統数研のDS教員養成、受講生は博士号を持つ助教クラス
大学共同利用機関の一つ、統計数理研究所の統計教員養成プロジェクトを取り上げました。政府肝いりの案件です。普通、公募の新事業は複数の大学や機関を採択しますよね。1機関のみを選ぶ公募の事業は珍しくて、同プロジェクトもその形。つまり公募ではあるけれど、「統数研を核にした連合体以外には、できっこない」。政府もそう認識しているんだな、とスタート(3年前かな)の取材時に、私は思いました。
ちなみにDSは「統計学×計算機科学(コンピューター科学)×各応用領域(医学や経済学)」の学びで成り立ちます。計算機や各領域は専門家がいますが、統計学が専門だという人は極少です。日本には統計学部がなくて(欧米にはそれなりの数がある)、よって統計学研究科もなくて、数学や経済学の中で統計を学ぶしかなかったためです。このDSの統計を、大学院生らに指導できるリーダーを、同プロジェクトでは育てます。
なので、受講生はかなりのハイレベル。すでにDSでリーダー格の大学から「君ならば」と託された、博士号を持つ助教ら、わずか10数人(1年あたり)ですから。そして、その助教らを教えるのは誰かというと、統計の学会の元学会長などです。教育は元々、各レベルの教える人・教えられる人が入れ子というか、カスケードというか、多層になっています。が、統計のように人材が極端に少ないケースは、各層をそろえる大変さがあるのでしょうね。写真は統数研が入る建物です。
DSの大学教員が不足して、人材争奪戦となっているのはご存知の通り。そのため意外なところまで、引き抜きの手が伸びているそうです。それは総務省統計局。国全体の動向を数値で把握するための専門部署です。職員の多くは修士号所有者ですが、博士号所有者もいて、すでに何人かが大学に引き抜かれていった…という話を聞いてびっくりしました。
なお統数研は東京都立川市、JR立川駅から多摩モノレールで一駅の高松駅にあります。他の大学共同利用機関の研究所も集まっています。昔は何もなかった土地を使ったのでしょう、近くには市役所や裁判所など公的機関があります。
「これは何?」という建物もちらほら。例えばこちらの写真。 左は「トミンハイツ立川泉町」(都営住宅は低所得世帯向けのものだけど、こちらは中堅世帯向けの都民住宅だそうです)、巨大な建物です。真ん中が吹き抜けになっている? 駐車・駐輪が下層を占めているような…。右はたぶん「いなげやドライセンター」、スーパー・いなげやの常温商品の物流センターのようです。立川は高速道路の出入り口があるので、物流拠点によいのでしょう。不思議な一帯です。機会あれば視察(笑)に行ってみてください。
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