まっています。このうち、論文引用などのためラインを引いてしっかり使ったものは、古本としては回せないので、この中から「さすがにもう使う可能性はゼロだな」と、写真の50冊ほどを処分しました。Dsc_1585

テーマとしては技術経営(MOT)とベンチャーの関連が中心です。MOT系の博士として、修了直後は「何かの都合で大学教員の道を目指すかもしれない」と考えて、これらの本も保存していました。

年数がたって中身が古くなってきても、「まだもう少し置いておこう」。なぜなら教員に転職した場合、「新任で来たあの先生、自室の本棚が空っぽですね」といわれたら、恥ずかしいと思ったから。手に取って参照にすることは少なそうな本でも、【枯れ木も山の賑わい】になるから、と取り置いていました(笑)。

さらに月日が流れて定年世代となった今、これらは「もういいな」と。当時のベンチャー論など、内容があまりに古いし。でも。実はまだ、同じくらいの分量の書籍が残っています。

一つは「ラインを引いていないので追って、古本屋に出す算段をするもの」で、もう一つは「定年後の大学のお手伝い、棚に本を並べるようになった場合、来訪者に尋ねられて、しどろもどろにならずに対応できるテーマのもの」という感じです(笑)。もう少ししたらこれらの出口(大学でいう入口は入学、出口は卒業のこと)も考えていくことになるでしょう~。

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2024年6月 2日 (日)

新潟大学提唱のUA& 違う分野との交流についての論説コラム

1.新潟大学、学外組織とつながって資金獲得をする専門職を、ユニバーシティーアドミニストレータ―(UA)としてまとめて学内で育成していくというニュースです。

取材相手は同大の川端和重理事・副学長。10年前は北海道大学の理事・副学長でした。私は先生の北大時代に機器共有の施策を取材しています。もっと前には科学技術コミュニケーション(北大CoSTEPが全国的に有名です)の学術論文誌に、博士研究の論文を投稿する頃にもやりとりした覚えがあります。新潟大の牛木辰男学長(医学系)も北大から、新潟大へ教授として移っており、北大時代から川端先生と親しかったことで、引っ張られたそうです。

最近はこのように、国立大の理事が任期終了後に、プロフェッショナルとして別の国立大の理事に就任するケースが散見されます。学内からの新たな登用と比べて心安いし、学内人とは別の視点も持ち込めるメリットがありますね。でも学内から次のリーダーになる人を育てる、という意味では、他大学出身者ばかりになってはいけないし、バランスに注意が必要です。記事はこちらから。

2.記者として取材に関わるコミュニケーションは関心大のテーマです。いつもと違う相手から声をかけられて、の論説コラムを書きました。

逆に過去には何回か、取材した大学なのに、どうもかみ合わない相手ということがあります。広報は事務職員としての異動があり、どんな人が窓口かで変わってきます。「広報2回目、今度は課長で」という相手だと燃えている人が多いかな。でも総務課の一画として仕方なしに広報担当をしている、という人もいます。「久しぶりにこの大学を取り上げてみようかな」と動くも、どうも相手は取材を受けることさえおっくう、という姿勢が見え隠れすると、「失敗したな」だけでなく、「担当者にも気の毒だった」と振り返ります。こうなりそうな大学には、もう無理に接触しなくてもいいかな、と最近は思っています。

逆に「これまでつきあいがなかったけれど、ぜひ交流いたしましょう」というのは、相手から前向きにアプローチしてくるケースです。「山本さんの記事、見ていますよ! うちもぜひ取り上げてください」って。今回もそうでした。単なるPRかもしれなくても、私を気に入ってくれてのことならば(笑)、いちおうは受け止めてみます。写真は今回の相手企業が入居する、渋谷のビルのロビーホールです。Dsc_1442

取材はお金をもらってするものではないので、やりとりした結果、「うーん、その話だけではちょっと記事にできないですね。こんなふうな情報が追加できれば、膨らませて読み物記事にできるかもしれませんが」と、ちょっとクールに対応することができます。相手がお客様(お金をもらっている)とそうは言えないですからね、笑。そこで相手が「そうですか! 以前、こんな話も出しているのですがどうでしょうか。それから連携先にも、具体例を出せないか確認してみます」など、前向きに動いてくれると、いい記事を仕立て上げられます。WinWinの関係が望める新たなコミュニケーションは、引き続き積極的に進めていきたいと思います。では記事はこちらから~。

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2024年6月 1日 (土)

東工大のホームカミングデー、東京医科歯科大メンバーも来て大賑わい

先週の土曜日に、東京工業大学の名で開かれる最後のホームカミングデーに参加してきました。卒業生をもてなそうと現役学生のサークルのステージなどあるのですが今回は、10月に統合となる相手の東京医科歯科大からもサークル関係者など集まってくれました。私があれっ、と思ったのは、中年の夫婦ふうの組み合わせを、多く目にしたことです。在校生の親御さんなどみられるとのこと。例年以上に多様で大勢の参加となりました。

ハイライトは講演やパネルディスカッションからなる「チーム東工大会議」です。去年のパネルは益東工大学長と田中東京医科歯科大学長が、卒業生らと対話するというスタンスだったので、私はその様子を記事にしました。今回は記事にしませんでしたが両大学から、同窓会会長、現役教員、現役学生が出てきての3対3のスタイルでした。写真はその様子です。盛況ですね~!

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その後は全体交流会。場所は新しい食堂「つばめテラス」です。こちらも大賑わい。東工大の執行部メンバーなどいろいろな人と会話しました。

「あれっ、△先生は来てないのかな?」と思うケースがいくつかあり、「あ、そうか△先生は東工大の卒業生ではなかったな」と気づきます。いえ、まったく問題はありません。組織の運営は主流派と異なるセンスの人が入ってなされる方がよい、とされる時代ですから。ただ「そうか、うっかりしていた。あの件をおしゃべりしようと思っていたけれど、また次の機会に」となる、それだけのことです。

東工大の多様性といえば5月に女子枠の記事を書いてきましたが、それ以外の切り口も実はいろいろあります。本部のある大岡山キャンパスは学部から大学院へ内部進学する人が大半ですが、すずかけ台キャンパスは外の大学出身の大学院生がかなりを占めます。私もその一人です。それから東工大は高専卒業生を編入で多く受け入れています。益学長はこのタイプです。

大岡山が保守本流で、すずかけ台を下に見る傾向がかつてはそれなりにありました。ですが近年、東工大の学長はみんなすずかけ台から出ているんですよね。学内選挙で学長が固まる場合(法人化後は学長選考・監察会議が選ぶことになっているけれど、以前は教員らの意向投票が東工大でもなされていた)、「大岡山は専門が異なる候補間で投票が分かれるけど、すずかけ台は一丸になって票が集まりやすい」と耳にしたことがあります。

でも。10月に統合によって発足する東京科学大学の学長選考は、意向投票なしで進められています。6月末の決定に向けて、候補者のプレゼンを学内構成員が聞いて、意見を出す機会もすでに進んでいます。卒業生は候補3人のプレゼンが聞けないのはちょっと残念です。が、まあ卒業生は「組織構成員」そのものではないですからね。変なしこりなど残らない形でスムーズに決まることを、卒業生の一人として祈念しています。

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