科学大新トップを5回に分けて書く& 愛媛大はリカレントも県地域ごと
1.東京科学大の新トップ、大竹理事長候補が会見を開きました。私は割合と書くネタを持っていたので「よしっ!」と張り切りました。計五つの発信窓口で、展開することにしました。写真は会見時、メディアのカメラが大竹先生撮影に寄り集まっているシーンです。
一つ目は日刊工業新聞の紙面記事・電子版。会見が24(火)だったので翌日25(水)付です。本業なので当然、これが最も大切です。取材の中でどこを、リード(前文)で強調するか、思案します。他メディアの記事とまったく同じでもつまらないし、かといってずらし過ぎてポイントを落としているのも具合が悪いし、と考えます。
私は、東京医科歯科大が今の患者に対峙し、東工大は数十年先の産業の種を育てているということを踏まえ、大竹先生が「今も未来も大切に、科学の力を信じて日本のためになる大学へ向かう」と述べた部分を、抱負として取り上げました。
それから国際卓越研究大学への応募は当然、触れるとして(医科歯科大と東工大は昨夏、初回採択ならずが判明した時点で即、次を目指すと公言していた)、何を強調するか。私は「1大学で理事長・学長という特徴的なガバナンス(統治)と、医歯学・理工学の分野融合研究の卓越性で応募する計画を強調した」と書きました。
二つ目はニュースイッチ。ここでは、公式の紙面では書けない私のヨミを入れました。「理事長と学長を医科歯科大と東工大で分け合う。候補が3人で、年齢などを考えると…」と推測した件です。これは「候補3人に」となった時のニュースイッチに書いたのですが、医科歯科大から1人、東工大から2人というのがポイントでした。東工大派は候補2人の間で意見が割れるな…と読むのが自然だからです。
それがちょっと異なる結果になったわけですが、「考えてみるとその方が、よいのかもしれない」と。ジャーナリストはペシミスト(悲観主義)も多いのですが(社会に対する緊張感を、読者にもたらすべし、という考えなのでしょう)、私はオプティミスト(楽観主義)なので(大学業界の専門記者なので、業界を元気にさせるべし、という考え)、「今回の組み合わせによって、新大学はより優れたものになるはず、と期待しています」と書きました。
そして三つ目はフェイスブック。ここでは「大竹先生ってどんな人?」と多くの人が思っているはずなので、会見から人柄を感じさせるエピソードを入れました。「声が非常に聞きやすく、落ち着いていてその上、使う言葉がきちんとしている」と。
あのですね、普通の理工系研究者が使わないような言葉がいくつか出てきて、「なんだろう」と私は思っていたのです。そうしたら趣味の話で、哲学書など読書が挙げられたので、「なるほど」と。言葉の豊かさはやはり、読書によってもたらされることが多いのだな、と。総合大学の文系トップなら、さもありなんですが、東工大育ちのトップですからね。意外なところかと思います。
それからフェイスブックのうち、東工大グループ(卒業生が多い)が四つ目。会見後、メディアが大竹先生を囲んだ時の振るまいの紹介です。会見中もずっとにこやかだったのですが、「授業では厳しい(真剣な)顔をしていますよ。学士課程の講義では、日本のモノづくりに魂を込めて、と力が入るんです」と発言。そしてメディア(特にテレビ局のカメラ)が喜ぶ、授業中の様子を再現した発言や手振りの披露をしてくれたのです。コミュニケーション力、高いですよね!
大勢のメディアに対してという意味では【初お目見え】(東工大の研究院長=研究所トップなので、理事など大学の役員ではなく、部局長を務めてきた形)なのに、落ち着いてこんなメディア対応ができたことにも、関心しました。
そういえば朝日新聞の記者の増谷さんは、翌々日の「ひと」欄での紹介で、「選ばれたのは、学外では無名の『第三の男』だった」と書き出していて、笑っちゃいました。ちなみに増谷文生論説委員兼編集委員とは、割合と親しいです。記事もよく参考にさせていただいています。同じ分野担当の同業他社で、私にとっては貴重なお一人です。
そして最後、五つ目がこのブログ。裏話てんこ盛りとなりました。一つお伝えしたい新情報として、田中先生が学長にと決まるのは「いつかと示せないが、10月の新大学発足までには」と、広報から聞きました。発足の後ってことは、いくらなんでもないでしょ?! と思いましたが、それくらい直前になるってことですね!
私、この頃なぜか、乗っているんですよ。おしゃべりもハイテンションで。「調子に乗りすぎてはいけない」とおっちょこちょいのところを戒めつつも、毎日が楽しい。定年退職を控えたラストイヤーに、こんなにハッピーでよいのかなあ~? ニュースイッチ記事は、こちらからどうぞ。
2.リカレントの連載、愛媛大学です。どの大学でもそうなのですが、リカレントを何種類か手掛けていて、「どれを取り上げようかな」といつも迷います。なので私の好みと、広報など窓口の希望とをすり合わせて決めています。
愛媛大は10いくつものプログラムがあるとのこと。地域密着できめ細かい活動を展開している同大ならでは、の状況なのでしょう。では、記事はこちらから~。